えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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佐藤真監督の『エドワード・サイード OUT OF PLACE』を見ました。エドワード・サイードは比較文化学者、ポストコロニアルの論客にして常にパレスチナ人の生きる権利のために発言しつづけた人で、アメリカのコロンビア大学の教授であった。佐藤真監督は、2003年に亡くなったエドワード・サイードの痕跡を追って、アメリカのニューヨーク、レバノン、イスラエル、パレスチナをカメラを携えて2005年に旅をして、人々の暮らす近景を撮る。

旅をした中東の土地には、土地を奪われたパレスチナの人たちの苦しみと悲しみ、奪った土地で暮らすイスラエルの人たちの苦しみと悲しみの涙が染みこんでいるかのようだ。そこにエドワード・サイードの著書からの引用がナレーションでさしはさまれる。エジプトという土地をもつエジプトのアラブ人はエジプト人と呼ばれ、ヨルダンという土地をもつヨルダンのアラブ人はヨルダン人と呼ばれ、モロッコという土地を持つモロッコのアラブ人はモロッコ人と呼ばれているのに、パレスチナという土地を持たないパレスチナのアラブ人はパレスチナ人と呼ばれず、アラブ人と呼ばれるのは何故なんだと問いかける。それは国家と植民地、アイデンティティーとしての民族についての鋭い問いかけでもある。

ぼくはふと三島由紀夫が、全共闘と議論したときに、全共闘の学生らしき人から、そのようなことでは、日本人という限界を越えられないではないかと問われ、私は日本人でいいんだと答えたのを思いだした。さらに三島は歴史もあるし日本もあるといった。この三島の言葉は、ぼくが新宿のデモで聞いた在日パレスチナ人のアイーダさんのパレスチナ人はパレスチナ人だの言葉に呼応するかのようだ。

この映画『エドワード・サイード』の中のシリアのアレッポからイスラエル建国の1948年、それはパレスチナ人が土地を奪われた年、国をなくした年でもあるのだが、その年にイスラエルに逃れてきたユダヤ人は、アレッポの旧市街のユダヤ人街は焼き討ちにあってイスラエルに来たという。それまではユダヤ教徒のユダヤ人もイスラム教徒のアラブ人もキリスト教徒のアラブ人も隣人として仲良く暮らしていたといい、1948年より前のアレッポに帰りたいという。

これからしても、当たり前にイスラエル建国は罪深い間違いだったとぼくは思い、はっきりと何度でも述べなくてはならないけれど、イスラエル政府とそれを支持するイスラエル人、その軍隊が今、行っているガザの子どもや赤ちゃんも含む民間人の爆撃による殺戮にもちろん抗議しなくてはならない。ラファで民間人が生きたまま焼き殺されている残酷さに抗議しなくてはならない。

いつか、イスラエルの人たちとパレスチナの人たちの涙の染みこんだこの土地に、和解の時が来て、本当の花が咲き、暴力がやみ、平和がくるのを祈るばかり。
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歌ってしまいます。そしてギターも少々。
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