えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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谷崎潤一郎の著した『陰翳礼讃』を読みました。去年、太田美術館で江戸時代のもっとも後期の浮世絵画家である葛飾応為のほの暗い「吉原格子先之図」を見てから、古典の大家であり、ノーベル文学賞の候補ともなる文豪であり、ヘンタイな小説家である谷崎の『陰翳礼讃』を再読したいと思っておりました。

谷崎は、厠やら羊羹、屏風、障子、和紙、漆器、能、文楽などの日本のありとあらゆるものを持ち出してきて、日本の陰翳を礼讃しているのです。面白かった。

読んだのは中公文庫版で、『懶惰の説』、『恋愛及び色情』、『客ぎらい』、『旅のいろいろ』、『厠のいろいろ』も掲載。戦争をはさんだ昭和の時代、昭和五年から昭和二十三年に書かれた名随筆の案配です。

陰翳礼讃 -谷崎潤一郎 著
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イスラエルの歴史学者、イラン・パペ博士が2007年の来日時の講演と議事応答を記した『イラン・パペ、パレスチナを語る 「民族浄化」から「橋渡しのナラティヴ」へ』を読む。

イラン・パペさんは、シオニズムに疑義、反対意見を提示し、1947年のイスラエルの建国の際にパレスチナ人に行われたことは、民族浄化などによる追放だとし、イスラエルのすべての大学から任官拒否され、殺害予告され、イスラエルを出国せざるえず、今はイギリスのエクセター大学で教鞭を取っている。「共に生きることを望むなら彼らを二つの国に分けることはできない」のメッセージとともに、イスラエルとパレスチナは正式に二国家共存により解決されるのではなく、ユダヤ人とアラブ人のどちらが主導権を持つわけでもない一つの民族共生国家による平和をパペさんは主張している。

この本で主張されている「橋渡しのナラティヴ」は、まだ完成されていない概念のようだけれども、その困難さこそ未来に寄与され、何か明るいものを照射するかのようなのです。ぼく自身のことに話をたぐりよせれば、残った人生で「橋渡しのナラティヴ」に何かを寄与するような歌が作れ、歌えれば本望のような気もしてくるのです。そして、ガザの本当の平和を祈らずにはいられません。

イラン・パペ、パレスチナを語る
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本の帯から引用するに、多くの権力者を敵にまわすと同時に多くの民衆から愛された、パレスチナの風刺漫画家、ナージー・アル・アリーの『パレスチナに生まれて』を読む。この本の原題は『A Child in Palestine』で、この「A Child」とは難民として祖国から逃れざるえなかった子ども時代のナージー・アル・アリーその人ではなかったか? その少年にナージー・アル・アリーは「ハンダラ少年」と名付けていて、どのような少年であるかというと、この本を翻訳した四方田犬彦さんの解説から引用するに、「パレスチナの人たちの本当の姿はテロリストではなくて、貧しく無防備な、しかし誇りを失わずに状況を見すえる存在なのだということを知ってほしい」というような少年だ。ナージー・アル・アリーは五十歳で1987年に再びパレスチナの地を踏むことなく、ロンドンで銃撃され暗殺された。

ぼくがイスラエルという国に問題があり、イスラエルによる暴力とイスラエルがシオニズムと名付けた土地の収奪によるパレスチナ人の絶えざる受難と受苦を知ったのが、二十歳のころガッサン・カナファーニの小説を読んでからだから、その時から何十年も経ち、何の解決も見れず、ガザで最悪の事態にまでなっている。ぼくは、ぼく自身の数十年もの間の無関心を悔やんでもいて、漫画を描くナージー・アル・アリーのようなペンの力、文化の力、そして、ジョン・レノンが「Power to the People」で歌いもした大衆の力も信じつつ、パレスチナの人たちが、チリのビクトル・ハラの歌った「平和に生きる権利」を当然のものとする日がくるまで、力なくも、祈り、書き、言葉を発し、暴力に反対し、平和を歌いたいのです。

書籍: パレスチナに生まれて: いそっぷ社
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高橋源一郎さんの著した『一億三千万人の『歎異抄』』が面白くて一気読みしました。浄土真宗にとって最も重要な文章の一つ『歎異抄』は唯円によって親鸞の述べたことを書いた書物で、それを小説家の高橋源一郎さんが現代語訳したものがこの本で、とても平易な言葉で書かれつつも、原文を損なわず、歪めもしない優れた分かりやすいものでもあります。巻末に原文も掲載されていて、高橋さんの現代語訳を読んでから、原文を読むと、すっきりと胸に落ちます。「宗教って何だ(『歎異抄(タンニショウ)』を「翻訳」しながら考えたこと)」と題された高橋源一郎さん自身による解説も面白い。新しく優れた『歎異抄』の現代語訳本が出来上がっており、浄土真宗に何か縁を感じ、興味をいだいた人にお奨めの一冊であります。

一億三千万人のための『歎異抄』 - 朝日新聞出版
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岡真理さんの著した『ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義』を読む。これは、早稲田大学の教授をしておられる岡真理さんが、昨年の十月二十日に京都大学で、十月二十三日に早稲田大学で子どもを含むガザの市民への無差別の爆撃と殺戮の始まった直後の緊急の講義を加筆・収録した本。読みすすめ、パレスチナ人の七十五年前から今までの苦しみを知り、胸が痛くなる。

イスラエルの人道にもとる占領に抗議し、ぼくも何度も即時停戦を訴えます。この二十一世紀に残された最悪のイスラエルという国の犯罪は、ぼくの目の黒いうちに、その残虐さを問われ、解決の端緒は見つかるのだろうか? そうあってほしいと願いつつ、この感想文を書いて、本を閉じる。街でパレスチナを支援する集会に出くわせば、ぼくはいつでもそのラインに加わろう。

ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義 (単行本)
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近藤ようこさんの描いた漫画『説教 小栗判官』を読みました。何度目かの再読であります。中世の日本の物語そのままに、傑作にして名作で、はじめてこの物語に触れる人のためへのお奨めの本であります。

「説経 小栗判官」近藤ようこ [ビームコミックス]
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落語への興味が高じて、堀口茉純さんの著した『江戸はスゴイ 世界が驚く! 最先端都市の歴史・文化・風俗』を読みました。これを読めば、江戸というのは東洋随一を超えて、世界一の都市だったのかもしれませんぜ。この本『江戸はスゴイ』の口絵にある「『東都歳時記』に「宇宙一の壮観」と表現された両国橋夕涼みの光景」に驚きます。この壮観の中のどこかにやっつあん、くまさん、与太郎、ご隠居、おかみさんらの落語の登場人物がいるに違いあるめえ。江戸万歳だなといって、ぼくは本を閉じました。めでたし、めでたし。

江戸はスゴイ | 書籍
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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