えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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ロバート・レッドフォード監督の『リバー・ランズ・スルー・イット』を見ました。フライフィッシングを始めてから、ずっと見たかった映画をついに映画館で見てしまった。

大自然のモンタナの渓谷でのフライフィッシングのシーンはそれほど多くない。けれど、魚が毛鉤を咥えるシーンには思わずドキドキしてしまいます。

アメリカ人はこの映画を見て、深い郷愁を感じるのだろうな、などと思う。

ブラッド・ピット演ずる早折する釣りの天才の弟は、厳格な牧師の父や生真面目な兄にどこか挑戦するかのようなのだ。その弟のラストのフライフィッシングのシーンがまぶしく、かっこよく、美しい。渓谷の川で毛鉤を流すあの何ともいえない感じもありなのです。

原題は「River Runs Through It」でその「It」とは何なのだろう? ふとフライフィッシングをしている時に、すべては光の中にあって、その中にぼく自身もいて、光になっている気がしはしないだろうか? それがきっと「It」ということだよ。

リバー・ランズ・スルー・イット : 作品情報
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ケリー・ライカート監督の『ファースト・カウ』を見ました。

暗い夜のシーンが多いのとストーリーの流れがゆるやかだからか、時おり眠くなってしまいました。

舞台は18世紀半ばのアメリカ西部コロラドの森で美しい。吹きだまりのような小さな町には、白人、黒人、ネイティブ、アジア系の人たちと犬、猫、鶏。こんな背景を見ながらアメリカの歴史も確かに現代によって更新されているのだなとぼくは思います。誰かがその小さな町のはずれに一匹の雌牛をもたらします。その牛のミルクを無断でしぼり、主人公の白人のコックと中国系の流れ者の二人は、美味しいドーナツを作り、一山当てて、この森の中の吹きだまりから抜け出して、南の方へ旅立つことを夢見ます。さて、どうなるかは、ご覧ください。

これは21世紀になり、新たに作られたアメリカン・ニュー・シネマであり、歴史にあった過ちや忌まわしい悲劇を含みつつ、新たに発見された美しいアメリカなのではないかしら。

映画『ファースト・カウ』オフィシャルサイト
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久保茂昭監督の『ゴールデンカムイ』を見ました。奇怪な人物が次々と登場し、活劇と殺陣を繰り返すこの映画は見るものを飽きさせませんが、その殺伐とした中で、山田杏奈さんの演ずるアシㇼパのみが華麗な清涼であり、救いのようでもあると、ぼくは思いました。

殺伐ではなく、どちらかというと、ある種類の小津安二郎の映画にあるようなしみじみに惹かれてしまうしまうぼくは、アイヌのコタン(村のこと)のシーンに見入ってしまいます。小津映画にも残酷さや不気味さは多いけれど。

この『ゴールデンカムイ』は物語としては、序章で終わってしまうような印象です。これから物語は展開しそう。エンドロールの後が予告編のようになっていた。

アイヌの生活や風俗も丁寧に描かれていて、そこはとてもよかった。そして、北海道の大自然。白いオオカミがかっこよくて、かわいい。続編が作られれば、やっぱり見に行きますぞ。

映画『ゴールデンカムイ』公式サイト
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香港のアナスタシア・チャン監督の『燈火(ネオン)は消えず』を見ました。ノスタルジーこそぼくの心を動かす、そんな齢になっている自分を再び発見するかのような映画です。しかも、後半には小津安二郎の映画のような展開になり、ぼくは驚いてしまいます。あるものがなくなっていくのは何て寂しいことでしょう。付き加えるに、このネオンというのは、民主主義のメタファーであるかもしれないとぼくは思ってしまう。自由な香港もネオンが消えるように消えた。なんだか涙が出てくる。

映画『燈火(ネオン)は消えず』公式サイト
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新百合ヶ丘の川崎アートセンターでシノニエ・チェクウ監督の『ティル』を見ました。川崎アートセンターはあつぎのえいがかんKIKIと同じぐらいよく見にいく独立系の映画館でとても重宝しております。

1955年のアメリカでの人種差別による「エメット・ティル殺害事件」を映画化したもの。後半の茶番のミシシッピーの法廷のことの後、主人公が町を去るシーンはよかったけれど、ハッピーエンドではなかった。

映画を観て、ぼくはこの世界が1955年から、どれほど変化し、進歩してあるのかと、疑問にも思ってしまう。映画に描かれた昔日のミシシッピ州は差別と憎悪が常態化し、あたかも今のイスラエル国のようだ。その今のイスラエルを支援し続けるアメリカ合衆国は、無差別な発砲事件が絶えず起こる、世界で最も野蛮な国の一つかもしれない。それに、国境とかの話の前に、一つの国の中では、いろんの人種、民族、いろんな宗教を信じる人が生活していて、誰もが平和に、自由に生きていっていいのだとも思うし、その権利が人にはあるのだと思う。

エンドロールでは憎悪犯罪を取り締まる「反リンチ法」がアメリカで成立したのが2022年という遅さで、アメリカも、アメリカ以外の世界にも、当然、日本にもそのようなことがまだまだ足りない、とぼくは映画の見ながら思っていました。

映画『ティル』
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神保町シアターで小津安二郎監督の『長屋紳士録』と『お茶漬の味』を見ました。これで戦後の小津安二郎の映画はすべて、映画館で見たことになります。

『長屋紳士録』は落語の長屋の人情噺のような風情が素敵すぎます。飯田蝶子演ずる戦争が終わった直後のバラックの家に子役の青木放屁演ずる親とはぐれた子のめでたしめでたしの別れが涙をさそいます。

『お茶漬の味』は、海外に単身赴任する夫と妻が別れの前の夜にお茶漬を食べるという、それだけの話で、これだけでよく映画として成立させて、客を感動させるのは、奇跡のようなことではありますまいか。映画が終わりふと隣に座っていた知らない若い女子を見ると、涙で赤く目をはらしているようでした。木暮実千代演ずるつんつんした妻に佐分利信演ずる夫のやさしいこと、やさしいこと。夫は糠漬けのきゅうりかなにかを包丁で切る妻に手を切らないかいと気づかい、着物のにの腕の裾をそっともってやったりします。ご飯を食べる妻が自分の手が糠味噌臭いというと、夫は指が驚いているんじゃないかという。いつの時代も人の求めているのは同じで、さりげないやさしさと気づかいなのですな。そして、めでたしめでたしとなります。

小津の人を見る目のやさしさに心を打たれた二本でした。
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古賀豪監督の『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を見ました。見始めると、ぼくは、この映画の昔の日本のどこかの村の因襲にまみれた怪しげな世界に、鬼才、市川崑監督の『犬神家の一族』を思い出してしまう。物語が進むと更に更に、映画は妖気ただよう世界に進んでいき、すさまじい。小学生が見ると、トラウマになりそうです。日本でしか成立しない物語に戦後日本への批評も表される。日本のアニメはやはり凄い。そして、ついに鬼太郎は誕生するのです。

映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』公式サイト
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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