えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ



最近は車を滅多に動かさない。それで、乗ろうとするとバッテリーが上がっていて、エンジンがかからないということが二度もあった。一カ月に一回は車を動かした方がいいのかもと思い、月に一回は車でちょっとだけの遠出をする。以前から行ってみたいと思っていた原爆の図丸木美術館にドライブした。
丸木位里さん、丸木俊さんの共同制作の「原爆の図」が展示されている埼玉の北の方の個人美術館です。静かな川のほとりの美術館は今は亡きご夫妻の自宅兼アトリエを改造した小さな美術館であった。
「原爆の図」を見ながら、ピカソの「ゲルニカ」を連想もした。あのピカソの「ゲルニカ」は、ピカソ自身が制作の指揮にあたったその精密に復元したタペストリーがニューヨークの国際連合本部の国際連合安全保障理事会議場前に飾られているというのだが、重要な議決の前には、なんということか、青いカーテンが張られ、見えなくさせられているという。あぁ、国連にはシャガールの「平和」のタペストリーも飾られているのだが、戦争や殺し合いは終わらない。
史上初であった一般市民への無差別な爆撃であったスペイン、バルセロナへの空爆を描き、反戦を訴える「ゲルニカ」が国連に飾られているならば、ぼくは丸木夫妻の「原爆の図」も、同じように国連に飾られるべきなのではと思ったのだった。
何点もの「原爆の図」を見ると、核兵器ほどヒューマニティーに反し、残酷なものはないと思う。そして、ぼくはある時からある国がある国を「ならず者国家」と名指しするようになったのを知っている。しかし、核兵器を持っている国、核兵器を持とうとしている国こそ、ならず者ではなかろうか?
日本が国連の核兵器禁止条約の議決で反対に票を投じたことを知った時は暗澹たる気分になった。ぼくの生まれ育ち、今、生活している、被爆国である日本は、何を目指し、どこに行こうとしてるのだろうか?
話は絵画にもどり、「原爆の図」は政治についての絵ではなく、屏風に書かれてはいるけれど、日本画でもなく、西洋画でもなく、ヒューマニティーと人の命についての絵なのだと思う。
帰りの道で渋滞に巻き込まれ、ぼくにも丸木俊さんのような人がいたらいいのにとも思った。丸木位里さんと丸木俊さんはジョン・レノンとヨーコ・オノのようだ。家に帰ったらジョンとヨーコの"Sometime in New York City"と"Double Fantasy"を聴きます。
原爆の図丸木美術館 / Maruki Gallery For The Hiroshima Panels


町田市の芹が谷公園を散歩していると、町田市立国際版画美術館で「紙の上のいきものたち!!」という展覧会をしていたので、入ってみた。
版画で表された生きものたちでいっぱい。聖書で使われた版画での動物たちとか、古いヨーロッパの大航海時代の世界中の植物や動物、鳥たちが版画で表された博物学の大きな本。中でも一番いいなと思ったのが、町田市在住の竹上妙さんの版画でした。彼女の楽しくてやさしい版画の前に時を忘れてしばし立ちつくしてしまうのでした。
紙の上のいきものたち!! | 展覧会 | 町田市立国際版画美術館
竹上妙もくはんが日記


世田谷美術館に「エリック・カール展」を見に行ってきた。ちっちゃな子どもをつれたお父さん、お母さんがいっぱい来ていて、けっこう混んでいました。
このアメリカ絵本作家の大家はナチスのドイツで青春時代を過ごし、絵を描く原点は、その時代にひっそりと隠れて見せられた当時、退廃芸術と烙印され禁ぜられていたパウル・クレー、フランツ・マルクやアンリ・マティスの複製画だったという。切り絵と貼り絵を駆使した絵が楽しくて美しい。乾いた心のぼくにおいしいお水が注がれるようでもあったのです。
何枚も何枚もエリック・カールさんの絵を見ていると、小学生の時の写生の授業を思い出した。校庭に出て、ぼくが砂場の絵を水彩絵の具でその色の灰色で描いていると、森田先生が来て、こんな風に描いてもいいんだよとおっしゃって、ぼくの描いた灰色の砂場を赤や青、黄色や緑のいろとりどりで塗ってくれたのです。絵を描く自由と自由に絵を描くということを知ったのだと今ごろになって思い出すのです。
エリック・カール展


町田市立国際版画美術館で「横尾忠則 HANGA JUNGLE」展を見た。横尾忠則の版画作品の大回顧展なのです。多種多様に時代時代でさまざまに変転しながらも、とてもイマジネイティブで、やはり横尾さんは天才であった。
感じるのは死と生のコントラストであったり、廃墟と楽園であったり、豊かに含まれる相反的、分裂的な何か。エロスとタナトス。
この前、国立新美術館で「ミュシャ展」を見たのだけど、横尾忠則も出発点はポスターであったのか。横尾さんはビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のジャケットをもっとも影響を受けたグラフィックとして称揚していたけれど、彼のポスターの方がもっと早いではないか。きっと、1960年代に江戸の浮世絵も伝承する世界でもっとも先端のサイケデリックとして、横尾忠則さんのデザインしたポスターこそが、三島由紀夫から唐十郎までを触発し、挑発した日本のカウンター・カルチャーの震源地であったのだろう。そういえば、この展覧会には展示されていなかったけれど、1970年代では、サンタナの「ロータスの伝説」やマイルス・でデイヴィスの「アガルタの凱旋」のレコードジャケットも横尾さんの作品だったのを思い出した。
数人の大学生風の女子が見に来ていて、かっこいい、かっこいいを連発していた。もしかして近くの女子美術大学の画学生さんの集団だろうか。もう半世紀前の作品もそこには含まれていて、けれども、確かに、今でもかっこいんだよね。町田市立国際版画美術館は近いし、散歩がてら、もう一回は見に来たいと思った。
横尾忠則 HANGA JUNGLE


国立新美術館でミュシャ展を見た。展示室に入るなり鳥肌が立った。大きくて美しい絵がそこにあったから。
19世紀末、広告の時代の始まり、来る大量生産と大量消費の時代の予感を感じさせるそんな時代に、花の都パリでは、芸術家たちがその磁力に引き寄せられたかのように集まり、オーブリー・ビアズリー、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、アルフォンス・ミュシャの三人がそれぜれに描いたポスターが街頭には貼られていたはず。ビアズリーとロートレックの二人は19世紀の終わりとともにこの世を去り、20世紀にミュシャの一人だけが残された。
20世紀は国の独立と戦争の時代であった。ミュシャは20世紀のいよいよ始まった1910年に故郷のチェコに帰り、この「スラブ叙事詩」と題された20点の大きくて美しい連作の絵画を描きつづける。1918年は、オーストリア帝国が崩壊し、チェコスロバキア共和国が成立し、新国家のために紙幣や切手、国章などのデザインを無報酬で行った。そして、つかのまの春の時であったかのように、1939年3月、ナチスドイツによってチェコスロヴァキア共和国は解体され、ミュシャはドイツ帝国に抗う退廃芸術家として尋問され、どのような尋問かは記録に残されていなく、それは拷問でもあったのかもしれない。ミュシャは体調を崩し、釈放され、その4ヶ月後の1939年の7月に逝ってしまう。しかし、「スラブ叙事詩」の20枚がナチスに焼かれなくてよかった。
第二次世界大戦の終わりとともにチェコは解放され、祖国は再び独立する。時の共産党政権は、ミュシャの愛国心との結びつきを警戒し、黙殺しつづけた。それでも、チェコの人びとの間にミュシャへの敬愛は残り、プラハの春の翌年の1969年にミュシャの絵画切手が数種発行されている。
鈴木邦夫さんのような人はこの「スラブ叙事詩」をどう見るのだろうか? 鈴木邦夫さんの敬愛する三島由紀夫はその死の前年にこのようなことを書いている。
「実は私は「愛国心」といふ言葉があまり好きではない。何となく「愛妻家」といふ言葉に似た、背中のゾッとするやうな感じをおぼえる。
この言葉には官製のにほひがする。また、言葉としての由緒ややさしさがない。どことなく押しつけがましい。反感を買ふのももつともだと思はれるものが、その底に揺曳してゐる」
おっと、脱線しすぎたようです。美術館のミュシャの略歴のところのには、たしか「スラブ叙事詩」が発表された時の解説として「スラブ民族の倫理的な発展」とあったと思う。
チェコの門外不出の芸術「スラブ叙事詩」を、もしも時間がありますならば、無心でご覧ください。国立新美術館では草間彌生展も同時開催されております。
ミュシャ展


藤沢アートスペースというところで「縁(ゆかり)、自然そして草間彌生」とタイトルされた展覧会を見た。なんでも、藤沢市と松本市は姉妹都市の関係を結んでいて、松本市から借り受けて展示する二週間なのだそう。信州というところは、その日本アルプスを代表する山々の自然の美しさに魅せられて、たくさんの絵描きが移り住んだところでもあるらしいのです。そして、松本市というとあの草間彌生の生まれたところでもあり、松本市美術館はその膨大なコレクションでも有名。小さなコーナーでゆっくり見る草間彌生さんの美術作品も大きな美術館で見るのと違って感じられて、とてもよかったのです。
縁(ゆかり)、自然そして草間彌生|藤沢市アートスペース


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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。


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