えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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山崎洋子さんの著した名著「天使はブルースを歌う―横浜アウトサイド・ストーリー」が去年、二十年ぶりに復刊されて、再読した。横浜の過去、光がまぶしければ、闇もまた濃い、というようなドキュメンタリー。この本が1999年に出版された時、この本に登場する最も重要な一人であるゴールデンカップスにキャリアを始めたギタリスト、エディー藩はこう言ったとこの本の「二十年目―新版のためのあとがき」に書かれていた。

「山崎さん、続編を書かなきゃ駄目だよ」

あれから時が流れ、横浜が何も変わっていないことに、あることがきっかけで気が付いて、山崎洋子さんが続編を書き始めたのは二〇一五年。今、横浜は、巨大ギャンブル場、カジノの誘致で揺れているようにも見える。今の金だけの世の中かい? 横浜のことは横浜に住む人が決めればいいとぼくは思いながら、横浜をこよなく愛したぼくの大好きな音楽評論家、平岡正明が生きていたら、きっとカジノ誘致には大反対しただろう、とも思う。そして、今、ぼくは「天使はブルースを歌う」の続編「女たちのアンダーグラウンド―戦後横浜の闇と光」を読み始めたところです。









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『「この世界の片隅に」こうの史代 片淵須直 対談集 さらにいくつもの映画のこと』がおもしろくて一気読みしてしまった。二年間のロングランをしたアニメーション映画「この世界の片隅に」と今、公開され始めたばかりの「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」の監督、片淵須直さんと原作者、こうの史代さんの対談集なのです。いろんな創作や制作の秘密、ネタ晴らしがあるのので、どうかくれぐれも映画を見てから、この本を手に取ってみてください。そして、ですね、困ったことにこの本を読むと、再び、映画の「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」を見たくなってしまうではないですか!








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圀府寺司さんの著した「ファン・ゴッホ 日本の夢に懸けた画家」を読む。小林秀雄の「ゴッホの手紙」を再読したことをこの前に書いたけれど、「ゴッホの手紙」は青春の時に読むといいような近代に成立した文学というような気がして、「ファン・ゴッホ 日本の夢に懸けた画家」の方が本当のゴッホに会えたような気もしました。ゴッホって、精神の病気やらその早すぎた死やらの前に、やっかいで困った人であるとともに、人を惹き付けてやまない特別な何かを持っていた人だったのではないかしら? たくさんのゴッホの絵のカラーの口絵も載っている素敵な本でごさいます。







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角川文庫版での小林秀雄の「ゴッホの手紙」を読了した。この前、ゴッホの映画「永遠の門 ゴッホの見た未来」を見て、無性に何度目かの再読をしたくなったのです。

この角川文庫版には名著「ゴッホの手紙」以外に「ゴッホの病気」、「ゴッホの絵」、青山二郎氏との対談「「形」を見る目」も所収。やっぱ、小林秀雄の文章は読ませるなと思いつつ、ゴッホの生涯の捉え方が、小林がこの本を書いた当時と変わってしまっていることを思わずにはいられない。年月は流れました。小林秀雄はゴッホの死を自殺によるものと自明のこととして書いているのだが、その後の研究によれば、近くの若者による他殺、射殺であった説も有力なのだそうだ。しかも、ゴッホ自身は自分を撃った少年をかばって一言もそのことは言わなかったそう。もしも、小林秀雄がよみがえったなら、この「ゴッホの手紙」というたくさんのゴッホ自身の手紙をひもといた評伝をどのように加筆、訂正するのだろうか? などど思いつつ、この半世紀にも満たない間に、小林秀雄の著作が書店の書棚から消えていってしまっていたことも思う。ゴッホの絵も、小林秀雄の説こうとしたゴッホの存在も、あのころのままなのに。

小林秀雄の生涯をしめくくった著作が中上健次から容赦なく批判された「本居宣長」であったのを嘆きつつ、少なくともこの「ゴッホの手紙」は、青春のとばっちりに読む古典として読み継がれていって欲しいと思うのだった。






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ドリアン助川さんの著した「夕焼けポスト」を読みました。おいらも心に秘めた誰にも打ち明けられない悩みごとを手紙に書いて、夕焼けの時にポストふが姿を現したなら、投函してみようかな、と思いましたよ。何かとても大切なことの書かれた返信がどこからともなく戻ってくるのではないかしら。





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最近、武道の道場に土曜日の朝とかに通っています。ロンドンのパンクロック、ストラングラーズのジャン・ジャック・バーネルは空手の有段者で三島由紀夫を尊敬、心酔していて、三島の歌とかも作っていたけれど、ぼくの通っているのは合氣道の道場。確か、三島由紀夫は剣道の有段者だったと思うけれど、始めたばかりのぼくは、まだ、合氣道の無級者。

そんな道場の創始者、今は亡き藤平光一さんはぼくの師匠の師匠の師匠にあたる人でもあって、そんな藤平光一師匠の残した著作「中村天風と植芝盛平 気の確立」を読みました。

藤平さんにも師匠がいて、一人は中村天風、一人は植芝盛平。中村天風は戦前、戦中の九州の民族派右翼、玄洋社のメンバーで、玄洋社といえば、辛亥革命を起こす孫文をかくまい、その首謀者の一人であった杉山茂丸は「ドグラ・マグラ」を著した夢野久作こと杉山泰道の父であった。植芝盛平は戦前、日本主義的な新興宗教団体、大本教で武道に開眼したという。昔、大本教をモデルとして書かれた高橋和巳の「邪宗門」はおもしろかったな。

さて、「中村天風と植芝盛平 気の確立」に戻り、この本では二人の師との極私的な交流を中心に武道家としての藤平光一さんの心身統一合氣道会設立までの半生が描かれています。昭和のもうひとつの歴史を武道というもう一つの市井から見るようでとてもおもしろかった。道場の歴史をたどれば、この「君が代」を歌わなく、かといって共産主義も好きではないぼくが、愛国の伝統につながっているらしい不思議さを感じています。






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ハルキ文庫版の「草野心平詩集」を読みました。この前、中川五郎さんのライブを見に行ったら、ちかごろは草野心平の詩集をよく読んでいて、勝手に曲を付けて歌ったりしている、というのを聞いて、ぜひ、ぼくも読まばければ、と思い。読んでしまったのです。草野心平ってさ、カエル語で詩を書いて、そのカエル語の詩の日本語訳もしているだよ。すごい人だ。詩の言葉が歌みたいなんだよ。明治、大正、昭和を生きものや人を愛し、駆け抜けたんだよ。この詩集は何度も読みかえしそうだけれど、ぼくが一番、いいなぁ、と思った「デンシンバシラのうた」を紹介して、おやすみZZZzzz.....

そんなときには。いいか。
デンシンバシラとしゃべるんだ。

稲妻が内部をかけめぐり。
丸い蜜柑がのけぞりじゃえる。
そんな事態になったなら。
白ちゃけて。唸るようにさびしくなったなら。
人じゃない。相棒になるのは。
夜中の三時のデンシンバシラだ。

デンシンバシラはゆすっても。
デンシンバシラは動かない。
手のない。指のない。見えない腕で。
デンシンバシラは。しかし。
お前を抱くだろう。

ありっこない。そんなことが。
そんなことの方がまだあるんだ。

ちぐはぐで。ガンジガラメで。
遠吠えしてもまにあわない。
そんなときには。霙にぬれて。
夜中の三時のデンシンバシラだ。







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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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