えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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黒田福美さんの著した「夢のあとさき」を読了した。この本の副題には「帰郷祈願碑とわたし」とある。こんなお話。ある日、韓国好きの女優は夢を見る。しらない南の島の砂浜で背の高い若者に会う夢。その若者は黒田さんに屈託なくこう語りかける。

「僕はね、ここで死んだんですよ。自衛隊の飛行機乗りだったんです。天皇陛下の御為に死んだことには悔いはないんですがね、ただ一つ残念なことがあるんです。それはね、僕は朝鮮人だというのに日本人として、『日本の名前』で死んだことなんですよ」

彼女はその不思議な心に残る夢の話を友人にすると、友人はこう解釈した。

「それって、本当は『自衛隊』じゃなくて『特攻隊』だったんじゃないの?」

それから、黒田さんのその夢をつかもうとする旅は始まり、「帰郷祈願碑」を韓国に建立しようとする二十年以上の月日が過ぎてゆく。足跡は、靖国神社、沖縄の摩文仁、鹿児島の知覧、釜山、ソウル、泗川、龍仁とかけめぐり、夢は日本と韓国を行ったり来たりする。

夢は悪夢にも変わり、さらに再び、涼しくも清らかな夢がある人から告げられるのだけど、電車の中でそれを読んでいて涙ぐんでしまった。

すべて実話です。いろいろ考えさせれられる本でした。黒田福美さん、日のあたらない何かを素手でさらい、日をあたらせたあなたのしたことは、もちろん無駄ではありませんでした。尊敬します。

ぼくはこう思ったのです。愛からしか何も生まれない。どうしてぼくたちは愛しあえないんだろう? わかりあえる日がいつかきっと来る。

いつか、法輪寺に行ってみたいな。






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戸井十月さんの著した「植木等伝「わかっちゃいるけれど、やめられない!」」を読んだ。いろんな意味で植木等先輩(植木等と坂口安吾は僭越ながらも母校の先輩と呼ばせてもらうのです)って本当の本物なんだなって思った。とてもやさしくて誠実で誰も決して上とか下とかに差別しない先輩なのです。

この本には植木先輩からの聞き書きがたくさん載っていて、まるでご本人から波乱万丈のお話を聞くかのよう。なんで「わかっちゃいるけれど、やめられない!」かは、有名な話だけど、この本にも出てきます。

ありがとう、植木等先輩。こんな本を書いてくれた戸井十月アニキ。







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星野道夫さんの著した「森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて」を読んだ。アラスカやシベリアへワタリガラスの神話を古老から聞こうと旅する話だった。

その旅の途中で星野さんはヒグマから襲われるという事故によって1996年8月8日、43歳で急折したのだった。「家庭画報」に連載されたこの文章は、あと二回が残され、書かれなかったその二つ章に変えて、最後の日々の日記が載せられた。

この本を読み終えて、ぼくは、ヒグマの事故ではないもう一つの話を想像してしまう。

ある夏の夜、星野さんはキャンプのすぐ近くの外にいる獣の気配に目を覚ます。気づけば、テントの小さな空気を通す穴から、一匹の熊が覗いている。ついに来てくれたかと星野さんは思い、静かに眠ったふりをする。星野さんはこうも思う。私は襲われるのではない、むしろ、私は、野生の生きものの捧げものになるのだ、ありがとう。静かな夜、オオカミの遠吠えとワタリガラスの鳴く声も聞こえてきた。

本当は何があったのかは何も書かれていないし、もちろん、ぼくもわからない。

ぼくの読んだ文庫本での池澤夏樹さんの解説の文にドキリとする。池澤夏樹さんの解説によれば星野道夫さんの親友でもあるシリア・ハンターはこう言ったそうだ。

Life is what happen to you while you are making other plans(人生とは、何かを計画している時起きてしまう別の出来事のこと)である。

この本に散りばめられたたくさんの星野道夫さんの撮った写真があまりに美しい。






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見に行った原爆の図丸木美術館で購入した岩波ブックレットシリーズの中の一冊、原爆の図丸木美術館の学芸員であり、館長でもあられる岡村幸宣さんの著した「《原爆の図》のある美術館 丸木位里、丸木俊の世界をつたえる」を読了した。

二段組、63頁の小さな本を読み、「原爆の図」が世界を旅する絵であることを知った。まず、この連作の絵が初めて描かれた1950年から数年、日本中をいろんな人たちの力によって巡回している。一番の新しくは2015年にアメリカのワシントンDCとボストンとニューヨークに旅をし、2016年にはドイツのミュンヘンを旅した。

そんな世界のいろんあところで、いろんな人とこの絵は出合い、いろんなことを人と絵は語り合う。「《原爆の図》のある美術館」からの引用です。

「内戦の国から来た青年は「絵の中から音が聞こえる」と耳を塞ぎました」

けれども、帰るところは埼玉の静かな川辺にある小さな私設美術館で、そこで人の命のためにその絵自身が祈りつづけているようなのです。

再び、「《原爆の図》のある美術館」からの引用。

「ぜひ実際に、そして何度でも、丸木美術館に訪れて下さい。絵画が呼び起こす想像力は、遠く離れた時間と場所をつなぎ、生と死の世界を交錯させます。きっとそこから、新たな視界が開けていくことでしょう」






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こわいもの好きなぼくはコンビニの漫画本コーナーで「恐怖新聞・うしろの百太郎~つのだじろう怪奇特選~」を買って、一気読みなのです。こわいもの好きな子どものころだったよ。最近は夏なのに、深夜にこわい番組とかテレビでやらなくなったなぁ。

この本の中では「亡霊学級 第1話「ともだち」」がすごくよくて、昔、読んだのを思いだしまいた。こわくて悲しい話に、ぼくは読みながら、子どものころにもどったかのような気持になってしまったのです。
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山中恒さんの著した「暮らしの中の太平洋戦争 ―欲シガリマセン勝ツマデハ―」を会社からの帰り道にあるドトールコーヒーで一気読みしました。

初めは苦笑い、その後、悲しくなり、ついには怖くなりました。ネットのニュースとかで朝鮮半島の北の方の国から核爆弾を搭載したミサイルが飛んでくるのに備えて、畑の畦道で頭を抱えてしゃがみこむ、そんな訓練をする画像を見たのです。この本に書かれていることと今も変わらないのではないですか。それから、あの日本の総理大臣はこの本に書かれている時代に本当に戻りたく思っているのでしょうか?

戦争に心を売ったかのような文人や詩人のことも書かれていました。そんな多くの中で永井荷風は沈黙し、谷崎潤一郎は「細雪」を連載していたのです。後にぼくがラジオで聞いたインタビューで、谷崎は、軍部がうるざくて、だけど戦争には加担したくなくて、目くらましに「細雪」は書いたんだよ、と言っておりました。永井荷風は「断腸亭日記」を発表もせずに書き綴っていました。まぁ、ここらへんのことはこの「暮らしの中の太平洋戦争」には出て来ませんけれど、そういう身の処し方もかっこいいと感じられるこのごろですが、戦争反対と声をあげるのも今しかないのかも。全体主義、言論統制、同調圧力、いやだ、いやだと、ぼくの心が声を小さくあげいています。






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中島京子さんの「ゴースト」を読了した。先の大戦で亡くなった人が幽霊となり現代に現れるという内容の短編小説集。どのお話も、怖くないという、むしろ悲しく、それが心に響きます。ラストの話「ゴースト・ライター」から本の帯にもあった言葉を引用します。

「ゴーストはいっぱいいるのよ。だけど、ゴーストはなんにもできない。誰かに乗り移ったり、怨念をまき散らしたり、そんなことはできない。ただ、横にいて、思い出してもらうのを待っている。あんたのつい隣で、待っているんだよ」

この「ゴースト・ライター」、あぁ、なんと矛盾した、(自分で自分の尻尾を噛んでいる)ウロボロスの蛇のような物語なのだろうと思いつつ、ぼくの胸に深く降りてきた。

ふと、先に逝ってしまった人や動物たちのことも、なんで死んじゃったんだろうなと思うことがぼくにもあるけれど、すべての生きものはいつかは死ぬものだということを忘れてしまって、大概は毎日を生きています。ものも言わず、姿も見ないけれど、そこにいることをぼくは疑いません。





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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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