えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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風邪でうなされつつ、内田樹さんの著した「街場の天皇論」を読んだ。今は休刊となった「Sight」という雑誌があったころ、高橋源一郎さんと内田樹さんお対談がおもしろく、楽しみに読んでいたのを思い出す。ある号では二人は皇室こそもっとも強力な平和と民主主義を守護する勢力ではあるまいかと、論じていたのだけど、その論の様々なヴァリ―エーションが一冊の本になり、平成の終焉も近しくなり、上梓された。

多分、内田さんが、今、最も書きたかったのはこの本の終章「「日本的状況を見くびらない」ということ―あとがきにかえて」ではなかろう? ここにはとても怖いような彗眼があるように思われる。ぼくたちは死者たちの立ち上がる姿を何度も見てきたけれど、再びその姿に畏怖するのではなかろうか?





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「滝田ゆう展」を開催していた弥生美術館で売られていた松本品子さんの著した「滝田ゆう 昭和×東京下町セレナーデ」を読んだ。松本品子さんは弥生美術館のキュレーターで図録のようなこの本には美しい滝田ゆうの絵が多数、掲載されている。

年譜によれば滝田ゆうは一九九〇年、平成二年に御年五八歳で急折していたのであった。細かく描かれた絵を見ると、これでもか、これでもかと細かく描き足されたありし日の下町の風情に、命を削ってペンと筆を走らせていたのではないと思わせる。ジャンルは少し違うけれど、フランスの印象派から点描画を極限ま押し進めたジョルジュ・スーラの生涯がダブるな。

滝田ゆう、家庭では癇癪もちの良きお父さんであったそうです。唯一の気晴らしが街歩きとお酒。飲み仲間の嵐山孝三郎に飲み屋のカウンターに置かれたグラスを指し、滝田ゆうはこう言ってのぞきこんでいたという。

「ほら、コップ一杯の焼酎に虹が出ているよ」







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「鎌倉ものがたり 映画「DESTINY鎌倉ものがたり」原作エピソード集」を読む。西岸良平さんによる漫画です。山崎貴さんの映画ではこれらのたくさんの漫画が一つの映画のストーリーとなっていて、それが、また一つの物語を作りもしていたのかと驚いた。そして、やっぱ、ほのぼの系ですな。

舞台となっている鎌倉という町、ある霊感のある女子は鎌倉に何かを感じて、少し怖いとも言っていたなぁ。きっと、奈良や京都と合わせて日本の三都物語ですな。たまに、ぼくは散歩に出かけます。






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野坂昭如の「アメリカひじき・火垂るの墓」を読了した。この新潮文庫、何度目かの「火垂るの墓」の再読なのだった。高畑勲監督のアニメーション映画「火垂るの墓」も何度か見ています。小説を読むことは、映画とはまた違った何かがあると思う。

この短い小説「火垂るの墓」は何か鎮魂のお経を読んでいるかのよう。ぼくにとって、同じような感慨を覚えた作品がもう一つあって、それは深沢七郎の「楢山節考」。この二つの小説は戦後文学の双璧の名作だと思う。二つの小説に共通するアナーキーは仏教に通じ、その自由には寂しさや悲しみがあるのではなかろうか?

野坂昭如の実体験からの小説なのだけど、しかし、戦争とそれがもたらすものって本当に嫌だなー。そして、この短編集に収められている他の小説もとてもおもしろかった。特に「死児を育てる」の戦争にまつわる悲しさは衝撃的。

野坂昭如ってかっこいい不良だなって思う。




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この前、下北沢の小さな映画館で見た台湾の映画「星空」の原作の絵本を読んでみた。ジミー・リャオさんの描いた「星空」。映画とはまた違う美しい絵と美しい物語でした。

世界には身近にも美しいものがあるのに、それを知らないでいるのは口惜しいことだと最近、思うようになりました。ときたま、ぼくも夜の帰り道、星空を見上げます。





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澁澤龍彦の「高丘親王航海記」を読了した。奇想天外な話がとても面白く、ついには終章の「頻伽」で深く感動して、その読後の深い余韻は格別のものでした。自身が手にとることもなく逝ってしまい、これが辞世の本となったとは、澁澤龍彦、あっぱれです。語彙がとても豊富で、しかも、これほどに美しい日本語もないのではないでしょうか。

この本の物語の登場人物、高丘親王や藤原薬子、そして病床でこれを書き綴りつづけた澁澤龍彦といっしょに、ぼくも、この小説に出てくる魔法のような言葉を唱和せずにはおられないのです。

「そうれ、天竺まで飛んでゆけ。」






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戸井十月アニキの「ロシナンテの肋 チェ・ゲバラの遥かな旅」を読了した。アニキと呼んだのは、こんなかっこいいお兄さんがいたらな、と一人っ子のおいらは思ったからです。昔、よく見ていたCSの旅チャンネルでのアフリカやラテン・アメリカをバイクで縦断する番組はおもしろくて、かっこよかったなー。その十月アニキも点鬼簿に載っていることをつい近頃、知った。この前、戸井十月アニキの「植木等伝「わかっちゃいるけど、やめられない!」」を読んで、ネットでちかごろはどうしているのだろうか調べたら、2013年に天国に旅立っていた。

もっとも力の入った代表作を読んでないことに気づいて、本をネットで取り寄せてこの「ロシナンテの肋」読んだのです。この本の終章の「第七章 最後の旅へ」を読んでいて目頭が熱くなった。この本は十月アニキによれば、八〇%の事実と二〇%の想像で書かれた評伝小説なのだそうだけど、とくに「第八章」は見てきたことのようにリアル。そして、「あとがき」でのゲバラと絶望的なゲリラ戦をボリビアで戦った日系人のフレディ・マエムラについての文もすばらしい。この数年後に「ロシナンテの肋」の続編ともいうべき旅行記「遥かなるゲバラの大地」が続くのだが、もう一度、読んでみようかな。

ゲバラ死後のラテン・アメリカでおこったことを思う。1970年代のアメリカ合衆国に後押しされた軍事独裁の時代、1980年代のカソリック教会が貧困に立ち向かう解放の神学、1990年代の少数民族の人権の復権の時代、そして、世紀は21世紀となり、ゲバラたちが志したような武器によるのではなく、民主主義の選挙という制度により、つぎつぎに社会主義政権が成立した時代とそれすらも腐敗してしまったらしきブラジルからのニュース。ラテン・アメリカが愛おしくなる。

さきにあげたフレディ・マエムラの墓碑銘にはこうあるという。

「大きな樹には強い風が吹く」

そういえば、ぼくは、その昔、チェ・ゲバラとアーネスト・ヘミングウェアを思い浮かべ、ぼく自身のために「ハバナ」というこんな詞の歌を作ったのだった。

♪♪♪
ハバナから旅に出よう
リスボンの港に立ち寄ろう
あの古いジャカルタの町で知った
ブンガ・ワン・ソロを歌おう
 ハッカとマドロス・パイプをふかして
 海の青さが知りたいだけさ

暗い夜の海の航海では
お月様だけがたよりなのさ
こんな僕の人生の中では
君の愛だけがたよりなのさ

New Orleansの港を目指して
Old Delihの町を出たところさ
アフリカ・コンゴで負けて
ボリビアの森の中に消えた
 風と波の白さを受けて
 舟は海の青さに溶けだした

暗い夜の海の航海では
お月様だけがたよりなのさ
こんな僕の人生の中では
君の愛だけがたよりなのさ

世界は僕の言葉と見たものに
驚きの声をあげるだろう
マストのてっぺんとデッキのへさきから
流れていく星や雲が消えた
 Viva! libertad. Viva! Solidaridad.
 マンボやチャチャチャを踊りたいだけさ

暗い夜の海の航海では
お月様だけがたよりなのさ
こんな僕の人生の中では
君の愛だけがたよりなのさ♪♪♪

チェ・ゲバラ、百年たったら、武器を持たずにもどってこいよ。もう素手でしか世の中は変えられないかもしれないさ。

ゲバラ終焉の地、ボりビアのあの村の漆喰の壁にこう落書きされているのを十月アニキは見たそうだ。

"Che" viva mas que nunca






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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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