えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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濱口竜介監督の『悪は存在しない』を見る。初めの方は少し眠たくなったけれど、ストーリーが展開し始めると、目がはなせなくなっていました。

今は亡き青山真治監督を映画をなんだか思い出してもいました。ストーリーは単純なんだけれども、モンタージュの手法を使ったシーンほ饒舌である気がした。これには濱口監督の尊敬する小津安二郎を思い出す。昔、鎌倉の大きな市民会館みたいのところで、小津安二郎の『東京物語』を見たことがあるのだけれど、映画の後、濱口竜介監督が登壇し、いろいろなシーンの紐解き、謎解きのような解説をしていて、映画を作る側では、このような見方をするのかと、感心したことがあったのです。

この『悪は存在しない』は、ラストのシークエンスに、どう受けとめていいのか、ぼくは当惑してしまう。映画の背景となる寒村は、ぼくが近頃、渓流釣りをしに行くところのようだ。その光の美しさ。ともあれ、ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)受賞、おめでとうございます。

映画『悪は存在しない』公式サイト - EVIL DOES NOT EXIST

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ぼくの大好きなパスカルズが音楽を担当しているということで、興味を持ち、伊勢朋矢監督の『日日芸術』を見ました。

この前のNHKの朝ドラで趣里演じる福来スズ子に弟子入りを志願する福島出身の小林小夜役を演じた富田望生さんが、そのまま俳優としての富田望生を演じています。ある日、富田望生が普段は見かけない喫茶店に入ってみるとセロテープのつぎはぎの奇妙な眼鏡をもらい、それをかけて、世界を見てみると、いつもとは違う景色、ものやことが見えてしまうことから映画は始まります。

面白かった。美しかった。富田望生さんはもっとも注目すべき若手の俳優だとぼくは思いました。パスカルズも眼鏡をかけると見える摩訶不思議な楽団として出演していて、それも、とても楽しい。丘の野原の上でみんなで踊るシーンとか、最高です。じゃがたらの江戸アケミのこんな言葉も映画に登場して、はっとしました。

「やっぱ自分の踊り方で踊ればいいんだよ」

そんな踊りもたくさん出てくるのです。そして、芸術って素晴らしい。自分の踊り方で、きみにも、きっとぼくにもできますよ。

映画『日日芸術(にちにちげいじゅつ)』公式ページ
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クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』を見ました。「原爆の父」とも呼ばれるロバート・オッペンハイマーその人を、二つの事件、原爆開発の「マンハッタン・プロジェクト」と「レッド・パージ(赤狩り)」を軸に描いています。

この映画のもっとも大きなテーマは原爆を開発し、それを日本の二つの都市、広島と長崎に投下されたことのオッペンハイマー博士の苦悩であることは間違いありません。オッペンハイマーの一人称的な物語のこの映画には、実際の広島と長崎は直接は描かれていないのだけれども、戦後、原爆を開発した博士の心の闇と狂気は広がっていくかのようなのです。ついにオッペンハイマーは科学者の良心に断罪され、世界の暗い絶望の未来すら悪夢の中にほのめかされる。

ハリウッド的なエンターテイメントの向こうに、クリストファー・ノーラン監督は自分の国の加害ということについてに、アメリカの映画史上、初めて向き合っているようで、ある種、アメリカの歴史の中でも画期的な映画でもあると思いました。

映画のエンドロールを見ながら、ぼくは、広島と長崎の原爆の被害による死者を哀悼の祈りを捧げ、世界は二度とこのようなことを繰り返さないであってくれと願います。

映画『オッペンハイマー』公式|3月29日(金)公開
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山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』を見る。

よく批判されている終戦後の焼け跡の日本に進駐してきた米軍がいないのは、愛国をどこかしら謳おうとするこの映画にとっては、アメリカは何らかの雑音、夾雑物であるからだろうか? 主人公の名前の「敷島」とは日本を指す古語であったりすることの符丁。ぼくは特攻ということにどうしても嫌悪を感じてしまい、ゴジラという怪物以上に、この映画の登場人物にどこか、不穏な何かを感じてしまう。

最近、なぜかよく思うのだけれど、戦争を経験してしまったものにとって、戦争が終わることはないのかもしれない。それほど戦争とは邪悪で恐ろしいものだ。その中で最も恐ろしいものがすべての生物を大量に焼き尽くす原爆や水爆の核兵器であるだろう。水爆によってそのようにならざるえなかったゴジラ。

ラストの物語のエンターテイメントの映画としての回収の仕方はそれは見事なもので、思わず予想外の感動をおぼえてしまった。そして、続編すらありそうなエンドロールへの続き方。その続編では、むしろ、『オッペンハイマー』のアメリカに反訴してほしい。

ぼくはやっぱり本多猪四郎監督の初代の『ゴジラ』が好きです。

映画『ゴジラ-1.0』公式サイト
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三上知恵監督の『戦雲(いくさふむ)』を東中野ポレポレで見ました。

南西諸島のドキュメンタリー映画を見ながら、ぼくは撮影期間の七年間でのその地域のあまりの変貌に驚きます。いい方にではなく、悪しき戦争の暗い雲が垂れ込めているような方への変貌に胸がふたがれる思い。

ヘミングウェイの『老人と海』に登場するかのようなカジキマグロを追う漁師のおじいが、この『戦雲』にある種のヒーローとして出てきます。南の島の神話すら心と体の奥に秘めているかのようなその人は、もとは基地や自衛隊が島に来ることを容認していたそうなのだが、軍用車両が我が物顔で行き交うようになった島に、与那国の人間だけだったら、平和なままだったのではないかと心は揺れ、考えてこんでしまう。

次から次へと約束は反故にされ基地は拡張され、夜遅くまで演習の騒音が家々に響く。映画を見つつ、ぼくには内地の人間の沖縄への差別もあるように思えてしまう。パンフレットから三上監督の三つの文を引きます。

「住民まで玉砕を強いられた沖縄戦で勇気を振り絞って命乞いをした「白旗の少女」を今こそ全力で肯定し、「立派な死」という概念が甦ろうとした時代に抗していかなければならない。」

「国を守るために「やむをえない多少の犠牲」になっていい地域など、どこにもない。」

「濃紺に透き通る海に囲まれた、あの豊かな自然と誇り高い文化を紡いできた人々に送られるべきは、敬意と称賛であって、島外避難命令であってはならない。」

この映画『戦雲』にあるように、ぼくはまず、平和を祈ることから始めたいと思います。

映画『戦雲 -いくさふむ-』公式サイト|三上智恵監督最新作
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リサ・コルテス監督の『リトル・リチャード アイ・アム・エヴリシング』を見ました。ロックンロールのオリジネイターであるリトル・リチャードのドキュメンタリーの伝記映画にして、日本でもちらほら見かけるようになった「クイア」という言葉、そのクイア賛歌であることも素晴らしい。今こそ知られるべきリトル・リチャードが時代を切り開いた。そして、黒人教会での信仰、人種差別、麻薬のことなども、リチャードの生涯をたどりつつ、出てきます。

いずれにしろ、ぼくはダイナマイトがこれでもか、こらでもかと爆発するかなようなリトル・リチャードのロックンロールが大好きだ。そして、ロックンロールは、人々を解放した、二十世紀が生んだ最も偉大なものだよ。そして、ロックンロールはリトル・リチャードなんだよ。

映画『リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング』公式サイト
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あつぎのえいがかんkikiでアンドレイ・タルコフスキー監督の1983年の映画『ノスタルジア』を見ました。ほとんどストーリーのない映画で何度か眠くなってしまった。すべてのシーンが、意味のよく分からないそれも含めて、美しく象徴的な絵のようです。この映画は、ロシア、当時のソビエト連邦を逃れた詩人である監督自身が、それでもロシアへの望郷を思い出すかのように夢見る、そのような映画だと思いました。

自由を求めてパリに亡命し、ペレストロイカを知らずに、1986年に54歳で客死したタルコフスキーは、ウクライナに侵略する今のプーチンのロシアを、生きていたら、どう見るのだろうか? ロシアについては幻滅から絶望へいたるだろうけれど、人類への希望の火は心に灯しつづけただろうと、この『ノスタルジア』のラストのシーンを見ながら、ぼくは思うのです。

「ノスタルジア4K修復版」公式サイト
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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