えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ

浅草の木馬亭にて『大工哲弘 唄会2025』と題されたコンサートを見ました。木馬亭は昭和の懐かしさ漂う浪曲で有名な演芸場です。このコンサートは新しいアルバムの『タノール』発売記念公演ということでもあります。演者は、大工哲弘さんの唄・三絃、大工苗子さんの唄・箏、熊坂路得子さんのアコーディオン、中尾勘二さんのサックス・クラリネット や他、吉田悠樹さんの二胡・マンドリンでありました。熊坂路得子さんは酒井俊さんのバックで素晴らしい演奏をしていたあの人だ。
二部仕立ての一部は、新しいアルバム『タノール』から八重山諸島の埋もれた名曲を唄ってくれました。しんみりと胸に染み入る素晴らしさです。二部では歴史に埋もれた内地の名曲も、ジンタ仕様で唄ってくれました。それは歴史の正史から省かれた民衆の記憶なのです。
大工哲弘さんとオフノートのプロデューサーの神谷一義さんは素晴らしい仕事を成し遂げ、素晴らしい音を残してくれています。これからも健闘を祈るばかり。大工哲弘さんの唄は、渋さのうえにやわらかさやかすかなユーモアすら感じさせ、今こそピークではあるまいかの芳醇さです。


川崎のクラブチッタに『SKAViLLE JAPAN 2025』を見にいきました。昔、ここでParliament/Funkadelicを見たのが、今では夢のようだよ。今日の出演は以下の面々。
【ARTISTS】RUDE BONES / HOLLIE COOK (UK) / DUCK MISSILE / ERIKA CRYMSON & DUBJUANA CREW / ROLLINGS / The DROPS / THE SKA FLAMES / The Soulclap / Tropicos / YOUR SONG IS GOOD
【DJ】DEF FOUNDATIONS (T-Roy, Middle-IQ-Ichi, Shimazu, Kyosuke, Hiroshi Brown, Miyolino) / OHJIRO (ZIPLOC) / ROCK(The Numbers!) / YOSSY(Version City / Club Ska / London Nite)
【MC&DJ】Bana a.k.a Daddy B
それなりに好みのバンドも出て、楽しめました。カリブの島々を踊り、奏で、歌いながらかけめぐるかのようなTropicos。authenticなSkaのTHE SKA FLAME。authenticなRock SteadyのThe DROPS。イギリスから来日したHOLLIE COOKとそのバンドの五月雨式にレゲエからダブに突入するのが、強烈にかっこいい。HOLLIE COOKさんは再決済された女性だけのパンクバンド、The Slitsの再決済時のメンバーだったそうです。そして、お父さんはThe Sex PistolsのドラマーのPaul Cookだそう。なるほど。あまりのかっこよさに帰りに最新アルバム「Shy Girl」をポチッとしてしまったよ。
揺れるリズムの中、楽しい夜はふけていったのであります。


初めから余談となりますが、伊東市の市長が学歴を偽っていたというニュースを見て、その詐称した学歴が東洋大学であることに力が抜ける。というのもぼくの出た大学が東洋大学なのです。何やっているんだかな、というのがぼくの感想。詐称するほどの大学なのかな? などと思っていると、ぼく自身も本当に卒業できたのだろうか、不安になってきます。けれど「卒業生の皆様へ」、で始まる寄附を募る手紙が今の東洋大学の様子を伝える薄い雑紙とともに定期的に送られてきて、やっぱ卒業したんだ、などと胸をなでおろす。もうはるか昔のことになってしまったよ。東京都の都知事などは「嘘はつきとおさなきゃだめよ」などと思っているのだろうか?
『サンボマスター 究極ベスト』です。車の中でとか聞いていると楽しい。サンボマスターは好きです。最近、サンボマスターはサッポロビールのコマーシャルなんかにも登場しているな。それもなかなかいい。サンボマスターは東洋大学の軽音サークルで結成されたバンドだ。入っていたサークルは違いらしいけれど、大学生としては、ぼくのはるかなる後輩です。サンボマスターの三人を見ると、こういう容姿、容貌の男子がたくさんいた、と思い出すようで、なぜか懐かしい。メンバーの三人が卒業しているのか、どうかはよく知りません。学歴なんか関係ねー。ロックンロール!


『雲助おぼえ帳 滑稽噺から芝居噺まで厳選55席を語る』を読みました。演芸評論家の長井好弘さんを相手に、この前、人間国宝たる重要無形文化財保持者となられた五街道雲助師匠が、「第一章 落し噺」、「第二章 廓噺」、「第三章 人情噺」、「第四章 世話噺」の章立てで語りまくっておられます。
この実演者による芸談は、もしかして、格好の歴史的な資料であり、後任の落語家たちへのまたとない指南書でもありましょう。素人のぼくのようなものが読めば、楽屋裏の奥深い話題に興味はつきません。とても面白い読みものでございます。
「第四章 世話噺」でたくさん取り上げられているのですが、寄席ではかからない長講の噺もあって、ホールでの落語にも行きたくなってしまいます。雲助師匠はホール落語で「宮戸川」を全編、かけるそうですが、ぼくは寄席では前半の噺しか聞いたことがありません。
五街道雲助師匠の古典落語の探求、研究の凄みも感じられる、そのような『雲助おぼえ帳』なのです。
書籍:雲助おぼえ帳




銀座の観世能楽堂で能楽を見ました。狂言は宝生流の「呂連(ろれん)」で能は観世流の「江口(えぐち)」でした。能楽の前に国文学研究資料館名誉教授の小林健二さんの解説もありました。
「呂連」は僧に感化され出家し、剃髪した男に、その女房があらわれ、どうして髪などを剃っているのか、と僧、男、妻の三者で滑稽な騒動が巻き起こります。人とは昔も今も変わらない愚かで滑稽な存在だとぼくは思ってしまいます。シテの僧をお茶の間の人気者のでもある野村萬斎さんが演じます。
「江口」は世阿弥の名曲であります。「世の中を厭ふまでこそ難からめ仮の宿りを惜しむ君かな(困難な出家よりも、はるかに容易な一夜の宿さえも惜しむとは、無情なお方だ)」の西行の歌に返歌した遊女の江口の君の「世を厭ふ人とし聞けば仮の宿に心留むなと思ふばかりぞ(世を厭って出家した人であるのに、この世の仮の宿という俗世の事柄に心をお留めなさるな)」に端を発した物語。江口の君は西行の宿泊させてくれという頼みを断ったという故事から、とある僧の前に江口の君の霊が現れ、この世界、この世もすべて、仮の住処であることを明かし、自らは普賢菩薩であることも明かし、白象に乗り、天に戻ってゆきます。見事な圧巻の舞いでありました。シテの江口の君を舞ったのは中村貫太さんでありました。
この日の公演は「能を知る会」ともタイトルをつけられていて、能楽の鑑賞の後、能のシテの中村貫太さん及び小林健二さんと観客での質疑応答もありました。初めて能を見たとある若い女子は、どうして、遊女が普賢菩薩と成り得るのか、そこがよくのみこめない、理解できない、どういうことでしょうか、と質問しておりました。小林健二さんは日本の仏教の特色として、賤なるものこそ聖なるものに近い、そのようなとらまえ方、感じ方があるのではないか、と答えられておりました。なるほど、とぼくは思いながら、ヒンドゥー教のカーリー神とパールヴァティー神の関係、キリスト教のマグダラのマリアのこと、仏教の汚泥の中の蓮の花のたとえのことなどを思い出し、賤なるものが聖なるものに近い、という感じ方は、人類共通の何かかもしれない、と思った次第であります。本当の救済は罪や賤、汚泥の中からかろうじて生まれるものかもしれません。
さて、能楽の後、地下鉄で上野に移動し、九月二十三日、鈴本演芸場での令和七年九月下席夜の部「寿 真打昇進襲名披露興行」であります。例のごとく、見た演目を書き出してみます。翁家社中のお二人の太神楽曲芸、二つ目の三遊亭伊織くんの「寄合酒」、金原亭馬生師匠の「不精床」、林家楽一師匠紙切り、林家彦いち師匠の「熱血!怪談部」、林家正蔵師匠の「鼓ヶ滝」、立花家橘之助師匠の三味線弾きの唄いの浮世節、春風亭一朝師匠の「湯屋番」で仲入りのです。林家正蔵師匠、柳家喬太郎師匠、金原亭馬生師匠、林家彦いち師匠も登場し、林家なな子 師匠のめでたい「真打昇進襲名披露口上」、すず風金魚さんとすず風にゃん子さんのお二人の漫才、柳家喬太郎師匠の「親子酒」、吉原馬雀師匠の「暴走族」、江戸家猫八師匠の動物ものまね、主任は本日の真打昇進の主役、林家なな子師匠の「徂徠豆腐」でした。
林家なな子師匠の「徂徠豆腐」はまっすぐな素晴らしいハッピーエンドの人情噺でした。感動しました。
暗いこの世のつらさ忘れ、寄席は心のオアシスです。
いい一日が過ぎていきました。


大友啓史監督の『宝島』を見ました。直木賞を受賞した真藤順丈さん原作は、直木賞を受賞した年に読みまして、とても面白かった記憶がありますが、話の筋はまったく忘れてしまっていて、それはそれで、映画鑑賞に都合がよろしゅうございます。敗戦の7年後の1952年から1970年までの現代史を3時間で駆け抜けます。それを背景にした東映のやくざ映画のようでもあって、それに人間のドラマと自由、平等、人権といったテーマが重なります。
主演の刑事のグスクを演ずる妻夫木聡さんがかっこいい。さらにいいのが行方不明の米軍基地から物資を盗んで人びとに分け与える伝説の怪盗団、戦果アギヤーのリーダーの恋人、ヤマコを演ずる広瀬すずさんです。1950年代、1960年代の沖縄の景色がとてもリアルです。そして、それは暴動のシーンになだれこむ。たまりにたまった米軍の無法に怒りがついに爆発する暴動のシーンからつながった希望の言葉のラストがいい。ふと今の現実を顧みれば、アメリカの従属国である日本の矛盾が集約したかのような沖縄の苦しみが今でもつづいていることにぼくは心が痛い。
映画『宝島』公式サイト | 劇場で、たぎれ!


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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。


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