えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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オンデマンドで小津安二郎監督の『東京物語』を見ました。

この映画は何度も見ていて、ぼくの記憶の底にいくつものシーンが眠っていて、それが揺り動かされ、起きだすかのようで、胸がドキドキして、目頭が熱くなりながら、目を皿のようにして見続けました。

スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』、オーソン・ウェルズの『市民ケーン』をおしのけて、小津の『東京物語』は2012年の英国映画協会の「サイト&サウンド」誌の「映画監督が選ぶ至上最高の映画」で第一位となっています。ヴィム・ヴェンダーズやアキ・カウリスマキ、ポール・シュレイダーもいわずもがな、ウッディー・アレン、マーティン・スコセッシ、クエンティン・タランティーノらも『東京物語』にやられてしまっているのだ。総合芸術といわれる映画だけれど、『東京物語』は世界の宝なのです。

今日も世界のどこかの街の映画館のリバイバル上映として、もしくは場末の名画座で、『東京物語』はかかっているにちがいありません。
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オンデマンドで小津安二郎監督の『東京暮色』を見ました。

『小早川家の秋』と同じくらいの異色作でした。淡々と悲劇は進んでゆき、どう受けとめたらいいのか分からないほどの、エンターテイメント性のない暗く救いのない結末になります。最近、ぼくが読んだ『小津安二郎』の中で平山周吉さんは、小津は『東京暮色』の中で、自ら作った家族の別れや崩壊の物語の底が見たかったのではないかと書いておられたが、なるほどと思う。

ぼくの心に踏切のところにある眼鏡店の看板が怖いようで強い印象として残りました。登場人物の運命を俯瞰する絶対的な視点、すべてを見ている覚者、ブッダの目、だろうか? わかりません。笠智衆の演じる父がラストシーンで唱えるお経は究極の空を表すかのような般若心経かもしれません。

有馬稲子演じる決して笑わない若い女性は早すぎたヌーベルバーグのようで素敵です。別れた母を演じる山田五十鈴の演技がリアルで凄い。

何度も反芻したくなる異色作です。
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ロブ・マーシャル監督の『リトルマーメイド』を見ました。アニメの『リトルマーメイド』は、見たことはありません。アンデルセンの鬱な悲しい『人魚姫』とはまったく違う話なんですね。

アフリカン・アメリカンのアリエルは別に違和感はありません。まー、かわいらしいです。海の底にはいろんな肌の色の人魚がいるのをこの映画で知りました。

カニとかカモメとか魚とマーメイドはおしゃべりをして、海の中、みんなで歌い、踊ったりします。ミュージカルだ。舞台は大航海時代のカリブの王国。王子とアリエルは『ローマの休日』のようです。美しくカラフルな海中のシーンから一転して、後半からジブリのアニメみたくなる。そして、ハッピーエンドの大団円。あっという間の2時間15分。おもしろかった。

実写『リトル・マーメイド』|映画 - ディズニー公式|Disney.jp
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是枝裕和監督の『怪物』を見ました。

小学校の校長を演じる田中裕子さんの怪演がすごいです。いつも、なぜかヒーローではなくアンチヒーロ、よいものでやなくわるものに、ぼくは注目してしまう。でもこの校長先生も意外な展開となる。

映画の中の時間がかならずしも過去から今へと流れないので分かりにくいところもあるのだけれども、ラストの方の物語の展開に驚き、胸のしめつけられるような感動を覚えました。

子どもを撮ると、是枝監督はうまい。今は亡き青山真治監督の『ユリイカ』(子どもの頃の宮崎あおいが出ている)やら、岩井俊二監督の『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』を思い出したりします。『怪物』の子役の二人、黒川想矢くんと柊木陽太くんがたまらなくピュアで美しいです。子どもはすごいわ。

淡々とした映画で、20世紀には家族をなどの小さいことを描く小津安二郎監督の小津調の小津マジックがあったけれど、21世紀には同じく家族とか小さいことを描く是枝マジックがあるのではないかと思ったりしました。

それから遅ればせながら、坂元裕二さん、カンヌ映画祭の脚本賞、おめでとうございます。

時おり流れる坂本龍一さんの音楽も素敵でした。

映画『怪物』 公式サイト - GAGA
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オンデマンドで小津安二郎監督の『小早川家の秋』を見ました。松竹ではなく、東宝での作品。小津調は松竹のまま。

老いらくの恋をする造り酒屋の老いた大旦那を演じる中村鴈治郎の怪演技(?)、名演技が素晴らしい。

大旦那の亡くなった後、長い葬儀の場面となり、映画は暗い雰囲気となり、小津の死生観もそこに示されるかのようです。そのラストシーンを見て、その冷徹な何かに、このまえぼくが訪れた円覚寺の小津安二郎監督のお墓には「無」とのみ揮毫されていたのだけれど、その意味するところが少しだけ分かったような気もしました。
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オンデマンドで小津安二郎監督の『お早う』を見ました。この映画『お早う』は鎌倉も京都も出てこない多摩川沿いの新興住宅地を舞台にした小津調コメディー。1959年の作品で、この前、見た1947年の『長屋紳士録』から12年経ち、東京の風景のあまりの変貌ぶりに驚いてしまう。庶民の小さいことを描いた楽しい浮世映画にして、落とし噺。その話のオチにちょっとホロリと涙しました。
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オンデマンドで小津安二郎監督の『長屋紳士録』を見ました。1時間11分の短い時間に小津スピリットがつまっている昭和22年、1947年の映画です。

これは小津調、小津版のチャップリンの『キッド』だろうか? 人情もの古典落語のようなストーリー。感動しました。

映画に映された終戦直後の東京の風景が生々しい。焼け残ったビルと火鉢のあるぽつりぽつりと立つ掘っ立て小屋のような日本家屋。そこにもアキ・カウリスマキも探している赤いヤカン(ケトル)も見つけましたよ。白黒映画なのだけれど、あれは赤いヤカン(ケトル)に違いあるまい。

カンヌ国際映画祭の開かれたカンヌからのニュースでは、今年の「カンヌ・クラシックス」部門で『長屋紳士録』が上映され、上映後のスタンディングオベーションで拍手が鳴りやまなかったそうです。日本人のある意味、ありふれた日常を描きつづけた小津安二郎だけれれど、このカンヌからのニュースは小津安二郎ファンとして、そして、日本人として、率直に嬉しいものです。難しい記号論は置いておいて、映画から立ちのぼるこのヒューマニティ―、世界の宝ものの小津安二郎の映画です。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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