えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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四方田犬彦さんの編纂した「李香蘭と東アジア」を読了した。著者は四方田さん以外に鷲谷花さん、垂水千恵さん、岩野裕一さん、牧野守さん、藤井省三さん、張愛玲さん、古倉梧さん、門間貴志の面々。四方田さんは李香蘭はいろいろな名前で呼べれてきたと言う。日本語ではリコウラン、北京語ではリシャンラン、広東語ではレイホウラン。彼女は山口淑子でもあり、ハリウッドではシャーリー・ヤマグチ、そして、パレスチナでのアラブ名、ジャミ―ラ。そして、こうも続けている。

「現在のわたしには、戦後の李香蘭=山口淑子の存在は、二一世紀に日本人が生きてゆく際のモデルを提供しているように思われる。国境を越え、民族と言語の壁を越え、民族主義と真正面と向かいながら、つねに歴史のなかで自分の位置を確認してゆく作業を忘れない女性」

なんとなく伊藤詩織さんという人を思い浮かべてしまうのだった。

北京の映画監督である陳凱歌(チェンカイク)はこう称揚するそうだ。

「李香蘭は二〇世紀のアジアが生んだもっとも重要な女性だよ」

この本を読み、もう一つのアジアの歴史を知ったかのよう。

そして、山口淑子さん自身が藤原作弥さんと共著した「李香蘭 私の半生」についても。この本はは昭和の初めのころ。戦前の中国と日本についてのもう一つの視点からの歴史を知りたい人にお薦めの名著です。





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二松浩紀さんの著した「移民たちの「満州」 満州開拓団の虚と実」を読了した。中国からも日本からもその正史から除外されてきた「満州」の諸人にとっての史実が書かれてあった。

凄惨な戦争の描写に読み進めるのが辛くなるところもある。けれども、読み進めていくと、今のイスラエルのようでもあると思う。かの満州の満映のトップ女優、李香蘭であった山口淑子さんは、国会議員になり、パレスチナ問題に尽力したことの理由と意味が理解できるような気もする。但し、この「移民たちの「満州」」には李香蘭も甘粕正彦も登場はせず、あくまでも庶民にとっての満州が詳細に聞き書きされ、記述されている。

日本人は被害者でもあり、加害者でもあった。すさまじい経験をした。語るのもはばかれ、記憶は封じ込まれ、多くの人たちは沈黙した。「移民たちの「満州」」からの引用。

「その傷が深ければ深いほど沈黙もまた深い。私はその“沈黙の世界”に踏み込む勇気はなかった」

そして、シベリア抑留者をインタビューした辺見じゅんさんの言葉を「移民たちの「満州」」は引用もしていて、それはこの本のテーマであるかのようなのだ。

「風化とは、人びとの命をかき消すこと。人びとの営みをすべて否定してしまうこと。それは歴史の抹殺につながる。私たち知る歴史は、実は表街道の話。そこに、名もなき人たちの苦難や悲しみは描かれていない」

名もなき人たちの苦難や悲しみを思い描くことのできない人がいて、もう一つ、戦後の長い間、満州に行った人たちや行われたことは歴史からほぼ消されていたのだけど、どうして今の日本に安倍晋三のようなおぞましい政治家が登場したかのか、それを解く鍵の一つが満州にあるような気もするのだった。





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近ごろ、満州とは何だろうと考え、いまでは、そこがなかったかのように扱われる、そんな国でもあるのだけど、岸田剛さんの著した「満州は海の上 一番古い記憶の物語」を読んだ。

淡い子どもの記憶に残った満州から日本への引き揚げ船での一番初めの物語は、時を経て、曖昧になり、その船上で見る海のを泳ぐ鯨の光景は、美しく洗われているかのようであった。

あなたの記憶に残る一番初めの物語は何ですか? どうかぼくに、いつか語ってください。






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看護師であられ、高野山真言宗の僧侶でもあられる玉置妙憂さんの著した「まずは、あなたのコップを満たしましょう」を読んだ。平易な言葉で書かれた生きること、死んでいくことについての本。そして、読んでも、いろんなもやもやは取れずにいるぼくに、妙憂さんは、それでいいんですよ、とやさしく声をかけてくれているようなのです。

命のことを粒のエネルギーというこのお坊さんは、夫の死をきっかけに高野山に行かれ、修行をし、僧侶であるとともに看護師の仕事も続けておられるという。友だちのヨガ教室の先生であられるきららさんも粒とよくおっしゃっておられるのを思い出し、ぼくはその昔、紀伊半島の山の中の宗教都市、高野山を旅した時のことを思い出す。金剛峯寺に胎蔵曼荼羅と金剛界曼荼羅のかけられた部屋があり、ぼくと旅の数人がお茶を飲みつつ、両界曼荼羅を見つつ、休んでいると、一人の剃髪した女の僧侶が現れたのです。その御方はぼくたちに、こんなことを語られたのです。

「わたしには超能力のようなものはございませんよ。さあ、この胎蔵曼荼羅をご覧ください。真ん中には大日如来がおはしまし、そのまわりを菩薩がとりかこみ、さらに一番外には犬や鶏も描かれております。真ん中にあられる仏様が一番偉くて、まわりの獣や鳥たちが劣っているなどということではございません。どのものたちもすべて尊く輝いておられます。あなたがたもその一人でございますよ。よい旅をお続けください」





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中村元さんの訳した仏典「ブッダの 真理のことば 感興のことば」を読む。インドのパーリー語で書かれた古いブッダに関する書物は中村元という顕学により美しく平易な日本語となっていた。この本を読んでみたいと思ったのは御神籤でひいた大吉の言葉が仏典からだと知ったことにもよる。

「無益の句なる一千語よりも、聞きて安隠を得る一つの益ある句を勝れたりとす」

さて、中村さんはどう訳しているのだろう。

「無益な語句を千たびかたるよりも、聞いて心の静まる有益な語句を一つ聞くほうがすぐれている」

読みながら、この「真理のことば」はビズネス・ホテルに聖書とともに引き出しにしまわれている、英語と日本語が併記された本でもあることに気づいた。そうです、布団の中で読んでいると、とたんに眠たくなります。そうして眠ると、青くて清い気の目覚めたやさしい神のような人に出会い、その人なぼくに何かを告げてくれるのかもしれません。「感興のことば 第三〇章 楽しみ」の四九番のことばです。おやすみZZZzzz.....

「われらは何物をももっていない。いとも楽しく生きていこう。光り輝く神々のように、喜びを食(は)むものとなろう」





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五木寛之さんの著した「はじめての親鸞」を読んだ。「絶対他力本願」とか「善人、往生をとぐ、いわんや悪人をや」とか何となくぼくもそんな言葉こそ曖昧に知っていた親鸞についての小説家の目で見た親鸞についての講義録。

知らなことも、もちろんいっぱい。例えば、鎮護国家の仏教から人を救うための仏教への遷り変わりとか、唯円による親鸞の聞き書き「歎異抄」を読むとキリスト教との共通点に驚くらしいとか、親鸞の教えは今でいう被差別部落で初めに熱烈に支持されたとか、晩年は仏教を称える歌謡、和讃をたくさん読んだとか。

それから、金子みすゞの「大漁」を枕に親鸞を論ずるところなどは、五木さんならでは。「大漁」ではないけれど、なにやら親鸞につながっていそうな金子みすずさんの「蓮と鶏」をご紹介いたします。おやすみZZZzzz.....

泥のなかから
蓮が咲く。

それをするのは
蓮じゃない。

卵のなかから
鶏(とり)が出る。

それをするのは
鶏じゃない。

それに私は
気がついた。

それも私の
せいじゃない。




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赤坂憲雄さんと会津学研究会の方々の著した「会津物語」を読んだ。再読です。今を生きる福島の人たち語る不思議な物語の聞き書きが百話、収めれれています。

キツネの話がとても多い。お稲荷さまの信仰もわけある、せんかたないことなのは、生きものは、みんなで生きてるということ。会津の奇談集「老媼茶話」から二百七十年後、柳田國男の「遠野物語」に編まれたこの「会津物語」を、赤坂憲雄さんは、原発とキツネがひっそりとしあう光景が埋もれている、ともいう。

あぁ、一等新しい話でもある第99話の「廃校で遊ぶ」は泣いてしまいました。

忘れたころまた読みたくなるような本です。






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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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