えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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趙景達(チョキョンダル)さんの著した「植民地朝鮮と日本」を読んだ。

自虐史観などと呼ぶことなかれ。過去の加害の歴史を考え、反省し、明日につなげていくことのどこが悪い?

35年間の朝鮮民族の悲劇の中で、最も悲惨だと思ったのは、盧溝橋事件の後、中国との本格的な戦争となり、朝鮮社会の上層部にいた知識人、文化人、地主、資本家らが民族主義、社会主義を問わず、次々と転向していき、下層民の困窮と苦悩は激しくなったこと。けれど、下層の人こそは面従腹背の抵抗をしつづける。1945年8月15日のつかの間の陽光さす喜びもつかの間、同じ民族同士の戦争が始まってしまう。

日本ではどうだろう? 永井荷風や谷崎潤一郎、埴谷雄高のような人もいることはいたけれど、日本の小説家などの知識人の多くが同じように戦争協力を扇動し、戦後、多くの人が口をつぐんだ。

植民地主義とは何だろう? 「植民地朝鮮と日本」から引用します。

「植民地化の後遺症は深刻である。植民地主義の本質とは、何よりも「近代化」の美名のもとに多様になされる収奪・差別・抑圧と、それを担保する暴力の体系性にこそある。暴力の度合いが強ければ強いほどその傷跡も深い」

その傷は被害を受けたものほど深くはないけれど、加害したものにも歪んだ痕を残し、今、世界に嫌な言葉にあふれているような気がして、ぼく一人であっても真摯の過去と今に向き合いたいと思うのです。







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大林宣彦さんの著した「戦争などいらない‐未来を紡ぐ映画を」を一気読みしてしまった。

大林さんは自身の名刺で「映画監督」ではなく、その肩書として「映画作家」と名のっているそうだけれど、ぼくはそんな大林さんの紡いだ映画が大好きなのです。今でも映画を撮り続けていて、近年の「反戦三部作」とも呼ばれ、大林さん自身は「古里映画」と呼んでいる「この空の花-長岡花火物語」、「野のなななのか」、「花筐/HANAGATAMI」、どれも素晴らしかった。大林組の映画って、わけがわからないんだけど、おもしろくて、感動してしまう。「古里映画」というのは「この空の中-長岡花火物語」が新潟の長岡、「野のなななのか」は北海道の芦別、「花筐/HANAGATAMI」が佐賀の唐津を舞台にしていて、去年撮り終えて、今年の夏に公開が決まっているらしい「海辺の映画館-キネマの玉手箱」はついに大林さん自身の古里、広島の尾道を舞台にした「古里映画」だそう。とても楽しみです。

ところで、この本で知ったのだけれど、あの世界的な巨匠、黒澤明とは、もちろん大林さん自身も世界の巨匠だけれども、黒澤監督の映画「夢」のころから親しくしていらして、黒澤さんからこんなことを話されていたということも「戦争などいらない-未来を紡ぐ映画を」に書かれていた。

「映画には必ず世界を救う力と美しさがある。でも、それを実現するには四百年はかかる。俺はもう八十歳で、人生が足りない。君が五十歳なら、俺よりもう少し先に行けるだろう。君が無理だったら、君の子どもたちの世代、さらにそれがダメだったら孫たちの世代が、少しずつ俺の先の映画をつくってほしい。そして、俺の四百年先の映画をつくってくれたら、そのときにはきっと映画の力で世界から戦争がなくなっている」

「夢」のラストシーンを思い出し、映画はポップ・ミュージックと同じなんだとも思う。

大林宣彦さんのいう「奇想天外の映画マジック」、「ウソから出たマコト」の奥にある人生の真実が少しだけ「戦争などいらない-未来を紡ぐ映画を」では明かされているようなのです。










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矢部宏治さんが文を著し、須田慎太郎さんの写真の本「戦争をしない国 明仁天皇のメッセージ」を一気読みしました。近ごろでは左どころか右と呼ばれる人たちにも敵視されているようにぼくが思える平成の天皇の言葉による日本が表わされているようなのです。

こんな本を読んだからには、ぼくもいっぱしの右翼とかウヨクかなと思うとそうでもないらしいけれども、国旗とか国歌とか何か好きではない、そのような人でも日本が好きな人がいたらどうでしょうかと明仁天皇と美智子皇后に畏れおおくも問いかければ、そのような人がいてもいいのではないかしらお答えになってくれそうなお二人は、いまや民主主義と平和の守護者のようではないかしら。

天皇陛下が沖縄を訪れた際に詠まれた琉歌は、今、沖縄戦の最激戦地に建てられた住民、軍人、日本人、アメリカ人の区別なく身元不明者遺骨を収めた「魂魄の塔」に刻まれているそうです。

花よおしやげゆん
人 知らぬ魂
戦 ないらぬ世よ
肝に願て

陛下とともに日本がいつまでも戦争をしない国であることを願ってやみません。






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ケネス・ルオフ先生によるハーバード大学での天皇制についての講義が新書になり、それを読みました。「天皇と日本人 ハーバード大学講義でみる「平成」と改元」です。おもしろくて一気読みしてしまった。ほとんどが平成の明仁天皇と美智子皇后について書かれている。アメリカの日本現代史の研究者は明仁天皇と美智子皇后の目標と象徴性は五つのことに特徴づけられるといっています。

(1)戦後憲法固有のさまざまな価値を含め、戦後体制を明確に指示してきたこと。
(2)社会の弱者に配慮し、地理的その他の要因により周辺でくらす人びとに手を差し伸べ、社会の周縁との距離を縮めるよう努力してきたこと。
(3)戦争の傷跡と、さらに全般的に帝国の時代がもたらした深い傷跡をいやし、戦後を終結させようと努力してきたこと。
(4)日本が示すぺき誇りを堂々と提示してきたこと。ただし、その誇りは、日本史の見方を含め、単純きわまるナショナリズムとは異なる国際協調主義に裏づけられたものであったこと。
(5)美智子皇后が際立った行動を示し、重要な役割を果たしてきたこと。

お二人を尊敬いたします。具体的な論証は本書をお読みください。すべてとはいいませんが、サヨクにもウヨクにも敵視されているようなところがある。苦しい立場ながら、明仁天皇と美智子皇后は伝統から立ちのぼってきた平和と民主主義の守護者のようではなかろうか。




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サラ・ロイさんの著した「ホロコーストからガザへ パレスチナの政治経済学」を読みました。父と母がナチスのホロコーストの生き残りであるアメリカ在住のユダヤ人の政治経済学者がイスラエルのパレスチナ人への暴力に理路整然と激しく抗議している。それは何か今の日本の状況ともどこか通底していることのように思われるのです。第二次世界大戦の後のナチス無き後も根強くユダヤ人差別のあるポーランドで彼女の母はアメリカに行くことを決め、彼女の叔母はイスラエルに行くことを決めたのだけれども、その時の母の言葉が彼女の正義を目覚めさせ、彼女の人生にあることが貫かれる。今の時代にあまりに切実にも響くその言葉をこの「ホロコーストからガザへ パレスチナの政治経済学」から引用します。

「イスラエルでは暮らさないという母の決断は、戦時中の体験から母が学びとった強い信念に基づいていました。それは人間が自分と同類の者たちのあいだでしか生きないならば、寛容と共感と正義は実践されることもなければ、広がりを見せることもないという信念です。母は言いました。「ユダヤ人しかいない世界でユダヤ人として生きることなど、私にはできませんでした。そんなことは不可能だし、そもそも望んでもいませんでした。私は、多元的な社会でユダヤ人として生きたかった。ユダヤ人も自分にとって大切であるけれども、ほかの人たちも自分にとって大切である、そのような社会で生きたかったのです。」」

この本は、ユダヤ・パレスチナ問題を超えて、21世紀を生きていくぼくたちにもっとも大切な課題を問うているようにも思いました。






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友川カズキのインタビューが読みたくて、週刊金曜日を買ってしまいました。題して「自他に抗う―表現者のハシくれとして」。やっぱ友川カズキさんの話は面白くて、ぼくは全面的に共感してしまうなどというと、友川さんからおまえは自分ってのがあるのかよとお叱りを受けそうだ。何せ、高校生のころから、友川さんはぼくがどこか、忘れずに追いつづけてきた人なのです。友川さんのこのインタビューについての言葉。

「さすが週刊金曜日だけあって、ほかの雑誌ではカットされそうな政治的なことも全部載せてくれたのよ。飲みながらインタビューを受けたら、ついベラベラしゃべりすぎて3軒もハシゴしちゃったな」

そして、インタビューから。

「手拍子も昔からダメなんだ。なんでみんなで一緒に手をたたかなきゃならないんだよよ。群れたがるんだね。俺は一人ひとりに向かって歌ってるんだよ、聴く方も「ひとりで」で聴いてほしいんだよ。ライブは群れる場所じゃなくて、個人になれる場所だと思っているから」

かっこいいなぁ。あとは、四段組み六頁、買って読んでみてください。







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「新版 きけ わだつみのこえ 日本戦没学生の手記」を読む。ほんとうに先の戦争で多くの若い人の命が赤紙と呼ばれた召集令状一枚で奪われたのを実感した。没年18歳から33歳まで。これらの残された手紙や日記にぼくは言葉も出ず、ただ戦争だけは起こしてはならないと思う。







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えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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