えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ



山中恒さんの著した「暮らしの中の太平洋戦争 ―欲シガリマセン勝ツマデハ―」を会社からの帰り道にあるドトールコーヒーで一気読みしました。
初めは苦笑い、その後、悲しくなり、ついには怖くなりました。ネットのニュースとかで朝鮮半島の北の方の国から核爆弾を搭載したミサイルが飛んでくるのに備えて、畑の畦道で頭を抱えてしゃがみこむ、そんな訓練をする画像を見たのです。この本に書かれていることと今も変わらないのではないですか。それから、あの日本の総理大臣はこの本に書かれている時代に本当に戻りたく思っているのでしょうか?
戦争に心を売ったかのような文人や詩人のことも書かれていました。そんな多くの中で永井荷風は沈黙し、谷崎潤一郎は「細雪」を連載していたのです。後にぼくがラジオで聞いたインタビューで、谷崎は、軍部がうるざくて、だけど戦争には加担したくなくて、目くらましに「細雪」は書いたんだよ、と言っておりました。永井荷風は「断腸亭日記」を発表もせずに書き綴っていました。まぁ、ここらへんのことはこの「暮らしの中の太平洋戦争」には出て来ませんけれど、そういう身の処し方もかっこいいと感じられるこのごろですが、戦争反対と声をあげるのも今しかないのかも。全体主義、言論統制、同調圧力、いやだ、いやだと、ぼくの心が声を小さくあげいています。
初めは苦笑い、その後、悲しくなり、ついには怖くなりました。ネットのニュースとかで朝鮮半島の北の方の国から核爆弾を搭載したミサイルが飛んでくるのに備えて、畑の畦道で頭を抱えてしゃがみこむ、そんな訓練をする画像を見たのです。この本に書かれていることと今も変わらないのではないですか。それから、あの日本の総理大臣はこの本に書かれている時代に本当に戻りたく思っているのでしょうか?
戦争に心を売ったかのような文人や詩人のことも書かれていました。そんな多くの中で永井荷風は沈黙し、谷崎潤一郎は「細雪」を連載していたのです。後にぼくがラジオで聞いたインタビューで、谷崎は、軍部がうるざくて、だけど戦争には加担したくなくて、目くらましに「細雪」は書いたんだよ、と言っておりました。永井荷風は「断腸亭日記」を発表もせずに書き綴っていました。まぁ、ここらへんのことはこの「暮らしの中の太平洋戦争」には出て来ませんけれど、そういう身の処し方もかっこいいと感じられるこのごろですが、戦争反対と声をあげるのも今しかないのかも。全体主義、言論統制、同調圧力、いやだ、いやだと、ぼくの心が声を小さくあげいています。


中島京子さんの「ゴースト」を読了した。先の大戦で亡くなった人が幽霊となり現代に現れるという内容の短編小説集。どのお話も、怖くないという、むしろ悲しく、それが心に響きます。ラストの話「ゴースト・ライター」から本の帯にもあった言葉を引用します。
「ゴーストはいっぱいいるのよ。だけど、ゴーストはなんにもできない。誰かに乗り移ったり、怨念をまき散らしたり、そんなことはできない。ただ、横にいて、思い出してもらうのを待っている。あんたのつい隣で、待っているんだよ」
この「ゴースト・ライター」、あぁ、なんと矛盾した、(自分で自分の尻尾を噛んでいる)ウロボロスの蛇のような物語なのだろうと思いつつ、ぼくの胸に深く降りてきた。
ふと、先に逝ってしまった人や動物たちのことも、なんで死んじゃったんだろうなと思うことがぼくにもあるけれど、すべての生きものはいつかは死ぬものだということを忘れてしまって、大概は毎日を生きています。ものも言わず、姿も見ないけれど、そこにいることをぼくは疑いません。


民俗学者の赤坂憲雄さんの本を読んだ時、金子みすゞの詩を引用されていて、それが、なんだかとてもよくて、好きで、よく思い出してしまう。それで彼女の詩集「こだまでしょうか、いいえ、誰でも。 金子みすゞ詩集百選」を読んでみた。
こんな詩を書いて、金子みすゞさんは苦しさを秘めていて、昭和五年に二十六歳で自ら命を断って、亡くなられておられる。ぼくは「大漁」を引用します。この詩を知った時は、あまりの痛切さとやさしさに、重たいもので打たれたように、感動し、何度もいつのまにか諳んじていました。
朝焼小焼だ
大漁だ
大羽鰮(いわし)の
大漁だ。
浜は祭りの
ようだけど
海のなかでは
何萬(まん)の
鰮のとむらい
するだろう。
こんな詩を書いて、金子みすゞさんは苦しさを秘めていて、昭和五年に二十六歳で自ら命を断って、亡くなられておられる。ぼくは「大漁」を引用します。この詩を知った時は、あまりの痛切さとやさしさに、重たいもので打たれたように、感動し、何度もいつのまにか諳んじていました。
朝焼小焼だ
大漁だ
大羽鰮(いわし)の
大漁だ。
浜は祭りの
ようだけど
海のなかでは
何萬(まん)の
鰮のとむらい
するだろう。




神奈川県下の朝日新聞の記者たちが共同で著した「妄信 相模原障碍者殺傷事件」を会社帰りのドトールで一気に読んだ。そうか、今日はその日から一年目の日だったのか。
この本を読んで、1996年まで日本には優生保護法が立法されていた、そんなまがまがしい国でもあるのを知る。被害者が一度も実名で報道されないことに差別が深く日本の社会を蝕んでいることも知る。残忍な加害者を産んだ責任はぼくたちにもあり、ぼくにもあるような気がする。
障害者の子を持つ父親の神戸金史さんが事件の3日後のSNSに投稿した言葉がこの本にも載っていた。長文ですが引用します。
「私は、思うのです。
長男が、もし障害をもっていなければ。
あなたはもっと、普通の生活を送れていたかもしれないと。
私は、考えてしまうのです。
長男が、もし障害をもっていなければ。
私たちはもっと楽に暮らしていけたかもしれないと。
何度も夢を見ました。
「お父さん、朝だよ、起きてよ」
長男が私を揺り起こしに来るのです。
「ほら、障害なんてなかったろ。心配しすぎなんだよ」
夢の中で、私は妻に話しかけます。
そして目が覚めると、いつもの通りの朝なのです。言葉のしゃべれない長男が、騒いでいます。何と言っているのか、私には分かりません。
ああ。またこんな夢を見てしまった。ああ。ごめんね。
幼い次男は、「お兄ちゃんはしゃべれないんだよ」と言います。いずれ「お前の兄ちゃんは馬鹿だ」と言われ、泣くんだろう。想像すると、私は朝食が喉を通らなくなります。
そんな朝を何度も過ごして、突然気が付いたのです。弟よ、お前は人にいじめられるかもしれないが、人をいじめる人にはならないだろう。
生まれた時から、障害のある兄ちゃんがいた。お前の人格は、この兄ちゃんがいた環境で形作られたのだ。お前は優しい、いい男に育つだろう。
それから、私ははたと気付いたのです。あなたが生まれたことで、私たち夫婦は悩み考え、それまでとは違う人生を生きてきた。
親である私たちでさえ、あなたが生まれなかったら、今の私たちではないのだね。
ああ、息子よ。
誰もが、健常で生きることはできない。
誰かが、障害を持って生きていかなければならない。
なぜ、今まで気づかなかったのだろう。
私の周りにだって、生まれる前に息絶えた子が、いたはずだ。生まれた時から重い障害のある子が、いたはずだ。
交通事故に遭って、車いすで暮らす小学生が、雷に遭って、寝たきりになった中学生が、おかしなワクチン注射を受け、普通に暮らせなくなった高校生が、嘱望されていたのに突然の病に倒れた大人が、実は私の周りには、いたはずだ。
私は、運よく生きてきただけだった。それは、誰かが背負ってくれたからだったのだ。
息子よ。君は、弟の代わりに、同級生の代わりに、私の代わりに、障害を持って生まれてきた。
老いて寝たきりになる人は、たくさんいる。事故で、唐突に人生を終わる人もいる。人生の最後は誰も動けなくなる。
誰もが、次第に障害を負いながら生きていくのだね。
息子よ。
あなたが指し示していたのは、私自身のことだった。
息子よ。
そのままで、いい。
それで、うちの子。
それが、うちの子。
あなたが生まれてきてくれてよかった。
私はそう思っている。父より」
神戸さんは神奈川県警が実名を公開しなかったことをとても問題視しているという。神戸さんはの言葉。
「県警は無意識のうちに、『障害者は特別である』というメッセージを発信してしまった。結果的には植松容疑者と同じ心理だ」
むしろ、そういうふうに県警に仕向けているいるのは、善良な一般市民などと呼ばれるぼくたちであり、ぼくではなかろうかと思うと心にいたたまれないいやな灰色が広がるようでもあるのだ。
シベリア抑留でいくにんもの死を見てきた詩人の石原吉郎が大量殺戮について述べた言葉。
「人は死において、ひとりひとりその名を呼ばれなければならないものなのだ」
差別や偏見、優生思想、同調圧力、みんな、いやだな。けれども、それがぼくの生きる社会にはたくさんはびこっている。
すべからくよく見てみれば、あー、みんな、ひとりぼっちのよそものなんだ、そう思うと心が少し安らぐよ。それからだよ、手をつなごう。
この本を読んで、1996年まで日本には優生保護法が立法されていた、そんなまがまがしい国でもあるのを知る。被害者が一度も実名で報道されないことに差別が深く日本の社会を蝕んでいることも知る。残忍な加害者を産んだ責任はぼくたちにもあり、ぼくにもあるような気がする。
障害者の子を持つ父親の神戸金史さんが事件の3日後のSNSに投稿した言葉がこの本にも載っていた。長文ですが引用します。
「私は、思うのです。
長男が、もし障害をもっていなければ。
あなたはもっと、普通の生活を送れていたかもしれないと。
私は、考えてしまうのです。
長男が、もし障害をもっていなければ。
私たちはもっと楽に暮らしていけたかもしれないと。
何度も夢を見ました。
「お父さん、朝だよ、起きてよ」
長男が私を揺り起こしに来るのです。
「ほら、障害なんてなかったろ。心配しすぎなんだよ」
夢の中で、私は妻に話しかけます。
そして目が覚めると、いつもの通りの朝なのです。言葉のしゃべれない長男が、騒いでいます。何と言っているのか、私には分かりません。
ああ。またこんな夢を見てしまった。ああ。ごめんね。
幼い次男は、「お兄ちゃんはしゃべれないんだよ」と言います。いずれ「お前の兄ちゃんは馬鹿だ」と言われ、泣くんだろう。想像すると、私は朝食が喉を通らなくなります。
そんな朝を何度も過ごして、突然気が付いたのです。弟よ、お前は人にいじめられるかもしれないが、人をいじめる人にはならないだろう。
生まれた時から、障害のある兄ちゃんがいた。お前の人格は、この兄ちゃんがいた環境で形作られたのだ。お前は優しい、いい男に育つだろう。
それから、私ははたと気付いたのです。あなたが生まれたことで、私たち夫婦は悩み考え、それまでとは違う人生を生きてきた。
親である私たちでさえ、あなたが生まれなかったら、今の私たちではないのだね。
ああ、息子よ。
誰もが、健常で生きることはできない。
誰かが、障害を持って生きていかなければならない。
なぜ、今まで気づかなかったのだろう。
私の周りにだって、生まれる前に息絶えた子が、いたはずだ。生まれた時から重い障害のある子が、いたはずだ。
交通事故に遭って、車いすで暮らす小学生が、雷に遭って、寝たきりになった中学生が、おかしなワクチン注射を受け、普通に暮らせなくなった高校生が、嘱望されていたのに突然の病に倒れた大人が、実は私の周りには、いたはずだ。
私は、運よく生きてきただけだった。それは、誰かが背負ってくれたからだったのだ。
息子よ。君は、弟の代わりに、同級生の代わりに、私の代わりに、障害を持って生まれてきた。
老いて寝たきりになる人は、たくさんいる。事故で、唐突に人生を終わる人もいる。人生の最後は誰も動けなくなる。
誰もが、次第に障害を負いながら生きていくのだね。
息子よ。
あなたが指し示していたのは、私自身のことだった。
息子よ。
そのままで、いい。
それで、うちの子。
それが、うちの子。
あなたが生まれてきてくれてよかった。
私はそう思っている。父より」
神戸さんは神奈川県警が実名を公開しなかったことをとても問題視しているという。神戸さんはの言葉。
「県警は無意識のうちに、『障害者は特別である』というメッセージを発信してしまった。結果的には植松容疑者と同じ心理だ」
むしろ、そういうふうに県警に仕向けているいるのは、善良な一般市民などと呼ばれるぼくたちであり、ぼくではなかろうかと思うと心にいたたまれないいやな灰色が広がるようでもあるのだ。
シベリア抑留でいくにんもの死を見てきた詩人の石原吉郎が大量殺戮について述べた言葉。
「人は死において、ひとりひとりその名を呼ばれなければならないものなのだ」
差別や偏見、優生思想、同調圧力、みんな、いやだな。けれども、それがぼくの生きる社会にはたくさんはびこっている。
すべからくよく見てみれば、あー、みんな、ひとりぼっちのよそものなんだ、そう思うと心が少し安らぐよ。それからだよ、手をつなごう。


たしか、初めて「星の王子さま」を読んだのが、高校生のころで、何度目の王子さまとの再会となるだろうか? 昔は、もっと単純な小説だと思っていたのだけれど、今、読むと、いろんなことが書いてあるような気がした。
そういえば、昔、NHK教育、いわゆる3チャンネルで「若い広場」という番組があって、その中のいろんな作家が自分の好きな本を何冊か、紹介するというコーナーで、中上健次が紹介したのが「星の王子さま」だった。ぼくは中上健次の小説が大好きだったから、すぐに読んでみたのが最初だったと思う。中上健次はこんなことを言っていました。
「ある意味で非常に恥ずかしいんだけどね…恥ずかしいんだけれど、やっぱり自分の一冊の本ていうとこれ(星の王子さま)を言いたいですね。
想像力を一番解放するジャンルの作品だと思うわけです。非常に透明な部分というのが、子供の心も打つし、大人が深読みもできるというのは、ちょっと稀有な本だと思うんです。
本当の気持ちを伝えたいという欲求がある…、童話はいっぺん書いてみたい。」
中上さん、童話なんか書かなくて、あっさり逝っちゃったな。それから、この番組の中で司会役をつとめていた斎藤友子さん、かわいかったな。
いまでも、ぼくの心の中のどっかに星の王子さまが隠れているみたいで、ふと思い出して、会いたくなってしまうんだ。「星の王子さま」、読んだことのない人にはお薦めです。あなたの世界を変えるかもしれません。
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HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。


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