えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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堤未果さんの「日本が売られる」を読む。「日本が売られる」とは政治の法律改変によって海外のグローバル資本に日本が戦後に育んできた貴重な共有財産が売られていることを指す。

そう、売国とか売国奴などという言葉があって、その言葉自体に何らかの少数意見への差別やら、軍国主義の匂いがして、ぼくは好きではないのだけど、むしろ、その言葉に似つかわしいのは彼等の方であったらしい。

売られている品目はこれらで、すべて「日本の」、もしくは「日本人の」という言葉が頭に付き、それは、水、土、タネ、ミツバチの命、食の選択肢、牛乳、農地、森、海、築地、労働者、日本人の仕事、ブラック企業対策、ギャンブル、学校、医療、老後、個人情報。それらが売りに出されているわけです。堤さんはこれらを買うのは「今だけカネだけ自分だけ」の徒であり、それによって次々にぼくたちの生活の当たり前だった足元が崩されていっていると書いている。

しかも、それはグローバル資本主義の名のもと全世界で進行中であるらしいのだ。昔、19世紀の半ばにカール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスは「共産党宣言」でこんなことを書いたのだよ。

「一つの妖怪がヨーロッパにあらわれている、――共産主義の妖怪が」

妖怪はベルリンの壁の崩壊とともに消え去ったように見えたのだけれども、21世紀の初頭はこんな風でもあるのだよ。

「一つの悪魔が世界にあらわれている、「今だけカネだけ自分だけ」という資本主義の悪魔が」

杜甫の詩に「国破れて山河ありき」という言葉があるけれど、「山河」こそ「国」の始まりで、そこからしか何もないという気もするのだけど、今や「山河」も、日本では2016年に農地法を変えて大売出し中らしい。赤尾敏や野村秋介が生きていたら何と言うだろうか? やはり夏目漱石は「この国は滅ぶね」と言っているかもしれない。

その滅びる前にすることがあって、ラストの章の「売られたものは取り返せ」に少し救われた。





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中矢俊一郎さんが細野晴臣さんの語りをまとめた「HOSONO百景」を読んだ。ポップ・ミュージックのマエストロが縦横無尽に、街のこと、旅のこと、もちろん音楽のこと、映画のこと、本当にいろんなことを語っております。2014年に出版されたこの本には震災後の東北ツアーのことも書かれていて、相馬市でコンサートをした時は、震災後に地元に戻った青年から、帰っていく餞別にと、職場の先輩からCD「はらいそ」を渡されたという話が出てくる。マエストロはこんな慨嘆をする。

「ぼくはこれをどう考えたらいいのかわからなくて・・・・・・。それ以上のことは話さなかったんだけど、震災前の相馬が彼にとっては楽園なのかもしれない。ただ、どうしても元に戻したいその楽園は、震災後も見た目は変わっていないわけだから、イマジネーションの世界に近いと思う。現実と非現実が重なったような、本当に複雑な場所だった」

今という時代はノスタルジーとイマジネーションによって前に進んで行くしかない時代なのかもしれない。街も、町も、景色も変わっていくのだけど、ぼくも旅に出て、知らないその土地や場所の景色を見て、音を聞きたい。




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最新のディズニー映画「プーと大人になった僕」を見たいと思っているのですが、ふと、A.A.ミルンの「クマのプ―さん」ってどんな話だっけと思い、石井桃子さんの訳した岩波少年文庫を読んでみた。

子どの頃を遠く過ぎたぼくは、こんなかわいらしい絵のいっぱいある本を読むことのワクワクもどこかに去ってしまったのかもしれないなどとも思いつつ、読み進めていく。

そうか、クリストファー・ロビンの子ども部屋の棚には、きっと、クマや子ブタ、ウサギやロバ、フクロウやカンガルー、ゾウのぬいぐるみが飾ってあって、それが、夜のなると不思議な森に彼を連れ出してしまうことは信じていいことなんだ。

すると、ぼくも小さいころ、小さなクマのぬいぐるみいを持っていたことを思い出し、あのころの甘くて苦いような気持ちがよみがえってくるようなのです。きっと、心のどこかで、こんなぼくも、今でも、プーと友だちなのかもしれないな。
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湯本香樹実さんの「夏の庭 -The Friends-」を読みました。

ひと夏の三人の少年たちのとある近所のおじいさんをめぐる物語が、具合が悪く寝てばかりだったぼくに遅れてやってきた夏のようだったのです。読み終えると、コスモスの咲き始めるころで、なんだか、この「夏の庭」とぼくの毎日にシンクロニシティ、偶然の一致すら感じてしまったではないか。

子どもたちにとって夏休みとは、きっと、特別のものなんだよ。世界各国の訳されているこの本に、今年のぼくは少年時代に連れ戻され、夏休みがそこにあったようなのです。忘れられない夏が本の中の物語に確かにあったようなのです。





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倉田百三の「出家とその弟子」を読了した。

「出家とその弟子」は、唯円が親鸞について書いた鎌倉時代の書物「歎異抄」をもとにした読む戯曲ということだが、それは「歎異抄」にインスピレーションを得た倉田百三のまったくの創作だった。

解説で亀井勝一郎は青春文学と呼んでいるけれど、ぼくにはそうは思われず、それは、いまだに何歳になっても、ぼくが青春のままでいるからだろうか?

倉田百三は、この大正時代末期に発表された「出家とその弟子」の一冊のみによって、百年以上にもわたって読み継がれる作家になったのだけれども、揺り籠から墓場まで何歳で読んでも、何か心に残る名作であると思った。そう、名作と呼ばれるものには何かあるのです。若い倉田百三は何かに書かされて、これを書いたのかもしれない。

また、何年かしたら、再読してみよう。





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田坂広志さんの著した「深く考える力」を読む。経営者のための私塾を開いている田坂さんの書いた所謂、ビジネス・マン向けの啓発本なのだけど、そこに書かれていることはビジネスの世界を越えて、とても普遍的。

昔、田坂広志さんのセミナーというか、講演会を見に言って、とても面白く、感銘を受けてファンになったのです。プレゼン資料もなく、レジュメも演壇の手元になく、おもしろい話を次から次へと話されておりました。

ぼくは、もう自分をビジネス・マンなどとは思えず、あとは自分の人生を生き抜くだけだなどと、考えてしまいますが、そんなぼくにも面白かった本です。

この本に取り上げられている十六冊の書物、すべて読みたくなってしまった。

田坂さんが何度も繰り返す「心の置き所」。気になる言葉です。

ビジネス・マンではなくなったらしい今も、ぼくは田坂広志さんのファンなのです。

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五木寛之さんの「私訳歎異抄」を読んだ。浄土真宗を開いた親鸞について、その弟子、唯円が本当はこんな人だった、こんなことを言って教えてくれたと書いた鎌倉時代後期の本。まえがきでの五木寛之さんのこんな言葉に、ぼくはぎくりとしてしまう。

「他人を蹴落とし、弱者を押しのけて生きのびてきた自分。敗戦から引き揚げまでの数年間を、私は人間としてではなく生きていた。その黒い記憶の闇を照らす光として、私は歎異抄と出会ったのだ」

そんな五木さんの全身全霊を込めた現代語私訳です。

読みながら、初代「ルパン三世」のある回「脱獄のチャンスは一度」を思い出した。銭形警部につかまり刑務所にいるルパンに次元大介が僧侶に変装し何回も面会に行く。変装しつつ次元にもどった彼は、脱獄に必要なものはないか、とルパンに言う。いや、いらないよと言うルパン。再び僧侶に戻った次元は、御仏の慈悲があることを、と言って去っていく。死刑当日にルパンは脱獄し、次元と宝を埋めた所に戻って行く。そこは更地になり、工事のための仕掛けられたダイナマイトで宝箱は露と消える。ルパンが一言、御仏の慈悲だよ、と言って次元と笑い合う。

この話、どこか歎異抄とつながっているようにも感じたのです。

ぼくも、御仏の慈悲だよ、と言って、笑いたいな。




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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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