えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

entry_top_w.png

町田市立国際版画美術館で「横尾忠則 HANGA JUNGLE」展を見た。横尾忠則の版画作品の大回顧展なのです。多種多様に時代時代でさまざまに変転しながらも、とてもイマジネイティブで、やはり横尾さんは天才であった。

感じるのは死と生のコントラストであったり、廃墟と楽園であったり、豊かに含まれる相反的、分裂的な何か。エロスとタナトス。

この前、国立新美術館で「ミュシャ展」を見たのだけど、横尾忠則も出発点はポスターであったのか。横尾さんはビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のジャケットをもっとも影響を受けたグラフィックとして称揚していたけれど、彼のポスターの方がもっと早いではないか。きっと、1960年代に江戸の浮世絵も伝承する世界でもっとも先端のサイケデリックとして、横尾忠則さんのデザインしたポスターこそが、三島由紀夫から唐十郎までを触発し、挑発した日本のカウンター・カルチャーの震源地であったのだろう。そういえば、この展覧会には展示されていなかったけれど、1970年代では、サンタナの「ロータスの伝説」やマイルス・でデイヴィスの「アガルタの凱旋」のレコードジャケットも横尾さんの作品だったのを思い出した。

数人の大学生風の女子が見に来ていて、かっこいい、かっこいいを連発していた。もしかして近くの女子美術大学の画学生さんの集団だろうか。もう半世紀前の作品もそこには含まれていて、けれども、確かに、今でもかっこいんだよね。町田市立国際版画美術館は近いし、散歩がてら、もう一回は見に来たいと思った。

横尾忠則 HANGA JUNGLE
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

国立新美術館でミュシャ展を見た。展示室に入るなり鳥肌が立った。大きくて美しい絵がそこにあったから。

19世紀末、広告の時代の始まり、来る大量生産と大量消費の時代の予感を感じさせるそんな時代に、花の都パリでは、芸術家たちがその磁力に引き寄せられたかのように集まり、オーブリー・ビアズリー、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、アルフォンス・ミュシャの三人がそれぜれに描いたポスターが街頭には貼られていたはず。ビアズリーとロートレックの二人は19世紀の終わりとともにこの世を去り、20世紀にミュシャの一人だけが残された。

20世紀は国の独立と戦争の時代であった。ミュシャは20世紀のいよいよ始まった1910年に故郷のチェコに帰り、この「スラブ叙事詩」と題された20点の大きくて美しい連作の絵画を描きつづける。1918年は、オーストリア帝国が崩壊し、チェコスロバキア共和国が成立し、新国家のために紙幣や切手、国章などのデザインを無報酬で行った。そして、つかのまの春の時であったかのように、1939年3月、ナチスドイツによってチェコスロヴァキア共和国は解体され、ミュシャはドイツ帝国に抗う退廃芸術家として尋問され、どのような尋問かは記録に残されていなく、それは拷問でもあったのかもしれない。ミュシャは体調を崩し、釈放され、その4ヶ月後の1939年の7月に逝ってしまう。しかし、「スラブ叙事詩」の20枚がナチスに焼かれなくてよかった。

第二次世界大戦の終わりとともにチェコは解放され、祖国は再び独立する。時の共産党政権は、ミュシャの愛国心との結びつきを警戒し、黙殺しつづけた。それでも、チェコの人びとの間にミュシャへの敬愛は残り、プラハの春の翌年の1969年にミュシャの絵画切手が数種発行されている。

鈴木邦夫さんのような人はこの「スラブ叙事詩」をどう見るのだろうか? 鈴木邦夫さんの敬愛する三島由紀夫はその死の前年にこのようなことを書いている。

「実は私は「愛国心」といふ言葉があまり好きではない。何となく「愛妻家」といふ言葉に似た、背中のゾッとするやうな感じをおぼえる。

 この言葉には官製のにほひがする。また、言葉としての由緒ややさしさがない。どことなく押しつけがましい。反感を買ふのももつともだと思はれるものが、その底に揺曳してゐる」

おっと、脱線しすぎたようです。美術館のミュシャの略歴のところのには、たしか「スラブ叙事詩」が発表された時の解説として「スラブ民族の倫理的な発展」とあったと思う。

チェコの門外不出の芸術「スラブ叙事詩」を、もしも時間がありますならば、無心でご覧ください。国立新美術館では草間彌生展も同時開催されております。

ミュシャ展
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

藤沢アートスペースというところで「縁(ゆかり)、自然そして草間彌生」とタイトルされた展覧会を見た。なんでも、藤沢市と松本市は姉妹都市の関係を結んでいて、松本市から借り受けて展示する二週間なのだそう。信州というところは、その日本アルプスを代表する山々の自然の美しさに魅せられて、たくさんの絵描きが移り住んだところでもあるらしいのです。そして、松本市というとあの草間彌生の生まれたところでもあり、松本市美術館はその膨大なコレクションでも有名。小さなコーナーでゆっくり見る草間彌生さんの美術作品も大きな美術館で見るのと違って感じられて、とてもよかったのです。

縁(ゆかり)、自然そして草間彌生|藤沢市アートスペース
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png
国立新美術館に「草間彌生展「わが永遠の魂」」を見に行った。

草間彌生さんの展覧会があると必ず行ってしまうのだけど、昔、竹橋の国立近代美術館で初めて見た草間彌生さんの絵、インスタレーション、彫刻などのアート作品は驚きと鮮烈であった。その国立近代美樹幹の草間彌生展で1960年代の彼女の所謂「ハプニング」と呼ばれる芸主活動の記録フィルムが映されていた。若い彼女は全裸に水玉のペインティングをほどこし、ニューヨークの郊外を、ヒッピーたちにとりかこまれて笑いながら走っていた。美しくてかっこいいとぼくは思いモノクロのフィルムの中の彼女に恋をしてしまったのかもしれません。

国立新美術館でちかごろの草間彌生さんの何枚もの大きな絵を見て、ぼくは、ムンクの生涯のラストに描いた一等明るい日が昇る絵を思い浮かべてしまう。今の草間彌生さんの絵は、魂が自由に遊んでいて、ついにここまで来たという感慨すらもおぼえてしまう。

Princess of Polka Dots, Love Forever.

草間彌生展「わが永遠の魂」国立新美術館
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

もし、見に行かなかったら、後から後悔してしまうような気がして、新国立美術館に「ダリ展」を見に行った。

サルバドール・ダリって、多作に人だったんだなと感心しつつ、いかにもダリらしい精密な画法によるシュールレアリスム以外の絵も多数、展示されているのもよかった。

日曜の朝、開館前に美術館に着いたのだけど、それでも大変な混雑で先に進めず、一点一点をゆっくり見て、展示場を出るころには心地よい疲労感に包まれた。

展示されている年表を見ると、ダリは台頭するナチスに共感するような発言したとされ、祖国スペインでは賛否両論、あいまじわる画家でもあるらしいことを聞いたことがある。けれども、パブロ・ピカソを師と仰ぎ、あの偉大な映画監督、ルイス・ブニュエルと友だちだったんだぜ。あの変な髭は趣味じゃないけれど、かっこいなぁ。しかも、あの異様な絵は、当のナチスからは退廃芸術と烙印を押されるだろう。上等じゃないか。

20世紀になってやっと初めての登場した芸術家のポップ・スターは永遠の謎の問いかけでもあるみたいだ。

ダリ展 | 国立新美術館 | 京都市美術館
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png


ずっと運転していないと、いざという時にバッテリーあがりか何かでエンジンがかからなくなっていると困るので、三ヶ月ぶりに車の運転をした。車ってめったに運転しなくなってしまったけれど、車の運転は好きだし、いまだにマニュアル車なのだ。

それで、ドライブがてらに横須賀美術館に行き、「風と水の彫刻家 新宮晋の宇宙船」展を見た。風や水を感じて動くオブジェを見て、静かな楽しい気持ちになった。なぜだろう。この世界に動いていないものは何もない。

そして、この美術館に併設されている谷内六郎館も好きなのです。季節ごとに展示替えをしている。週間新潮の表紙を飾っていたあの人です。たくさん絵葉書を買ってしまった。布団の中で眺めて、眠ってしまえば、いい夢、見れそう。

ここには年に一回ぐらいは来てしまう。

横須賀美術館

風と水の彫刻家 新宮晋の宇宙船

谷内六郎〈週刊新潮 表紙絵〉展「おしゃれな、あの子」
entry_bottom_w.png
entry_top_w.png

東京藝術大学美術館にロバート・フランク展"Robert Frank: Books and FIlms, 1947-2016"を見に行った。

ロバート・フランクといえばローリング・ストーンズのアルバム「メイン・ストリートのならず者」のジャケットでティーン・エイジャーのころ知り、いつか展覧会で見てみたいと思っていたのです。

今回の東京藝大での展覧会ではすべてが新聞紙に印刷され、学生たちと共同で企画されているという、いかにもアウトロウ、ロバート・フランクらしきもの。大正時代の古い二階建ての倉庫のようなところにところせましと展示されていた。

なんか、もう、かっこいいんです。図録とかタブロイド判の新聞に印刷されているしさ。入場料はただだし。

ロバート・フランクが1950年代の早い時代からからこのような写真を撮っていたことに驚く。そして、そのころ、ジャック・ケラワックや二―ル・キャサデーら、ビートニクスらとダチだったんだぜ。まさしくイノベーターだ。そして、いまだに孤高の存在でもあるような気もするのです。

かっこいいものにはあこがれてしまいますよ。孤高というところにもあこがれてしまいますよ。ぼくはかっこよくもなく、孤高にもなりきれないのだけど。

ロバート・フランクはたくさんのビデオ・フィルムも撮っているのでだけど、展覧会でこんなかっこいい言葉も壁に殴り書きされていたのです。

「僕が撮ってきた映画は
僕の旅の地図だ
旅って人生の旅のことだよ
このスクリーンのちらついている
生と死の影を君に見てほしい

           ロバート」

ロバート・フランク & シュタイデル展 | Robert Frank: Books and ...
entry_bottom_w.png
<< 前のページ   HOME   次のページ >>
[14]  [15]  [16]  [17]  [18]  [19]  [20]  [21]  [22]  [23]  [24
plugin_top_w.png
カレンダー
09 2025/10 11
S M T W T F S
6 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
えいちゃんのお奨め

ライブのお知らせ

ぼくのTwitter

plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
最新コメント
[05/19 Pg Soft]
[05/04 ペコ]
[12/23 ロンサム・スー]
[07/27 gmail account]
[08/29 えいちゃん]
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
ブログ内検索
plugin_bottom_w.png
plugin_top_w.png
最新トラックバック
plugin_bottom_w.png
Copyright えいちゃん(さかい きよたか) by えいちゃん All Rights Reserved.
Template by テンプレート@忍者ブログ