えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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細野晴臣さんのインタビュー集である「細野晴臣 とまっていた時計がうごきはじめた」を読む。聞き手は、近年は音楽のプロデュースを主な鈴木惣一郎さんで、インタビューの場所は都内にちらばる古い喫茶店で、最後の1回だけ細野さん自身のスタジオ。時は震災後の2012年7月11日から2014年6月17日までのいつかの9回。

細野さんの話を読みながらジョージ秋山の漫画「浮浪雲」を思い出す。粋なアナーキーといった風情なのです。細野さんってまぎれもなく日本のポップミュージックの巨匠で、そうありながらも、遊行の徒で、しかも苦行をつづけているような不思議な人みたく、ぼくには思える。この本のどこかで、音楽は死ぬまでやめない、と言い切っておりました。かっこいいっす。というか、天国でも、音楽をしていそうだ。死んだらフェンダーベースが軽く感じて、最近はいつも雲の上でベース、弾いているだよ、なんて言いそうです。本当、とても素敵な人です。





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いつか、ハンナ・アーレントの問題の大著「エルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告」を読もうと思っていて、その序章というかイントロダクションとして仲正昌樹さんの著した「悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える」を読みました。半世紀前の思想家の著作が、今こそ復活し、時代をとらまえている、なんと不幸な現代という時代なのだろうか。

ちなみに、「エルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告」を書いたドイツ生まれ、ドイツ育ちにして、ナチスの時代アメリカに亡命したハンナは、アメリカのユダヤ人のコミュニティの友人から去られたという。なんという厳しくも美しい晩年なのだろう。何も怖がるな! そう心の内から声も聞こえるではないか。






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雨宮処凛さんの編著した「この国の不寛容の果てに 相模原事件と私たちの時代」を一気読みしました。雨宮処凛さんはファンでけっこう著作を読んでいるのですが、この「不寛容の果てに」は相模原での障害者施設で19人もの人が殺された事件に、何らかの意味や形で当事者として関わり続ける人たちとの対談です。雨宮さんの対談のお相手は、自ら障害のある子どものおられるRKB毎日放送記者の神戸金史さん、東京大学先端科学技術センター准教授で小児科医の自らも障害を持つ熊谷晋一郎さん、ずっと医療の問題、尊厳死の問題を追いかけ続けてきたBuzzFeed Japan記者の岩永直子さん、批評家で元障害者ヘルパーの杉田俊介さん、東京都池袋で炊き出しや医療相談も行う精神科医の森川すいめいさん、浦河べてるの家ソーシャルワーカーの向谷地生良さん。日本って何かすさまじくすさんだ国になりつつあるような気がして、希望があるとしたら、それに抗っているこの本で話しているような人や話されている言葉だろうと思い、心を閉ざしたり、単純な言葉を鵜呑みにしてもいけないとも思うのです。

この本を読みながら、ふと思い出したことが一つ。前に努めていた会社の朝会で、部長がやるかやらないか、白黒はっきりさせて行動しろなどと、口角泡を飛ばして檄を飛ばしているのをぼーっと聞いていたら、隣にいたKくんが、サカイさん、ぼくは大概、人間ってのは灰色だと思いますよ、とぼそっとぼくに声をかけてくれました。その言葉には目を覚まされたように感じ、ときおり思い出し、なぜか忘れられません。どうだろう、そのことはこの本と関係はないのかな?






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島田裕巳さんの著した「浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか 仏教宗派の謎」を読む。日本の仏教にはいろんな宗派があって、今にいたるまでをのそれらを歴史的事実から新書サイズで雑駁に解き明かした本でした。国家護持から個人の救済へと歴史は進んできた、天皇のための宗教から庶民のための宗教へと流れてきたと理解しました。その流れの中で古い宗派も古い宗派のままではいられなくなったということもありそうだ。ただ、この本にはそれぞれの宗派の信仰については何も切り込んではいない。味気ない教科書のような内容でした。改めて、身近にありながらよく解らない日本の仏教の宗派について知る、そのきっかけにはなりそうな本です。

今は考えを変えたらしいのですが、島田裕巳さんはオーム真理教を擁護していたな。亡くなった吉本隆明や中沢新一さんもそうだった。そのことをきちんと再考し、乗り越えなくては、思想家や歴史家、学者としては先にいけないと思うのだが。





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坂口安吾の「堕落論」を読む。この新潮文庫版は何度目かの再読です。無頼派のエッセイ集。所収されている17編は、「今後の寺院生活に対する私考」、「FARCEに就て」、「文学のふるさと」、「日本文化私観」、「芸術地に堕つ」、「堕落論」、「天皇小論」、「続堕落論」、「特攻隊に捧ぐ」、「教祖の文学」、「太宰治情死考」、「戦争論」、「ヨーロッパ的性格、ニッポン的性格」、「飛騨・高山の抹殺」、「歴史探偵方法論」、「道鏡童子」、「安吾下田外史」。

読みながら、若いころこの本のピンときた文章に赤い線を引いた、その箇所を思い出し、自分の変わらなさを、それでよしと笑う。それは「続堕落論」にあるこんな文です。

「政治、そして社会制度は目のあらい網であり、人間は永遠に網にかからぬ魚である。天皇制というカラクリを打破して新たな制度をつくっても、それも所詮カラクリの一つの進化にすぎないこともまぬがれがたい運命なのだ。人間は常に網からこぼれ、堕落し、そして制度は人間によって復讐される」

かっこいいなぁ。

さて、新しい天皇となり元号も変わり、即位礼正殿の儀が行われるではないか。ぼくは陛下にぜひこれをお読みくだされと、この本を祝意をつくした贈答として差し出したいのです。






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島田裕巳さんの著した「なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか」を読みました。古い神社や寺を巡るのが好きで、いつのまにか御朱印帳にたくさん印が押されているのだけれど、その神社の由来というのも気になるものです。この本ではそのようなたくさんの神社を解き明かしたもの。日本で一番多い八幡様はもとは朝鮮半島からの渡来の神であったらしい。「託宣集」に書かれた八幡神の起源についての引用。

「辛国の城に、始めて八流の幡と天降って、吾は日本の神となれり」

神道の神は多様であって、古事記や日本書紀の神々であったり、実在の皇族や武士、官士であったりして、また、そのどれにも当てはまらないものも多い。言霊の幸ふ国は神々のの幸ふ国でもあって、それらにさらに足して、仏教の仏らが日本の国に現れた姿でもあるという。明治政府のよる廃仏毀釈の前までは本地垂迹の神仏習合として信じられてきたものだった。ぼくはそんな古い日本を訪ね歩いているのかもしれん。






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ブレイディみかこさんの著した「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」がおもしろくて、一気読みしてしまった。

みかこさんは、日本の福岡に生まれ、イギリスと日本の間に行き来するうちにアイルランド系のイギリス人と暮らすようになり、結婚し、子どももでき、今はイギリスのブライトンという町の元公営住宅地に暮らしている。元底辺中学校に通うことになった中学生になる息子をとりまくいろいろな話が十六話。一話一話がおもしろく、イギリスと日本の違うところと、それでも地続きの同じ時代の世界にいる共通なとこと、そこから透けて見えてくる日本について考えさせられ、しまいには、子どもたちの持つ希望というようなものに十六回も感動してしまった。

ときおり出てくるみかこさんとその大型トラックの運転手をしている旦那さんの会話が漫才のボケとツッコミのようにおもしろかったりして、そこに割って入り、はっとするようなことを口から漏らしていたりする中学生の「ぼく」。例えば、二つのルーツを持つ両親に生まれた子を「ハーフ」というのは差別で、「ダブル」といった方が良いらしいのだけれど、それもどこか差別であるかもしれず、中学生の「ぼく」は「ハーフ・アンド・ハーフ」でいいんじゃない、半分と半分を足したら「1」になる、などという。なるほどなぁ。もっと詳しい内容は本を読んでお知りくださいとみなさまにお勧めします。

さて、この話は今も新潮社の「波」に連在中で、続編が本となるでしょう。もちろん楽しみです。

このムービーはみかこさんぼ大好きなJohnny RottenことJohn LydonのSex Pistols解散後のバンド、Public Image Ltdです。この本のプロモーションのインターネットでのインタビューを見たら、ぼくも好きなこのバンドのTシャツを着ていた。おやすみZZZzzz.....







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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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