えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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藤沼伸一監督の『GOLDFISH』を見た。藤沼伸一監督はパンクバンド「アナーキー(亜無亜危異)」のギタリストであった人で、「アナーキー」は今でも現役で、そう、当初のままのメンバーで再結成してるのだが、映画はその再結成をまつわる話で進む、藤沼さん自身の自伝的内容なのであった。

アナーキーはヤマハのアマチュア音楽コンテスト「East West」で優勝し、メンバーが20才かそこそこの頃、1979年にメジャーデビューしているのだが、ぼくは何だかパンクのインデペンデンスの精神に反するようで、ある種、批判的な目でも見ていた。メンバー全員が当時の国鉄のつなぎの工務員の制服をユニフォームにして、滅茶苦茶カッコ悪いと思ってもいた。けれども、NHKFMの渋谷陽一さんの番組か何かで、Clashの「London Is Burunig」の替え歌である「東京・イズ・バーニング」を聴いて、その振り切れっぷりが実にかっこいいと思いもした。

「東京・イズ・バーニング」は「何が日本の□□だ」などと歌っていて「□□」には「象徴」とか「天皇」とかという言葉が入るらしいのだが、ブザー音がその言葉のところに入っていて、何を歌っているかは聞こえないけれど、歌詞の全体を聞けば容易に推測できるものだった。それは、イギリスのSex Pistolsの「God Save the Queen」への日本からのアンサーソングのようなのだった。ファーストアルバム「アナーキー」は10万枚売れた後、「東京・イズ・バーニング」が右翼の攻撃にさらされ、発売中止になり、今、売られているCD版には「東京・イズ・バーニング」は入っていない。表現の自由は日本で確実に無くなってきたことの実例がこれではないだろうか。40年つづいたbacklash(反動)にもより、バブル経済の凋落後、日本は30年間衰退しつづける。

Sex Pistolsの「God Save the Queen」についてはどうだろうか? このまえYou Tubeで見たのだが、しつこくBBCに放送終了時に国歌の「God Save the Queen」をかけないのかと抗議が来ていたのだそうだ。それに応えて、それでは私たちの「National Anthem」をかけましょうとアナウンサーは言い、Sex Pistolsの「God Save the Queen」がかかって、その日の放送は終了していた。イギリスは腐ってもフランスと並ぶ民主主義の本拠地であることがうらやましくもあるな。

さて、藤沼伸一監督の『GOLDFISH』を見ながら、ぼくはこの映画を見ながら、21世紀の今、ロックバンドという存在はどこに行ってしまったんだろうと思いもし、それはあたかも絶滅危惧種のようでなないかとも思う。けれど、多分、ぼくが知らないだけなんだろうな。映画館には若い人もやくさん来ていた。ふと、Clashの名曲「Stay Free」を思い出し、口ずさむ。自由でいろよ。『GOLDFISH』は面白い。感動しました。藤沼伸一さんはたくさんの尖った映画も見て、知っていそうだ。ロックを知っている人にも、知らない人にも見て欲しい映画であります。

映画『GOLDFISH』公式サイト
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庵野秀明監督の『シン・仮面ライダー』を見ました。子どもの時、初めて見た「仮面ライダー」は衝撃的でした。ダークな雰囲気はあのころのまま、21世紀の現代を背景にし、今の社会への問題意識もかいま見られます。映画が始まった時にはフランツ・カフカの小説『虫』を思い出したりしました。そして、アクションシーンの連続で手に汗握って、おしまいの方では、1970年代の大林宣彦監督の映画みたいでした。面白かった。

『シン・仮面ライダー』公式サイト
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クリスチャン・カリオン監督の『パリタクシー』を見ました。現代の問題を過去にたどって描きつつ、人生とは何かを言葉ではなく伝えてくれるような素敵な映画でした。

映画の始まりの不機嫌なタクシー運転手がパリの街を流していく、もうそこから映画が始まったというワクワク感に満ちています。エッフェル塔を回り、修復工事中のノートルダム寺院がスクリーンに映されたころにはもうぼくの胸が高まっています。

劇中歌のEtta Jamesの挿入歌「At Last」でのタクシーに乗せた年老いた主人公が回想で踊る若かりし頃のチーク・ダンスににうっとりしたかと思えば、さらに波乱と苦痛にも満ちた人生が明かされ、そして、…という話の筋は、ここでは見てのお楽しみ。ぼくは泣いてしまいました。美しい映画をありがとう。


映画『パリタクシー』公式サイト
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オリヴァー・ハーマナス監督の『生きる-LIVING』を見ました。脚本があのノーベル賞作家のカズオ・イシグロさん。原作はもちろん黒澤明で、この『生きる-LIVING』は、黒澤映画のヒューマニズムが頂点、極北に達したかのような『生きる』の『生きる』と同時代のイギリスに舞台をそのまま移したリメイク映画であった。

黒澤映画では志村喬が主役を演じていたのだけれど、この『生きる-LIVING』ではイギリスのいぶし銀の名優、ビル・ナイ。出色なのが、ビル・ナイ演じる公務員のウィリアムズのかつての部下の一人であったマーガレットを演じるエイミー・ルー・ウッドで、黒澤の『生きる』での小田切とよを演じる小田切みき、その人そのままのようなコケットな演技がまぶしい。

黒澤明をレスペクトしたあくまでも物語と話はそのままであるようなカズオ・イシグロさんの脚本も素晴らしく、イギリスへの愛にあふれている。

オープニング・クレジットは1950年代のイギリス映画を見ているかのように錯覚もしてしまう。

オリヴァー・ハーマナス監督は黒澤明監督の饒舌さと違って、そぎ落とした抑制の演出で、東宝の黒澤明と同時代を競いながら併走したかのような松竹の小津安二郎かのようで、とぼとぼと歩くウィリアムズのその後ろ姿は笠智衆であるかのようなのだ。

とても感動しました。そして、もちろんのこと、何度も見た黒澤明監督の名画『生きる』を劇場の大きなスクリーンで見たくなりました。

映画『生きる-LIVING』公式サイト
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マーク・フォースター監督の『オットーという男』を見ました。

このような映画は日本映画で見たかったみたくなんとなく思いつつ、もともとはスウェーデンの映画『幸せなひとりぼっち』のアメリカ映画への翻案なのだそうだけれど、主演を名優、トム・ハンクスが演じていて素晴らしい。トム・ハンクスは好きな役者で、こんどはどんな風になるのだろうかと、楽しみにしていたら、なんとも隣に住んでいたら嫌だろうなという初老の男を演じていて、さすがに名優、なんとなく憎みきれないキャラクターなのでした。人間の多面性。

ぼくの近々の課題でもある老いていく人生ってなんだろう、などと思いをめぐらしつつも、この映画の中の不機嫌なじいさんがひとごとでもなくて、見ていて少しづつ胸が熱くなっておりました。

映画『オットーという男』 オフィシャルサイト
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ジュゼッペ・トルナトーレ監督の『エンニオ・モリコーネ 映画が恋した音楽家』を見ました。

エンニオ・モリコーネというと、ぼくの中ではイタリアのニノ・ロータに並ぶ偉大な映画の音楽家の作曲家で、大好きな音楽家なのです。ニノ・ロータがフェデリコ・フェリーニ監督のサウンドトラックならば、エンニオ・モリコーネはセルジオ・レオーネ監督のサウンドトラックで、二人の巨匠と二人の音楽家は第二次世界大戦後の映画と芸術を高みに引き上げました。

この『エンニオ・モリコーネ』では、モリコーネ自身が自身の音楽にまさしく捧げたといってもいい人生とその音楽、数えきれない映画『荒野の用心棒』や『ニュー・シネマ・パラダイス』などの自身のサウンドトラック、そして、妻への愛についても饒舌に語りつづけていて、とても面白くて二時間以上があっという間に過ぎていきました。

あー、音楽をジャンル分けするなんてつまらない。映画の中で、モリコーネ自身の映像以外にも、クエンティン・タランティーノからブルース・スプリングスティーンまでモリコーネへの賛を語ってもいます。ぼくもモリコーネの音楽は小学生のころ、頻繁にテレビで再放送されていたマカロニウェスタンの中で聴き、ぼくの音楽への嗜好とそれへの愛の根っこのところにあるのを再発見した次第です。

映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』公式サイト
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ヒューマントラストシネマ渋谷で高橋慎一監督の『THE FOOLS 愚か者たちの歌』を見る。

新宿の某所でFOOLSのボーカルの伊藤耕が歌っていたSYZEやギタリストの川田良が弾いていたSPEEDをぼくがティーンエイジャーのころ見てからの長い年月が経っていて、それは驚くべきことだ。そのころ耕は公園通りに捧げますとMCをたれて、渋谷の屋根裏かどこかで「街を歩いてみろ」を歌っていた。こんな歌詞であったことも思い出す。

♪♪♪
街を歩いてみろ
おれたちのものなんて
どこにもないぜ♪♪♪

映画館から駅への帰りすがり、渋谷の街は今でもますますそうだな、と思う。

ロックの魂を体現したバンドはFOOLSだった。パンクをいつのまにか後にしてFOOLSはブルースやファンク、ロックンロールに回帰していた。出会えて、生で聞けて本当によかったな。今もライブバーで一人、ぼくがへたな歌を歌っているのも、高校のころ伊藤耕に憧れたからのような気もする。

映画の中での川田良の言葉。

「おれに支持政党なんてないよ
 しいていえば、おれは宇宙共産党
 それでこの宇宙共産党の定員は一人で、所属しているのはおれ一人
 そういうやつが百万人いればいい世の中になるんじゃない
 いや、滅茶苦茶になるか(笑)
 …
 おれには家も家族もないよ
 住んでいるのは地球の上」

良の遺言はこうだったらしい。

「同士諸君よ、私の屍を越えてゆけ」

飄々と、ぼけたみたいにして、鋭く問いかける高橋慎一監督はインタビューの天才だ。

棺桶に収まった耕の屍の表情はどこか怒っているみたいだった。重い問いを発しながら映画はエンディングに向かう。

この映画を見ている二時間近くは、ぼくには驚くべき時間で、映画にくぎ付けになり、ぼくは刮目せざるえなかったのだ。

映画『THE FOOLS 愚か者たちの歌』公式サイト
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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