えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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画文集『松本竣介 線と言葉』を読みました。この本を読み、掲載されている絵を見て、ぼくは松本竣介という夭折した稀有な画家のことを少しは分かったような気がするのです。しかも、ぼくは、これからの暗雲漂う日本をどう生きていくのかのヒントと貴重な何かを、この戦争に背を向けた若い画家から少しだけもらったような気もするのだった。ただ、もうぼくは、松本竣介に倣って、ひとりぼっちの孤独となっても、世界を見つめることだけはやめまい。それは荒んだ暗い世界への一つだけの残された石礫かもしれないではないか? 松本竣介の絵と言葉は、ぼくの心に無数の突き刺さる何かがあるようなのです。
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赤坂の草月ホールで「チャボロ・シュミット来日公演2025」を見ました。草月ホールというと、日本の前衛芸術を牽引した「草月アートセンター」の活動の拠点ともなったところではないか。どんなところだろうと少しわくわく。あまり大きくはない普通のホールでした。壁面陶板や待ち合わせのホールのシャンデリアがなんだか前衛的でもあります。

チャボロ・シュミットさんははジャンゴ・ラインハルトのフランスのジプシー・スウィングを正統的に受け継ぐレジェンド・ギタリスト。そうか、ジプシー・スウィングのギターはちょっと変なクラシック・ギターらしき意匠でありながら、鉄弦なのか。チャボロ・シュミットさんのギターが、ものすごくいい音で、ぼくは、これは弦高がとても高かったり、とても太い弦を張っているのか、と想像してしまう。その繊細かつ大胆で力強いチャボロ・シュミットさんのギターにぼくの目と耳はくぎづけになってしまいます。バックはフランスから来たアコースティック・ベースのアンソニー・ムッチオさんと、ギターのジュリアン・カティオさん。ジュリアン・カティオさん、ストロークのリズム・ギターに徹していて、あんたはえらい。

ゲストに日本からの二人の歌姫、白崎映美さんと畠山美由紀さん。白崎映美さんのバックでチェロを弾いていた坂本弘道さんはパスカルズの人ではないか。世間は狭いのう。白崎映美さんが山形弁でエディット・ピアフの歌を歌っていて、面白い。しかもチャボロ・シュミットさんのユニットのバック付き。畠山美由紀さんのバックは高木大丈夫さんのギター。ギターの音色に素敵なブラジル音楽が入っています。大団円はウクライナ由来のロシアのジプシー歌謡の「黒い瞳」の日本語歌唱を七人で、演奏してくれました。楽しい夕べはふけていきます。
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今年の夏はすこぶる暑い。近ごろ、ぼくの詠んだ夏の俳句です。どうでしょう?

 湧く雲にアイスクリーム溶けかかり

 生垣にブーゲンビリア咲き誇り

 橋の下ちび山女魚らの幼稚園

 霊園に散っては咲けよ百日紅

 眠れぬかやまぬ戦禍に広島忌
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VODで小津安二郎監督の『麦秋』を見ました。1951年の映画で、小津安二郎の「紀子三部作」と呼ばれる、原節子の演ずる紀子がお嫁に行くという筋の二番目の映画です。

小津安二郎という映画監督は、よくもこれだけ、ストーリーも似ている、セリフも似ている、出演する俳優も同じような映画を何本も撮ったものだ。しかも、それが微妙に違った味わいのおいしさなのです。豆腐しか作らない豆腐屋の小津の真骨頂だろうか?

「大和はまほろばじゃ」というセリフがありながら、日常の繰り返しのなか、映画の中の日本の家族は音もたてずに崩壊していく。ちなみに「まほろば」とは「楽園」の意味。ところどころに戦争の傷跡。紀子は嫁ぐが、ラストでは奈良(大和)の麦畑をしずしずと歩いていく紀子ではない文金高島田の花嫁の姿。お見事です。
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ギャレス・エドワーズ監督の『ジュラシック・ワールド 復活の大地』を見ました。前回でおしまいだと喧伝されていた「ジュラシック」シリーズが復活です。

今回は「ジュラシック・パーク」だか「ジュラシック・ワールド」だかの動物園ならぬ恐竜園が崩壊し、生き延びた恐竜は赤道直下の海とか陸に集まって生息し、そこは立ち入り禁止になっているという設定。そこでは人為的な遺伝子操作によって作られた恐竜も生息していて、心臓病の治療に劇的に役立つという、海の恐竜、陸の恐竜、空の恐竜のDNAを持つ血液を求めて、三人が危険な旅に出る。一人は食いつぶした女傭兵、一人は薬学の学者、一人は恐竜オタク。女傭兵役のスカーレット・ヨハンセンがかっこいい。そこに南海の寂れたリゾートを経営する男とその部下も船員として加わる。船員のボスを演じているのはマハーシャラ・アリで、『グリーン・ブック』で主役のピアニスト役を演じた人ではないか。正義漢のこの船員が『ジュラシック・ワールド 復活の大地』でも大活躍で、かっこいい。そこに、たまたま恐竜に会ってしまい遭難してしまい、助けられた四人の家族とその家族の娘の恋人の五人が加わるのです。その家族の小さなの女の子になつく小さな恐竜は『風の谷のナウシカ』のキツネリスの「テト」みたいだ。さて行く末はいかに? 続きは映画をご覧ください。

最近のアメリカの映画はこんな大仰なスペクタクルなのばっかりだな、などと思いながら、ハラハラドキドキしてしまい、とても面白かったのです。

祝、復活「ジュラシック」シリーズですな。

映画『ジュラシック・ワールド/復活の大地』公式サイト
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平一紘監督の『木の上の軍隊』を見ました。

この映画の基は井上ひさしさんの戯曲。同じく井上ひさしさんの戯曲を基にした黒木和雄監督の『父と暮せば』が父を演じた原田芳雄さん、娘を演じた宮沢りえさんで、とてもいい映画だったことを記憶しています。

『木の上の軍隊』は、事実を基にした物語ということで、沖縄の小さな島を舞台にした銃撃戦と白兵戦の長いプロローグから始まります。全滅した日本の部隊に二人、上官と初年兵のみ生き残り、ジャングルの木の上に身を隠し、援軍の来るのを待つちますが、いつまでたっても、援軍は来ず、終戦を知らずに二人の孤絶した戦争が続いていきます。褐色と灰色、渋い緑の色落ちしたような背景もあいまって、全編、とてもリアルです。

上官を堤真一さんが演じていて、初年兵を山田裕貴さんが演じています。二人とも素晴らしい熱演。軍国主義に心を狂わされたヤマトンチュの上官とぎりぎりの一戦で正気を保っているウチナンチュの初年兵の行く末は映画をご覧ください。

こんなことも思い出しました。日本軍には「戦陣訓」というものがあって、「生きて虜囚の辱を受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ」という有名な一節があります。それは、失われなくてもよかった命を奪った、愚劣なもののようにも思えるのです。

沖縄戦によって県民の四人に一人が命を亡くしました。事実であった歴史を改竄することは許されない。戦争は二度と行なってはならないのです。

映画『木の上の軍隊』公式サイト
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VODで木下恵介監督の『カルメン故郷に帰る』を見る。1951年の映画です。

都会でストリッパーとなったリリイ・カリメンことおきんが生まれ浅間山麓の故郷の北軽井沢の田舎に帰ってきて、騒動を起こすというお話。おきんを高峰秀子が演じているのだが、おきんは大きな木の下で牛に蹴られて、頭が悪くなったという設定は、今の時代、ポリコレとかコンプライアンスとかでアウトかもしれない、などとふと思う。近年、舞台で藤原紀香主演で再演されていて、そんなことないか。コンプライアンスでアウトとなると、落語の与太郎ものなどは、全部、アウトだもんな。

映画を見ながら、演技派の高峰秀子は踊りも歌も超一級なのに驚く。さらに驚くべきは、この映画は日本で初めての総天然色映画なのだ。別荘という文化の入る前の北軽井沢の景色が美しい。こんなにのんびりしたいいところだったんだ、と驚いてしまう。とても楽しい映画でした。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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