えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ
ブレイディみかこさんの著した『ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain』を読了しました。ブレイディみかこさんの本は新しいのが出されると、いつも読んでしまう。この本は最新の内部から見た英国事情についての6ページの30篇のエッセイ集でした。今の英国って、かつての19世紀の栄光は去り、貧しいものと富めるものの差はさらに激しくなり、右と左のイデオロギーの対立はねじ曲がり、どとらがどちらだかわけが分からなくなり、まさに「Broken」していて、そうか、アメリカ合衆国も同じような気がして、これは世界で同時進行しているようなのだ。
日本の政府も、公助よりも自助をまっさきに挙げ、次に共助といい、それは政府自らの責任をまっさきに放棄しているようにも思われて、恐ろしい。日本政府の政策の消費税の増税はあからさまに企業の減税に使われているのは、明白な気もし、その企業減税は、内部留保と役員報酬の増額ぐらいにしか使われていないというようにも思われ、働く人はすぐにクビにされる派遣の一時契約社員となり、社会の血流ともいえるお金の流通は細く細くなっていく。今、英国ではフード・バンク(包装の傷みなどで、品質に問題がないにもかかわらず市場で流通出来なくなった食品を、企業から寄附を受け生活困窮者などに配給する活動およびその活動を行う団体)が盛んで、日本では子ども食堂が盛んなのだ。ついに何年か後の日本は英国のように「Broken」しているかもしれない。この『ブロークン・ブリテンに聞け』から英国の映画監督、巨匠ケン・ローチの言葉を紹介します。
「大企業が派遣を争っている間は、物事はどんどん悪くなっていくだろう。彼らはどんな風に競っているのだろう? 最高のサービスと商品を少しでも安く提供することによってだ。どうやっ価格を安くするんだろう? 賃金を削ってだ。組合は弱体化し、労働者は保護されない。つまり、労働者階級の力は弱くなり、水道の蛇口のように簡単にひねったり止めたりされる。これがシステムの中に組み込まれているんだ」
世界中、ぶ厚い雲の肌寒い風が吹き荒れていて、ブレイディみかこさんの「あとがき」でのメッセージは、分断され、分裂していたのでは誰もサヴァイブできない、ということだとも思うのです。この本の中からみかこさんの自分自身への力強いメッセージの引用でこの項を締めたいと思います。
「Keep thinking. Keep writing. Keep talking to each other.」
馳星周さんの著した「少年と犬」を読了しました。直木賞受賞のエンターテイメント小説です。
近所の本屋で平積みとなっていたこの本の表紙を見て、あっ、レオだと思い、手が伸び、買ってしまっていた。レオとは昔、わが家で飼っていた犬のことです。この本は一匹の同じ犬を主人公とした「男と犬」、「泥棒と犬」、「夫婦と犬」、「娼婦と犬」、「老人と犬」、「少年と犬」の六篇で、犬の飼い主の一人称で物語られていく。一匹の犬は日本列島を南西へと何年もかけて旅をしていき、その中での六つのエピソードの連作となっています。映画にしたら、一級のロードムービーとなるのではないかしら? おもしろい。そして、読み進めていくうちに、本当にこの本の主人公の多聞の性格やら佇まいやらのすべてが、まるでレオのようだと思ってしまう。
連作をしめくくる「少年と犬」では少し泣いてしまいました。
犬は神が遣わした動物で、人は少年と少女に戻ってしまう。
(写真の犬はレオです。レオ、おまえは神が人に遣わしたオオカミか? 今でもレオの写真を見ると胸がしめつけられように感じてしまう)
内田樹さんの「日本習合論」を読みました。
Wikipediaによれば、習合(しゅうごう)とはさまざまな宗教の神々や教義などの一部が混同ないしは同一視される現象のこと、シンクレティズム(英:Syncretism)の一種、ということだそうですが、何冊も内田樹さんの本を読んで、内田さんの論じる良き日本と良き日本人、美しき日本と日本人は、ぼくの思う日本や日本人とても近しいように感じています。
この内田さんの本を読みながら、芥川龍之介の「神々の微笑」という小説と、その小説を解説しながら、日本国憲法、とくのその第九条を擁護する柄谷行人さんの「日本精神分析」を思い出していました。
日本が習合を無くした時に、もっとも悪い方に進み行き、すべては失速し、世界の友だちなどの何もかもを失うのではないでしょうか。
山上たつひこさんの描いた漫画『光る風』を読みました。山上さんの少年チャンピオンに連載していた『がきデカ』は子どものころ、読んでいて、その前にこんなデビュー作を少年マガジンに描いていたとは知らなかった。
すさまじくダークで救いのない物語です。2015年に再び出版された単行本に内田樹さんが解説を書いていてこんな言葉を寄せられている。
「『光る風』に貫いているのは自由と民主主義を求めるリベラルな主張ではない。そうではなくて、自分は自由と民主主義が失われたときにまっさきに弾圧されるだろうという生理的恐怖である」
『光る風』は1970年に読まれるよりも、今の2020年に読まれた方がよりリアルな漫画なのです。しかも、この話に繰り延べられるような社会は75年前の日本に確かにあった。それが現在に起こりつつあり、未来にそうなりつつあることが、とても恐ろしい。
『問いかけるアイヌ・アート』を読了しました。この前、日本民藝館で『アイヌの美しき手仕事』展を見てからアイヌのことがとても気になります。『問いかけるアイヌ・アート』はいろんな人のアイヌの文化にまつわる文集となっていて、著者は池田忍さん、五十嵐聡美さん、貝澤徹さん、小笠原小夜さん、吉原秀喜さん、高橋桂さん、山崎明子さん、中川裕さん。アイヌ文化に携わってきた研究者や作家、アイヌ文化そのものを体現する芸術家、イラストレーターの人たちの真摯な文集でした。そして、カラーのものも含む楽しく美しい口絵もたくさん添えられた楽しい本でした。
さて、21世紀が始まり、20年経ち、20世紀を振り返れば、植民地からのいろんな国の独立の世紀であったようにもぼくには思えて、となれば、21世紀はどんな世紀となってゆくのだろう? 21世紀は少数民族や先住民族の世紀となり、少数民族や先住民族の伝えてきた文化が、つづいていく戦争をもたらす国と国の争い、宗教と宗教の争いを止揚し、光となるのではないかしら?
これは、この本でも紹介されているアイヌの神話です。
これは『問いかけるアイヌ・アート』で文を書いておられる小笠原小夜さんのホームページ。
TAKE ART EAZY! [ TAEZ! ]小笠原小夜
この本で紹介されていた貝澤徹さんも紹介されている二風谷のアイヌの工芸作家のホームページもある。
http://nibutani.jp
そして、中川裕さんが取り上げた漫画『ゴールデンカムイ』のヒロインのアイヌの少女も溌剌として生きている。
https://kamuy-anime.com
ぼくは楽天したい。
この本の中からアイヌ文様刺繡家であるチカップ美恵子さんの言葉を紹介して、この項を了とします。
「美しく気高い祖母の励ましの夢だった。美しく刺繍した着物を広げて、私に説明してくれた。いくら説明しても、のみこめない私を祖母が叱った。祖母の声で目が覚めた。ああ、あのような美しい着物がほしい。天然色の美しい夢を見たのだ」
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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