えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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瀬々敬久監督の『ラーゲリより愛を込めて』を観る。年の瀬にドスンと感動し、感涙してしまった。

この映画を見る前に,ぼくの亡き父もシベリアの抑留者であったことなどを思いだす。もしも父がこの映画を観たのなら、どう思っただろうか、などとも考える。この映画の主人公のように極寒の果てに地でたくさんの死も見ただろうが、父は戦後を生きぬいた。これ以上に何があろう?

そして、父にとって戦後の世界は、いつまでも戦後であったのかもしれないとも、なぜか思ってしまう。たぶん、片時も戦争のことは忘れたことはなかったのではなかろうか?

『ラーゲリーより愛を込めて』もそのような映画であると思った。

映画『ラーゲリより愛を込めて』公式サイト
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中江功監督の『Dr.コトー診療所』を見ました。こういうラストの大団円は好きだなぁ。

映画を見ながら、なんだか、「ヒポクラテスの誓い」ということを思い出してしまっていた。

「・この医術を教えてくれた師を実の親のように敬い、自らの財産を分け与えて、必要ある時には助ける。
 ・師の子孫を自身の兄弟のように見て、彼らが学ばんとすれば報酬なしにこの術を教える。
 ・著作や講義その他あらゆる方法で、医術の知識を師や自らの息子、また、医の規則に則って誓約で結ばれている弟子達に分かち与え、それ以外の誰にも与えない。
 ・自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。
 ・依頼されても人を殺す薬を与えない。
 ・同様に婦人を流産させる道具を与えない。
 ・生涯を純粋と神聖を貫き、医術を行う。
 ・どんな家を訪れる時もそこの自由人と奴隷の相違を問わず、不正を犯すことなく、医術を行う。
 ・医に関するか否かに関わらず、他人の生活についての秘密を遵守する。
 この誓いを守り続ける限り、私は人生と医術とを享受し、全ての人から尊敬されるであろう!
 しかし、万が一、この誓いを破る時、私はその反対の運命を賜るだろう」

時代遅れのところもあるかもしれないけれど、ただただ人のためにという本質は変わらない。ぼくはぼくの人生において、人のためにと労をいとわずに、何かをしたことがいくらばかりであっただろうか、などとも映画館を出てから、考えてこんでしまう。誰かのためにということは本当に素敵なことです。

映画の中の南の方の小さな島に、その素敵な人、大丈夫ですよ、といってその手をさしのべ治療に全霊をかけるその人、ドクター・コトーは確かにいたようなのです。

映画「Dr.コトー診療所」公式サイト
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コゴナダ監督の『アフター・ヤン』を見ました。

近未来のある時、ベイビーシッターとして家族の一員となっていたロボットもしくはアンドロイドが故障で動かなくなり、調べているうちに、そのロボットには一日に数秒間だけ、記憶を動画ファイル、フォログラフィのファイルとして記録を残す機能が備わっていて、その記録には家族の大切な時間や謎の知らない女性が移されていて、というようなストーリーでした。

コゴナダ監督は小津安二郎監督を最も敬愛している、ということで、とても静かな映画で、ときおり眠くなりながらも、そのアーティスティックな世界に惹きつけられてしまっていました。

何度も、何度も劇中で使われる"I want to be"という歌詞で始まるとても印象的でかっこいい曲があって、エンドロールを見ていると、Takeshi Kobayashi"のクレジットが出てきてびっくりしてしまう。後から調べてみると、ぼくも過去に見たことのあった岩井俊二監督の『リリー・シュシュのすべて』の挿入歌のリメイクなのでした。テーマ曲は坂本龍一さんでそれももちろん素晴らしい。

たくさんの動画ファイルの記録されているところが宇宙のようで、ぼくは、過去から未来までの世界のすべてがアーカイブされているというゼロ・ポイント・フィールドを妄想してしまう。小津安二郎の映画のように「家族」ということがこの映画大きなテーマで、そこに老子などの東洋思想が暗喩としてちりばめられている。家族の映画を撮りつづけた小津安二郎の墓標は「無」の一字だそうだ。禅? 近代に遅れてやってきた東洋の感受性と思考は出口の見つからない世界へのよき一撃なのであろうか?

ロボットと友だちであるミカを演じる子役のマレア・エマ・チャンドラウィジャヤが天才的に素晴らしくて魅力的。子役が素晴らしいというのは、ぼくは岩井俊二さんの映画を思い出します。

小津安二郎がこの『アフター・ヤン』を見たら、どう思うでしょう? にやりと微笑むのではないかしら?

映画『アフター・ヤン』公式サイト
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新海誠監督の『すずめの戸締り』を見ました。

はじめのほうは地震を起こすような荒ぶる自然の力を平定しようとするなんて、そんな力は人には与えられていようはずもないじゃないかと、ぶちぶつと心の中でひとりごちつつ、映画を見ていたのですが、いつの間にか、もっていかれ、感動しておりました。ぼくの眼にうっすら涙も。

この前、見た『天間荘の三姉妹』と同じく地震ということがが物語の重要なモチーフとして出てきます。そして、『すずめの戸締り』はロードムービー、旅する物語。「平家物語」や「方丈記」の昔から日本人は、目の前のどうしようもない絶望のような悲しみを物語によって、それを語り聞くことによって、前を向いてきたような気がします。

映画を見て、映画館を出てくると、女子の声であのシーンがよかった、云々すんぬんという、後ろの方で友だち同士が話している声が聞こえました。学校で、見た、見たと聞ききあう声、こういうのっていいなと青春をはるか昔に過ぎたぼくは思うのでした。でも、こんな映画を見て、感動しているなんて、ぼくも心は古びていないのさ。

映画『すずめの戸締まり』公式サイト
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北村龍平監督の『天間荘の三姉妹』を見ました。『天間荘の三姉妹』という題名から往年の成瀬巳喜男監督やら小津安二郎監督らの映画みたいな映画かなと想像していたが、まったく違っていた。高橋ツトムさんの原作を知らないぼくにとって、後半一時間はあっと驚くストーリー展開でした。この前、見た『秘密の森、その向こう』に通じる場所の持つ記憶みたいなについての映画でもあるような気がしました。この映画の舞台の「三ツ瀬」は世界のどこかにあるとぼくは信じて疑わない。

ゆめゆめうたがふことなかれ

三姉妹の末娘を演じるのんがとてもよかったし、ダメな父ちゃん、ダメ男演じる永瀬正敏がなんとも渋いいぶし銀の味があって素晴らしい。おまけにその役どころは、いつでもどこでもカメラを手放さないフォトじじいなのです。以前見た『あん』という永瀬さんさんが樹木希林さんとともに主演を演じたオリンピックの映画やらそのNHKのドキュメンタリー、パワハラとかのことで評価を落とした川瀬直美監督の映画を思い出した。特別なファンではないけれど、密かに川瀬さんには映画界で生き残って欲しいと思っています。

しかし、のんのこの演技、地なのだろうか、役の演技なのだろうか? 彼女の演ずる天真爛漫さに肉親と生き別れ、死に別れし天涯孤独という役が心に沁みます。

映画「天間荘の三姉妹」公式サイト
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セリーヌ・シアマ監督の『秘密の森の、その向こう』を見ました。

不思議な映画でした。昔、スタジオ・ジブリの『思い出のマーニー』という映画をが見たことがあって、そのとてもよかった『思い出のマーニー』とも何かつながっているようなテーマで、その掌編といった趣であると思いました。エンドロールを見ながら、なんともいえない余韻にぼくは浸っておりました。

最新の理論物理学や量子力学のゼロ・ポイント・フィールドということを本で読んだことがあるけれど、ぼくは景色といものにも、霊があり、記憶を宿しているのだと、なんとなく信じております。この映画を見ながら、そんなことをふと考えておりました。

映画『秘密の森の、その向こう』 公式サイト - GAGA
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新宿ロフトに『THE FOOLS~愚か者たちの歌』を見に行きました。圧巻の2時間の熱い映画でした。高橋慎一監督は10年もFOOLSを追いかけてこの映画を撮ったという。それ以前のムービーもたくさん収まっていて、懐かしい。

ぼくがFOOLSのギグによく足を運んでいたのは1980年代前半で、その頃のライブでぼくの見たメンバーでこの世に残っているのは中嶋カズのみとなってしまった。(Ebbyとか栗原さんの入っていたFOOLSは、ぼくはあまり見ていないのです。)

映画で見て、FOOLSのフロントマン、ボーカルの伊藤耕の生きざまは、やっぱり凄いです。同じ時代を生きたことが奇跡のよう。ジョー・ストラマーのいう「PUNKというのは(音楽ジャンルでなくて)人の生きるATTITUDE(態度、心構え、気持ち、考え、意見 )だ」という言葉は耕のためにあるのではないかしら?

そして、映画の後はFOOLSの残党たちのセッションライブでした。途中で出てきて、調子悪いらしくて、そのうち座って弾いていたけれど、そこで見た中嶋カズのベースは本当に黒くてかっこよい。このベースを聞くと、ステージにオーディエンスが次々と乱入してきて、みんな踊りまくっていたあの頃のFOOLSのライブをぼくは思い出してしまっている。あんなライブをするバンドは二度とないな。最高だった。

来年は一般公開だそうで、その時にはもちろん映画館で再び『THE FOOLS~愚か者たちの歌』を見たい。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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