えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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「THE OLD CROCODILE―年をとった鰐」を読む。原作と原画はフランスのレオポルド・ショーヴォーで原訳が出口祐弘さん。もともとは1923年に出版され、昭和16年7月、日本が英米と無謀で愚かな戦争を本当に始めてしまった時に山本夏彦さんによって訳され出版されている。

読んだ後、なんともいえないような内容に、ぼくはどう受けとめていいか分からす、困惑してしまう。なぜか、赤い色になってしまう鰐に武田泰淳の名作「ひかりごけ」を思い出したりもした。深い心の底に残るような不思議な奇譚めいた物語に出会ってしまった。子どもが読んでもおもしろい、大人のための絵本でしょうか? 読み終えたそおさきから、何だったのだろうと、再び読みたくなってしまう。






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2011年3月11日の東北大震災のことは忘れない方がいいと思うようなところがあって、清水一利さんの著した「フラガール 3.11 つながる絆」を読みました。福島県いわき市にあるスパリゾートハワイアンの受けた震災とその後のルポルタージュです。悲惨な震災は言葉にできないほどだったのだけれども、そこから明日に歩いて行こうとする煌めくものもあったのだと思う。スパリゾートハワイアンが壊滅的な被害を受けながらも、フラガールたちは震災の避難所への慰問公園など、全国にキャラバンの旅に出る。その舞台で彼女たちの一番初めに発した言葉。

「日本中に笑顔、元気、希望をお見せします!」

あの時、そんな風にいろんなところで、いろんな人たちの中で、新しい何かが始まっていたのではないかしら? ぼくも彼女たちともに本を読みながら、こう唱和していたのです。

「ゴー、フラガール!!」

そして、この時のことをとらまえたドキュメンタリー映画「がんばっぺ フラガール!」もとてもよかったです。






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清水一利さんの著した『「東北のハワイ」は、なぜV字回復したのか スパリゾートハワイアンズの奇蹟』がおもしろくて、一気に読んだ。スパリゾートの50年間にわたると波乱と逆境とそれに負けない栄光の歴史を外からビジネスの視点、働くものの視点、経営する側の視点などから新書判で駆け足で綴った本です。

昔、『フラガール』というスパリゾートハワイアンズの前身である常磐ハワイアンセンター発足の物語の日本映画を見て、ぼくにとってスパリゾートハワイアンズは、まだ足を運んだことのない気になる観光の地となりました。『フラガール』は大ヒットして、その年の日本の賞を総なめしたのだけど、常磐ハワイアンセンターの初代フラガールズを演じた蒼井優がすごくよかったな。

さて、本の『スパリゾートハワイアンズの奇蹟』に戻り、昔は企業は株主のためにあるとかなどともいわれ、今でも経営者のためにあるなどと考える代表取締役社長もいることだろうけれど、ぼくは企業というのは、そこで働く人たちとその企業のまわりで生活する人たちのためにまずあるべきものだと思うよ。そいいう意味で、衰退する炭鉱業から常磐ハワイアンセンターを起こした中村豊という人は偉大で、ぼくはレスペクトしてしまう。

そういうえば、明治に内村鑑三という人がいて、『代表的日本人』という名著があって、明治の初め以前の五人の日本人が偉人として取り上げられていて、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮について書かれていた。ぼくは中村豊さんは明治以降の代表的日本人の中の一人に確実に入るのでないだろうかと思ったしだい。

そして、今までつづく「一山一家」いわれる企業風土とその後の物語に目を見開かされたのです。いろんな人たち、特にこれから起業しようとする人などに、先に紹介した『フラガール』とともにぜひ読んで欲しい本『「東北のハワイ」は、なぜV字回復したのか スパリゾートハワイアンズの奇蹟』であります。




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壇一雄の短編集「花筐」を読んだ。

この前、見た大林宜彦監督の映画「花筐」がとてもよくて、原作本を読んでみたのです。

三島由紀夫は「花筐」を読んで、小説家になろうと決心したという。語彙力の豊富さは三島を越えているのでないかとも思ってしまう。しかも、この悲劇の明るさは何だろう? 戦中と戦後の小説が六篇、どれも文体が違って、その言葉の力になるほどとうなってしまう。

「花筐」は五十ページ足らずの短い小説を3時間にも及ぶ映画にした大林監督にもぼくは驚いてしまう。しかもこの短編集のあとがきは文学愛に満ちた大林監督の思いのたけの文章がつづられてもいる。

太宰治や坂口安吾と同世代ながら、太宰や安吾と違い、戦争に行って戻り、生き延びた無頼派は、人を愛し、人を傷つけ、罪を作り、後悔し、それでも書き続けた、その戦後の生涯を思うと、なんとも言えないなぁ。「花筐」の他にも、この短編集に入っている「ペンギン記」は、夏目漱石の「文鳥」に並ぶ、命のかけがえのなさを思わせてくれる傑作だと思った。






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東京都写真美術館の「生誕100年 ユージン・スミス写真展」で売り切れとなっていたいた図録「ユージン・スミス写真集」を注文していて、家に届けれていた。夜、なぜか眠れず、写真集を見ていると、いつの間にか未明となっていた。

ユージンの写真家の歩みは、第二次世界大戦の沖縄の従軍「第二次世界大戦」に始まり、水俣病を取材した「水俣」で締めくくられ、日本とは深い縁があった。この写真集の解説で、偉大な写真家が1977年に59歳で死去している、その原因の一つが公害を垂れ流す企業の雇った右翼系暴力団の暴行(ユージンはこの時、脊髄を折られ片目を失明している)であったのを知り、少なからぬショックを受けた。

ユージン・スミスは愛した日本という国の首都の古い繁華街、新宿ゴールデン街のバーである日本の若い写真家から、あなたの写真はもう古い、と言われたことがあるという。けれど、高潔や正義、倫理、寛容、ヒューマニティーという言葉で表わされる様々な美しさがユージンの写真にはあって、それが古くなり滅びることがあるのだろうか?

黒はどこまでも黒く、白はどこまでも白く、がフィルムを写真の現像する時のユージンのいつもの言葉であったらしい。

『ユージン・スミス写真集』W. ユージン・スミス




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大岡昇平が編纂した岩波文庫版の「中原中也詩集」を読んでいます。

この前、レンタルDVDで見た映画「野のなななのか」で常盤貴子さんが演じた清水信子が愛読していたたった一冊の本が中原中也の「山羊の歌」であったことから、再び読んでみたくなったのです。あー、大林宣彦監督も中原中也が好きであったのか。

この詩人に初めて出会ったのは高校生のころ、好きでよく聞いていた友川かずきさんのアルバム「俺の裡で鳴り止まない詩」がまる一枚、中原中也の詩を歌ったものだったのです。そのころから、中原中也の詩を思い出してはよく読んでいます。「野火」や「レイテ戦記」を書いた戦後文学のまぎれもない文豪であった大岡昇平は友だちであった詩人への敬意を隠そうともせず、岩波文庫版での解説も、とても読み応えのあるものになっています。ぼくは、これからも、何度も中原中也の詩を読むでしょう。








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その昔、残業続きの夜、終電で家に帰ってくると、深夜にNHKで「兵士たちの戦争」という番組をやっていて、見始めると、その戦争の悲惨さにいつしか深夜の二時になるまで見ていた。その番組は第二次世界大戦を戦った(名もなき)兵士にインタビューするという内容で、インタビューに答える兵士は、怒りのような感情で、ついには手も声も震えて証言する人も多くいた。その時に、哲学や理念での真実とか本当とかでははなしに、戦争の現実とは何だろうかと、ぼくは考えてしまうようになった。

ついちかごろも吉田裕さんの「日本軍兵士 ―アジア・太平洋戦争の現実」を読んだ。戦争の現実は恐ろしい。戦争は地獄です。

そして、人の命を大切にしない政軍一致のかつての日本と、過労死や自殺を顧みず、何も変わろうとしない、変えようとしない今の日本の多くの企業は、まったく地続き暗黒であるとも思う。

番組|NHK 戦争証言アーカイブス - NHK オンライン





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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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