えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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もう一度、すずに会いたくなり、本を読みました。こうの史代さんの漫画「この世界の片隅に」を読んだのです。

映画の方も大ヒットしています。アニメ映画も漫画とほぼ同じストーリーなのですが、映画では漫画でのりんさんとのあるエピソードは描かれていないのですね。

あっ、そうだ、この映画は反戦の映画ではないというツイッターを見つけて、びくっりしてしまう。反戦だけの映画ではないのなら分かるのだけど、そういう人は例えば「第22回 19年12月」をどう読むのだろう?

高校の修学旅行で広島の原爆資料館を見学したことも思い出した。高校生のぼくはショックを受けていました。

日付順の漫画で描かれた日常の物語を読み進めるうちに、もしかして、多くの日本人にとって平和こそが深く内面化しているのではないかとも思いました。

この漫画は日記のようでもあり、戦争中の人たちと同じ時間を共有しているかのようにも感じられてしまう。そして、ラストでは泣いてしまった。世界は美しい。
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三島由紀夫の「潮騒」を読んだ。何度目の「潮騒」だろうかと思う。三島由紀夫の小説を読み始めると、おもしろくて、止められなくなってしまう。この「潮騒」もほぼ一気に読めてしまった。「潮騒」は問題作ばかりの三島の小説の中で孤立した美しく清楚な絵画のようでもあるようだ。

ぼくは、三島由紀夫の小説ならほぼすべて読んでしまっているのだけど、お薦めはこの「潮騒」以外にも、「豊饒の海」、「近代能楽集」、「午後の曳航」、「英霊の聲」あたりだろか。

「金閣寺」をあげなかったのは水上勉の「金閣炎上」の重さによる。

「潮騒」はたくさん映画化されているけれど、この小説「潮騒」での三島の文章の美しさにはどの映画もかなわないと思う。








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井上享さんの著した「忘れられた島々 「南洋群島」の現代史」を読了した。この本に書かれている南洋群島とはどこだろうか? この本が指し示す南洋群島とはサイパン島、グアム島周辺に広がるマリアナ諸島、パラオ諸島、西カロリン諸島、東カロリン諸島、トラック諸島、マーシャル諸島、ヤレート島の広大な地域を指し、その現代史とはドイツ、日本、アメリカ合衆国の占領の歴史でもあり、そこに、日本人が集団自決したサイパン島の地獄のような悲劇のスーサイドクリフやバンザイクリフが出てくるのだった。

日本が遥かな南の島国にしたことははとても悪かったけれど、驚くべきは、さらに悪いことを第二次世界大戦後のアメリカ合衆国がしたということは、この本の「第六章 水爆の海」に書かれている。

鳥からの視点からも書かれ、虫からの視点からも書かれた南洋のいわゆるミクロネシアの歴史の厳しい現実を知ることのできる良書です。






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柄谷行人さんの著した「憲法の無意識」を読んだ。哲学者イマヌエル・カントと精神分析医ジークムント・フロイトによって日本国憲法の九条を論じるというもの。カントもフロイトもドイツ人なんですね。どうしてだろう?

ちょっと難しい本だけど、「非現実的な」憲法九条について考えてみたい人は読んでみるといいかもしれません。難しくても明解でおもしろかったです。

この本に出てくる「自然の狡知」ってなんだろう? 「自然の隠微な計画」ということらしいのだが。

この本を読みながら、ふと、戦争と敗戦を知っている逝ってしまった多くの日本の文学者、小説家、三島由紀夫、渋澤龍彦、大岡昇平、安岡章太郎、安倍公房、谷崎潤一郎、梅崎春生、椎名麟三、埴生雄高、島尾敏雄、武田泰淳、北杜夫、石川淳、太宰治、そして、坂口安吾らに甦ってもらって、今の日本と日本国憲法を論じてもらいたいなどと思う。想像力、想像力です。

来る11月3日は憲法公布から70年目にあたるそうです。





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日本国憲法が公布されて今年で70年だそうです。1946年11月3日、日本国憲法が公布され、翌1947年5月3日に施行された。あー、そうかと思い小学館から出版されている「日本国憲法」を読んでみました。ティーンエイジャーのころ、社会科の公民か何かの授業で憲法のことが取り上げられ、ぼくは自分の国の憲法の前文をなんてかっこいいのだろうと思いました。今でもこの文をかっこいいと思い、ぼくは大好きなのです。引用します。

「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ」

小学館から出された「日本国憲法」を読んで、議論多き戦争の放棄を謳った九条のみならず、いくつかの条項が、日本の社会の戦後の歩みの中で反故されてきてしまっているのを知りました。今、日本の社会の中でこの日本国憲法を廃棄し新しい憲法を制定した方がよいという政治勢力が多数を占めていて、もしも、ぼくがその人たちと議論しても、21世紀になってもますます暴力のはびこる国際社会に日本もあり、その議論には勝てはしないでしょう。しかしながら、この日本国憲法をなくす時、日本人はすべてを失ってしまうだろうという予感はあります。史実がそうであったとしても、この日本国憲法はアメリカや日本の誰それが作ったものでもなく、むしろ、なにか大切な贈りもののようにしてやってきたのではないかしら?





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明治大学でドイツ文化史や映画について教えておられるらしい瀬川裕司さんの著した「『サウンド・オブ・ミュージック』の秘密」を読んだ。ロバート・ワイズ監督、ジュリー・アンドリュース主演の名作「サウンド・オブ・ミュージック」をことこまかに解き明かした本です。

いろんなシーンがこういう成り立ち方をしているというようなことなどがこれでもかこれでもかと書かれていて、瀬川裕司さんの「サウンド・オブ・ミュージック」への愛を感じてしまった。というぼくもこの映画「サウンド・オブ・ミュージッ」こそ、これまでの長いのだか短いのだかわからない生涯に見た映画の中で不動の一位なのだ。

ちなみに、二位からは、フェデリコ・フェーリーニの「道」、ヴィム・ヴェンダースの「パリ・テキサス」、チャーリー・チャップリンの「独裁者」、小津安二郎の「秋刀魚の味」などがつづくのだけど、二位以下の順位は季節季節で変わったりします。

とまれ、「サウンド・オブ・ミュージック」を初めて見たのが小学生のころで、相模原市の市民会館で優良映画鑑賞会というのが月に一回、当時でも格安の三百円という料金で開催されていたのだ。もう一度大きな画面でこの映画を見てみたいと願いつつ、「『サウンド・オブ・ミュージック』の秘密」のあまりにマニアックなおもしろさに惹きこまれれ、一気の読んでしまったのでした。なんとこの映画にはモデルとなった家族すらあったのですね。知りませんでした。

それから、ぼくがロックとかの外国の音楽に魅かれていったその原点がもしかして「サウンド・オブ・ミュージック」というミュージカル映画にあったのかもしれません。









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前谷彰さんの訳・解説の「ブッダの教え ~真訳・スッタニパータ~」を読了した。

やはり、これとは別の本「ブッダのことば スッタニパータ」の中村元先生の訳がいかに格調高く、すばらしいものだったかを、今さらながらも思いおこしてしまう。さらに平易な口語訳である「ブッダの教え ~真訳・スッタニパータ~」のそのわかりやすさから、解説はながめる程度として、経典の原文の訳をそのまま読み、何かを感じるのがよいのではなかろうか、などとも思ってしまった。

「スッタニパータ」で説かれている「犀の一角の経」はとくに大好きで、その中で「犀の一角のように、たったひとりで歩みなさい」と何度も謳われるのだけど、ぼくは悟りから永遠かとも思われる距離でへだたっているらしいことを感じもする。中村元さんはこれを「犀の角のようにただ独り歩め」と訳していて、その言葉はぼくを何度も惹きつけるのだけれど、誰かとある時、手をつなぐことも素敵なことだということも確かなことではないかしら。きっと、すべてを手放さなくてはならない時も、いつかはやってくるのです。

ここにあると思えば、ここにはなく、ここにはないと思ったなら、ここにある、とあの人は教えてくれていると思うから。





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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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