えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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パレスチナ人監督モハメッド・サワフとイギリスの名匠マイケル・ウィンターボトムが共同監督の『忘れない、パレスチナの子どもたちを』を見ました。今、起こっていることよりも前の2022年の映画だけれど、ガザで爆撃されて殺された子どもたちの肖像と遺された家族へのインタビューとその後の日常は、見ていて当然につらい。

ラストに緊急に今のガザで撮られたモハメッド・サワフ監督のインタビューがあり、虐殺の進行中のガザでは人々が必死に生きのびようとしているということ。ぼくに生まれた心の中の声は、大義とかぬかすイスラエルの正義を信じるな、ましてやアメリカーの正義も信じるな、ロシア、おまえもだ。子どもの命がこのように奪われていいわけはない。

『忘れない、パレスチナの子どもたちを』をより多くの人に見ていただきたく、この映画の日本語版のナレーションを担当した坂本美雨さんの言葉を引用したいと思います。Ceasefire now!

「今パレスチナで起きていることは"戦争"でも"宗教の争い"でも"ハマスが10月7日にしたことの報復"でもなく、76年間続いてきたイスラエルのパレスチナ人の虐殺と民族浄化です。今この瞬間も世界は、無実の子どもが殺されることを許している。好きなことがあった、やりたいことがあった子どもたち、この映画は、消されてしまった命の一つ一つの物語を、私たちの胸にひとりひとり、刻みつける。」

映画『忘れない、パレスチナの子どもたちを』公式サイト
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アレックス・ガーランド監督の『シビル・ウォー アメリカ最後の日』を見ました。『シビル・ウォー』の映画の中ではいきなり内戦下のアメリカ合衆国でカリフォルニア州とテキサス州の合同軍が首都のワシントンD.C.に進撃しております。それがどのようないきさつなのかは語られません。ニューヨークにいる主人公の報道カメラマンは仲間たちとワシントンD.C.に向かうというロードムービーになり、さまざな内戦の実相が描かれます。それを見ながら、4年前のアメリカ大統領選でトランプがワシントンの議会に向かえとアジテーションをしたことをぼくは思い出しました。当時、ニュースでこれを見ながら、1970年の日本で過激派の学生たちが成し遂げたかったことが、あっさりと行われたことに驚きもしました。日本のアメリカに赴任する大使館員は、ここは東の端と西の端にアメリカ共和国があり、残りの中央部は広大なジーザスランドだと教わるとどこかで聞きました。

閑話休題、『シビル・ウォー』の映画の中では荒んだ暴力がはびこり、ラストでは、驚くべきことに、あっさりとあることが実行されてしまいます。それは何であるかは、この映画をこれから見る人のためにも、述べるのを控えたくも思うのです。暴力の国、アメリカ合衆国。

映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』|大ヒット上映中
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NHK朝の連続テレビ小説の『寅と翼』が大団円を迎え、終わってしまった。テレビ画面でもうこの人たちに会えないかと思うと、万感、胸に迫り、寂しい。初めて朝ドラをすべての回を見てしまった。時間の都合で見れない時は気になって、インターネットのNHKプラスで見ていた。

ドラマを見ながら、ふと、若いころに読んだドストエフスキーの小説を思い出していた。いろんな、何か欠けた人たちが次々に登場し、時代に翻弄されながら、何度も騒動を巻き起こし、その解決が再び事件となり、フィナーレに向かってゆく。けれども、何も欠けていない人なんているだろうか? そういう意味ではすべての登場人物が気になってしまう。それはドストエフスキーを論じたバフーチンの「カーニバル論」や「ポリフォニー論」のようだ。どうして人を殺してはいけないのかという、倫理の問題までも内包し、ゲイの轟太一や性を捨てた山田よねの半地下の法律事務所は抑圧された人たちの法と正義、自由を探求し、実践するシナゴーグ(ユダヤ教会)のようにも見えてくる。物語の後半、轟太一がぼくの好きな三島由紀夫に見えてしかたなかった。轟の山田への「山田、行けー!」の声は、おまえの見ている世の中のすべての嘘を否定しろという鼓舞のように聞こえてしまう。そのように、戦前、戦中、戦後の日本の最も激しい時代を、佐田寅子とその仲間たちはテレビの中であるけれど生きたのである。

米津玄師の主題歌「さよーならまたいつか!」もかっこよかった。

虎に翼 - NHK
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フー・ティエンユー(傅天余)監督の『本日公休』を見ました。台湾発のヒューマン・ドラマの舞台は台湾の町はずれの時代遅れになりつつあるかもしれない理髪店なのです。続いていく日常が日だまりのような穏やかな幸せであるかのように描かれております。理髪室の老いの年齢にさしかかった主人公が古いボルボの車を運転して旅に出ます。さて、何が起こるかは秘密にしておきますね。

ぼくはふと、いつも行く「ブルーノート」という床屋さんを、この映画を見ながら思い出しておりました。昔ながらのそこは、アンティーク調度品やら装飾品の並んでおり、ジャズの静かにかかる「ブルーノート」で、ぼくは髪をかられながら、いつも居眠りをしてしまうのです。ふと起きると、髪を切ってくれている主人は、ぼくにいつも同じことを言ってくれるのです。

「眠いですね」

これが「幸せ」と呼ばずして何を「幸せ」と呼ぶのでしょう? 保守とは古い蕎麦屋を守ることだというのは聞いたことがありますが、古い理髪店を守ることも保守に違いありません。そこで営まれているのは昔ながらの平和な光景なのです。そのような幸せが『本日公休』にもあって、なんともあたたかな名品、名作なのです。

9/20公開『本日公休』公式サイト
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石井岳龍監督の『箱男』を見ました。原作は安部公房。

高校生のころ、文化祭か何かで見た安部公房が戯曲を書いた演劇『棒になった男』とかを思い出し、その何ともいえない気持ち悪さを思い出してしまいます。

ぼくのなかなかと思う三人の俳優、佐藤浩市さん、永瀬正敏さん、浅野忠信さんが出演しています。佐藤浩市さんの演じた軍医が気持ち悪くて、いい。看護士役の白本彩奈さんがとてもきれいです。

石井岳龍監督というと『逆噴射家族』がとても面白かった。

安部公房原作の映画で思い出すのは勅使河原宏監督の『砂の女』です。主演女優の岸田今日子がとてもよかったのですよ。

『箱男』は久しぶりにわけの分からない映画を見た感じがしました。不条理演劇というのは今でも演じられているのだろうか? 映画館を出てふと見渡すと、みんながスマホを覗き見ているような気持ち悪い世界にぼくも生きているような気もするのでした。

映画『箱男』オフィシャルサイト 2024年全国公開
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レイモンド・ブリッグズの絵本を原作としたジミー・T・ムラカミ監督の『風が吹くとき』を見ました。イギリスのどこかの郊外で核戦争に見舞われた老夫婦を描いたアニメ映画でした。善良で国家の宣伝に従順な老夫婦が核爆弾を被り、ついには放射能の障害で死んでいく物語なのですが、とても怖かった。

ソビエト連邦とアメリカ合衆国の対立は大量の核兵器を抱え込み、「冷戦」と呼ばれたのだけれど、この『風が吹くとき』は、その冷戦のさなかの1986年に英国で制作されたので、その後、1991年にソビエト連邦は崩壊し、けれども何も変わっていない今という現実も恐ろしい。人類が生き、さまざまな生きものたちが生きるこの地球が続いていくにには平和しかないと思うのだけれど、この映画の老夫婦のように、人々は、結局、知らないふりをしつづけるのだろうか? 昨日は原爆が広島に落とされた日で、明日は原爆が長崎に落とされた日なのだけれども。

日本語吹き替え版の監修は大島渚で声の出演をしている森繁久彌と加藤治子のお二人がうまい。音楽はピンクフロイドのロジャー・ウォーターズ。映画の冒頭の主題歌はデヴィッド・ボウイ。

核戦争は起こったら終わり。

映画『風が吹くとき』(日本語<吹替>版)/8月2日(金)公開
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アレクサンダー・ペイン監督の『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』を見ました。アメリカの全寮制の高校の寄宿舎にクリスマスシーズンにそれぞれの理由から家に帰れずに取り残された三人、先生と生徒、食堂の料理長のお話でした。なんだか1970年代の日本映画のようで、不思議とノスタルジックな気持ちになってしまい、映画を見ながら、なんだか、自分の高校時代を思い出したりもしていました。それはもちろん1970年代のたかが数十年前の話なのですが、歴史というのは、いろんなところで、いろんな風に、同じことが起こっている、そういうことなのかもしれませんぞ。なんだか、とても暖かい気持ちになる、そんな映画でした。

『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』公式サイト
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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