えいちゃん(さかい きよたか)

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金時鐘さんの著した「背中の地図 金時鐘詩集」を読む。

「金時鐘」と書いて「キム・シジョン」と読むこの詩人は、今は亡き中上健次が尊敬していた在日の詩人で、言葉遊びではない、中上健次ふうにいえば、切って血が出るような言葉がそこにいつもある。

この「背中の地図」は東北大震災の後に書き綴られてきた現代詩で、内省的でありながら外に開かれ、詩となった痛みはぼくの胸をえぐりながら、清冽な清水のようでもある。日本にも、ガルシーア・ロルカやパブロ・ネルーダのような詩人がいることを知る。

その人生は波乱そのもので、戦中は内鮮一体や大東亜共栄圏・八紘一宇を信じて疑わず、日本の敗戦時には皇国少年として天皇陛下への申し訳無さから涙にむせぶ。戦後の済州島の島民虐殺を生き延び、大阪に渡り、ろうそく工場で働きながら、詩を書き、社会主義に傾倒するも、その権威主義に疑問を抱き、北朝鮮の体制を嫌悪する批判文を書き、朝鮮総連から民族の裏切者と呼ばれる。ここにも異邦の眼差しがあったのだとぼくは思うのだった。

金時鐘さんは「詩は書かれなくても存在する」という。「背中の地図」の出版に際しての最近のインタビューでの言葉。

「よほど恵まれた人でない限り、喉元(のどもと)まで突き上がる思いを抱えながら、飯を食うために好きでもない仕事をやっているんです。その思いを言葉にできるのが詩人。美しい世の中があるとすれば、書かれない詩を生きている人が満遍なく点在している国です」

そのように語る詩人はこのように人生をふりかえりもする。

「私にとって、詩を書くというのは『そうであってはならないことには与(くみ)しない』ということ。つらい目にあったけど、それで精神が傷つくことはなかったな」

励まされるようです。








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歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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