えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

entry_top_w.png

野坂昭如の「アメリカひじき・火垂るの墓」を読了した。この新潮文庫、何度目かの「火垂るの墓」の再読なのだった。高畑勲監督のアニメーション映画「火垂るの墓」も何度か見ています。小説を読むことは、映画とはまた違った何かがあると思う。

この短い小説「火垂るの墓」は何か鎮魂のお経を読んでいるかのよう。ぼくにとって、同じような感慨を覚えた作品がもう一つあって、それは深沢七郎の「楢山節考」。この二つの小説は戦後文学の双璧の名作だと思う。二つの小説に共通するアナーキーは仏教に通じ、その自由には寂しさや悲しみがあるのではなかろうか?

野坂昭如の実体験からの小説なのだけど、しかし、戦争とそれがもたらすものって本当に嫌だなー。そして、この短編集に収められている他の小説もとてもおもしろかった。特に「死児を育てる」の戦争にまつわる悲しさは衝撃的。

野坂昭如ってかっこいい不良だなって思う。




entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

この前、下北沢の小さな映画館で見た台湾の映画「星空」の原作の絵本を読んでみた。ジミー・リャオさんの描いた「星空」。映画とはまた違う美しい絵と美しい物語でした。

世界には身近にも美しいものがあるのに、それを知らないでいるのは口惜しいことだと最近、思うようになりました。ときたま、ぼくも夜の帰り道、星空を見上げます。





entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

澁澤龍彦の「高丘親王航海記」を読了した。奇想天外な話がとても面白く、ついには終章の「頻伽」で深く感動して、その読後の深い余韻は格別のものでした。自身が手にとることもなく逝ってしまい、これが辞世の本となったとは、澁澤龍彦、あっぱれです。語彙がとても豊富で、しかも、これほどに美しい日本語もないのではないでしょうか。

この本の物語の登場人物、高丘親王や藤原薬子、そして病床でこれを書き綴りつづけた澁澤龍彦といっしょに、ぼくも、この小説に出てくる魔法のような言葉を唱和せずにはおられないのです。

「そうれ、天竺まで飛んでゆけ。」






entry_bottom_w.png
entry_top_w.png
戸井十月アニキの「ロシナンテの肋 チェ・ゲバラの遥かな旅」を読了した。アニキと呼んだのは、こんなかっこいいお兄さんがいたらな、と一人っ子のおいらは思ったからです。昔、よく見ていたCSの旅チャンネルでのアフリカやラテン・アメリカをバイクで縦断する番組はおもしろくて、かっこよかったなー。その十月アニキも点鬼簿に載っていることをつい近頃、知った。この前、戸井十月アニキの「植木等伝「わかっちゃいるけど、やめられない!」」を読んで、ネットでちかごろはどうしているのだろうか調べたら、2013年に天国に旅立っていた。

もっとも力の入った代表作を読んでないことに気づいて、本をネットで取り寄せてこの「ロシナンテの肋」読んだのです。この本の終章の「第七章 最後の旅へ」を読んでいて目頭が熱くなった。この本は十月アニキによれば、八〇%の事実と二〇%の想像で書かれた評伝小説なのだそうだけど、とくに「第八章」は見てきたことのようにリアル。そして、「あとがき」でのゲバラと絶望的なゲリラ戦をボリビアで戦った日系人のフレディ・マエムラについての文もすばらしい。この数年後に「ロシナンテの肋」の続編ともいうべき旅行記「遥かなるゲバラの大地」が続くのだが、もう一度、読んでみようかな。

ゲバラ死後のラテン・アメリカでおこったことを思う。1970年代のアメリカ合衆国に後押しされた軍事独裁の時代、1980年代のカソリック教会が貧困に立ち向かう解放の神学、1990年代の少数民族の人権の復権の時代、そして、世紀は21世紀となり、ゲバラたちが志したような武器によるのではなく、民主主義の選挙という制度により、つぎつぎに社会主義政権が成立した時代とそれすらも腐敗してしまったらしきブラジルからのニュース。ラテン・アメリカが愛おしくなる。

さきにあげたフレディ・マエムラの墓碑銘にはこうあるという。

「大きな樹には強い風が吹く」

そういえば、ぼくは、その昔、チェ・ゲバラとアーネスト・ヘミングウェアを思い浮かべ、ぼく自身のために「ハバナ」というこんな詞の歌を作ったのだった。

♪♪♪
ハバナから旅に出よう
リスボンの港に立ち寄ろう
あの古いジャカルタの町で知った
ブンガ・ワン・ソロを歌おう
 ハッカとマドロス・パイプをふかして
 海の青さが知りたいだけさ

暗い夜の海の航海では
お月様だけがたよりなのさ
こんな僕の人生の中では
君の愛だけがたよりなのさ

New Orleansの港を目指して
Old Delihの町を出たところさ
アフリカ・コンゴで負けて
ボリビアの森の中に消えた
 風と波の白さを受けて
 舟は海の青さに溶けだした

暗い夜の海の航海では
お月様だけがたよりなのさ
こんな僕の人生の中では
君の愛だけがたよりなのさ

世界は僕の言葉と見たものに
驚きの声をあげるだろう
マストのてっぺんとデッキのへさきから
流れていく星や雲が消えた
 Viva! libertad. Viva! Solidaridad.
 マンボやチャチャチャを踊りたいだけさ

暗い夜の海の航海では
お月様だけがたよりなのさ
こんな僕の人生の中では
君の愛だけがたよりなのさ♪♪♪

チェ・ゲバラ、百年たったら、武器を持たずにもどってこいよ。もう素手でしか世の中は変えられないかもしれないさ。

ゲバラ終焉の地、ボりビアのあの村の漆喰の壁にこう落書きされているのを十月アニキは見たそうだ。

"Che" viva mas que nunca






entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

ブレイディみかこさんの著した「子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から」を読了した。

この本を読んで、何度も目頭が熱くなってしまった。イギリスのブライトンを舞台にした実話からのエッセイで、五才にも満たない問題児がたくさん登場する。そんな子どもたちが時折見せる、みかこさんのいうところのブリリアントな何かにぼくもやられてしまったのです。

もしも、この本を本屋さんで見かけたら、この本の中の10頁ほどの「リトル・モンスターと地上の星々」を読んでみてください。これはあらくれた小さな天使たちの話だろうか。きみもこれを読んで涙ぐんでしまったら、涙を拭いてレジに駆け込み、全編を買って読んでみて。

世界はすばらしく、どんな時でも生きる価値がある。そして、そこには薔薇が咲いている。





entry_bottom_w.png
entry_top_w.png
ブレイディみかこさんの著した「労働者階級の反乱 地べたから見た英国EU離脱」を読了した。ブレイディみかこさんは、最近、ぼくの思う一等注目すべきおもしろいライターです。イギリスのブライトンの公営住宅にダンプカー運転手の旦那さんと子どもと自らは保育士をしながら暮らしている人からの英国からレポート。彼女のまわりはワーキング・クラスばかりなのだそう。本の帯にこうありました。

「彼らは「排外主義に走った愚かな人々」なのか―??」

この本もやっぱおもしろかった。この本の章立てを紹介します。「第Ⅰ部 地べたから見たブレグジットの「その後」」、「第Ⅱ部 労働者階級とはどんな人たちなのか」、「第Ⅲ部 英国労働者階級の100年―歴史の中に今が見える」。ぼくはこの本から、いろいろ知らないことも知りました。例えば、英語の'PEOPLE'という言葉が「人びと」ということと同時に「労働者」という意味であるちうこととか。その労働者が歴史の節々で立ち上がり、世界を動かし、変えてきたこととか。別の本に書いてあったのだけど、EU離脱の決まった次の朝、生粋のワーキング・クラスでEU離脱に賛成を投じた隣のおじさんに朝の挨拶をみかこさんはしたそうだよ。

「大変なことになりましたね」
「あぁ、大変なことになったな。おれたちはこれから、地獄に行くんだよ。そして、そこからまた立ち上がる」

EUに対してはこんな意見があることも知った。英国の労働党左派議員だったスチュアート・ホランドはEUの仕事に深く関わり、今はこう警告を発しているそうだ。

「ドイツは20世紀に二度、ヨーロッパを破壊しそうになったが、21世紀は緊縮財政の押し付けで同じことをしている」

みかこさんは英国の労働者階級の人たちのことをこう書いている。

「EU離脱投票の結果を知った朝、わたしが一番最初に思ったのは、「この国の人たちは本当にやってしまう人たちなのだ」ということだった。いいにしろ、悪いにしろ、英国の労働者は黙って我慢するような人たちじゃない。必ず反撃の一手に出る。ものすごい暴挙でも、大それたことでも、彼らを怒らせたら、本当にやってしまう」

さて、紹介するムービーはこの本でも取り上げられているケン・ローチ監督のドキュメンタリー"The Spirit of '45"。1945年、戦争が終わり、その年に英国では選挙が行われたのだが、英国の人たちは、特にワーキング・クラスは戦勝国の首相、ウィンストン・チャーチルを選ばなかった。命をかけて戦ったのはおれたちだ、おれたちに分け前をよこせと、保守党は敗退し、チャーチルは失脚した。(けれど、ぼくはウィンストン・チャーチルはなんか好きだけどね。)



英国はもっとも尖鋭な民主主義の国かもしれないよ。




entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

映画も見たのだけれども、東野圭吾さんの「ナミヤ雑貨店の奇蹟」を読了した。映画は映画で良かったし、本は本でとてもおもしろかったよ。こんな謎解きの物語があったんだねぇ。すこしだけ人生とか時間とかの謎も解けたかな? それはぼくにはわからない。けれど、それでもいいのさ。こんど、ナミヤ雑貨店に手紙を書きます。






entry_bottom_w.png
<< 前のページ   HOME   次のページ >>
[32]  [33]  [34]  [35]  [36]  [37]  [38]  [39]  [40]  [41]  [42
plugin_top_w.png
カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
えいちゃんのお奨め

ライブのお知らせ

ぼくのTwitter

plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
最新コメント
[12/23 ロンサム・スー]
[07/27 gmail account]
[08/29 えいちゃん]
[08/29 みさき]
[05/18 えいちゃん]
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
ブログ内検索
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
最新トラックバック
plugin_bottom_w.png
Copyright えいちゃん(さかい きよたか) by えいちゃん All Rights Reserved.
Template by テンプレート@忍者ブログ