えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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三上智恵さんの著した「証言 沖縄スパイ戦史」を読了しました。こんな新書版の本を見たことがないというような749頁にものぼる大著です。

この前の戦争での住民を巻き込んだ沖縄戦の証言と論考でした。人生も終盤となり、やっと苦しくも解き放たれたたくさんの生々しく惨たらしい証言をは読み進めるのがつらくなることもしばしばありました。論考は住民を殺害した日本の兵士を告発すれど、糾弾することもなく、戦争のもたらす狂気の地獄ような何かのその構造を手探りでかきたぐろうとしつつ、被害者にも、加害者にも、一人ひとりの心に深く重しを下して見つめるかのようなのです。そして、それは負の歴史から目をそらしてはいけない、そこからしか未来はないと、今を生きるぼくたちを咤激励しているかのようでもあるのです。

ぼくは「おわりにかえて」に書かれているこの言葉を引きつつ、戦争について考えようとするならば、あの大戦の後、永遠に戦後を生きたほうがいい、戦争を忘れないほうがいい戦争を知らない子どもたち、孫たちに、この本を、決して外せない一冊として紹介したいと思うのです。

 私は今日も自宅の窓から、恩納岳や八重岳を眺めながら、亜熱帯の森の一部になった彼らの声を聞く。
「戦争を知ってください。そこからちゃんと、強い未来をつかみ取ってください。
 まだまだですよ、たくさんの教訓がまだここに眠っていますよ」





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三島由紀夫の「午後の曳航」を新潮文庫で読んだ。何度目かの再読です。

高校生のころ読んで感じた、日常の中にある禁忌があばかれ見てしまうような、ある種の幻惑されるようなものは、年をとったぼくは感じなくなっていた。けれども、おもしろい。

この小説は、これを書いた数年後に割腹して自殺する三島由紀夫自身を予言しているかのようだ。とすれば、あれは、「自決」というより「自裁」という言葉が似つかわしい、などと考えていたら、ぼくの心はなぜか巨大な塊となったような虚無にとらわれ、泣きたいような悲しみが押し寄せてきた。





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この前、内田樹さんの著した「街場の戦争論」を読んだ。内田さんの本はたくさん読んだけれど、この本で初めてなるほど内田さんって右翼なんだと思ったよ。この本では玄洋社の頭山満の名前まで出てきて共感を隠さない。吉本隆明ではなく江藤淳に惹かれて、日本の自立を説いて、アメリカからの自由を夢見ている。

おいらも最近は右翼なんだ。本当かい? 本当さ。日本のいろんな文化や生活が好きよ。けれど、憲法九条とか憲法前文が好きで、国歌は歌わず、国旗は掲揚しない。どんな集団でも、集団とかってどっか好きになれないものがあるよ。そして、遅れてやってきた駆け出しの武道家でもあるんだぜ。こんな愛国者がいてもいいじゃんか。内田さんも言っているけれど、自分らしさってやつのの向こうにあるらしい複雑さや矛盾を進んで受け入れることも大人になるってことらしいよ。なんか、おいら、内田樹さんに近づいていっとるわ。






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山崎洋子さんの著した「女たちのアンダーグラウンド 戦後横浜の光と闇」を読了しました。「天使はブルースを歌う 横浜アウトサイド・ストーリー」の二十年後の続編です。「天使はブルースを歌う」では横浜を彷徨い歩いているうちに見つかったあるもの、歌われることのなかった歌をブルースに託したというような印象だとすれば、この「女たちのアンダーグラウンド」では、それを垂直の方向に、多少曲がりくねっても深いところに降りていくようであった。何か、横浜が魅力的に感じたなら、その深いところに降りて行ってもいいと思う。町や街は記録とともに記憶でもあるとぼくは思うのです。横浜よ、忘れないでくださいと、ぼくは空と地から声を聞いたような気がするのです。







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山崎洋子さんの著した名著「天使はブルースを歌う―横浜アウトサイド・ストーリー」が去年、二十年ぶりに復刊されて、再読した。横浜の過去、光がまぶしければ、闇もまた濃い、というようなドキュメンタリー。この本が1999年に出版された時、この本に登場する最も重要な一人であるゴールデンカップスにキャリアを始めたギタリスト、エディー藩はこう言ったとこの本の「二十年目―新版のためのあとがき」に書かれていた。

「山崎さん、続編を書かなきゃ駄目だよ」

あれから時が流れ、横浜が何も変わっていないことに、あることがきっかけで気が付いて、山崎洋子さんが続編を書き始めたのは二〇一五年。今、横浜は、巨大ギャンブル場、カジノの誘致で揺れているようにも見える。今の金だけの世の中かい? 横浜のことは横浜に住む人が決めればいいとぼくは思いながら、横浜をこよなく愛したぼくの大好きな音楽評論家、平岡正明が生きていたら、きっとカジノ誘致には大反対しただろう、とも思う。そして、今、ぼくは「天使はブルースを歌う」の続編「女たちのアンダーグラウンド―戦後横浜の闇と光」を読み始めたところです。









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『「この世界の片隅に」こうの史代 片淵須直 対談集 さらにいくつもの映画のこと』がおもしろくて一気読みしてしまった。二年間のロングランをしたアニメーション映画「この世界の片隅に」と今、公開され始めたばかりの「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」の監督、片淵須直さんと原作者、こうの史代さんの対談集なのです。いろんな創作や制作の秘密、ネタ晴らしがあるのので、どうかくれぐれも映画を見てから、この本を手に取ってみてください。そして、ですね、困ったことにこの本を読むと、再び、映画の「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」を見たくなってしまうではないですか!








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圀府寺司さんの著した「ファン・ゴッホ 日本の夢に懸けた画家」を読む。小林秀雄の「ゴッホの手紙」を再読したことをこの前に書いたけれど、「ゴッホの手紙」は青春の時に読むといいような近代に成立した文学というような気がして、「ファン・ゴッホ 日本の夢に懸けた画家」の方が本当のゴッホに会えたような気もしました。ゴッホって、精神の病気やらその早すぎた死やらの前に、やっかいで困った人であるとともに、人を惹き付けてやまない特別な何かを持っていた人だったのではないかしら? たくさんのゴッホの絵のカラーの口絵も載っている素敵な本でごさいます。







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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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