えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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昨日、東京都写真美術館に「マリオ・ジャコメッリ写真展」を見に行ったのですが、強烈でした。何枚ものモノクロ写真を見ながら、それがぼくの心を生と死のたまゆらに分裂するようでもあって、何か気が変になってしまうような気もし、鳥肌が立ち始めるというのは、ほとんど今までしたことのない経験でした。「マリオ・ジャコメッリ写真展」は今日(2013/5/12)までです。
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この前の大きな大戦がヨーロッパで起こるころベルギーからヒットラーの政治を嫌い一人の青年がパリに逃れてきた。彼の名はフリードマン・エンドレ・エルネーといい、写真室の現像助手として細々と生計を立てていたのだけど、同じくポーランドからヒットラーの支配を嫌い逃れてきたゲルタ・ポホイルという女性の出会い、恋に落ちる。ゲルタはエンドレに、妙な一案を授ける。ニューヨークからやってきた裕福な写真家、ロバート・キャパという名前で売りだしてはどうかと。そして、不思議なことにロバート・キャパという名前をかたり初めてから、フリードマン・エンドレ・エルネーの写真は売れ始め、雑誌に掲載される。

いつしか、エンドレから写真術を得たゲルタも同じく、ロバート・キャパとしてエンドレと共同して写真を発表し、ロバート・キャパの名ははスペイン内戦を撮った写真によって、決定的なものになっていく。けれども、独立心旺盛な進取の女性であったゲルタはロバート・キャパではなくゲルダ・タローという名前で写真を発表していくようになる。エンドレと行動を別にしたスペイン内戦の取材の時、ゲルタは不慮の事故により、二十七歳で夭折してしまう。その知らせを聴いたエンドレは三日三晩泣きとおし、数ヶ月、部屋に閉じこもっていた。ゲルタの生きているころのエンドレを叱咤激励する声、もう半歩、前に出て写真を撮るのよ、という幻の声を何度も聞いたのかもしれない。

さて時は過ぎ、パリもヒットラーの軍隊に陥落し、エンドレはニューヨークに逃れる。しかし、彼にはまだ撮らなければならないものがたくさんあった。アメリカとカナダとイギリスの連合国のフランスのノルマンディー海岸の上陸部隊に従軍カメラマンとして参加した。兵士たちとともに、雨あられのような銃弾のふりそそぐ遠浅の海のなかをエンドレは進んで行く。彼の武器はカメラのみ。その時、エンドレの耳にこだまするのは、ゲルタのあの声で、こう語りかける。

「エンドレ、振り返って写すのよ、写真を撮るのよ、勇気を出して、あなたはロバート・キャパよ」

横浜美術館で「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」という展覧会を見て、こんな物語を想像してしまいました。

http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2012/capataro/index.html
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山梨県身延の下部温泉から西に少し行ったところにある富士川切り絵の森美術館に寄ってみた。小さな美術館に飾られた切り絵を見て回ったのだけど、素晴らしかったです。光と影の絵が連想させる懐かしいそのようなものに静かにたたずんだ。そして、幻燈のような酒井淳美さんの切り絵にいつまでも見とれていたのです。田舎の小さな美術館にいるのは、ぼく一人で、あたりまえのように時間はゆっくりにしか流れなかった。

http://hikari-no-kirie.main.jp/index.html
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東京国立博物館の「飛騨の円空 千光寺とその周辺の足跡」展を見に行った。円空というと片手に乗るぐらいの小さな木の仏像を想像していたのだけど、人の丈以上もある大きな仏像は迫力満点でした。木がそのまま神や仏に化身したかのような像に森や山を崇拝し、そして、目覚め、仏陀となるというようなことを思ってしまった。とても簡素、素朴な彫り方は、彫らないことで、何か自然の命を表しているかのようなのです。生涯、山や森を旅した円空の足跡は、例えば、岐阜を旅すれば、そこかしこにある。托鉢のお礼にとみんなの幸せを祈りに込めて木の仏像を置いていったそれは数え切れないらしい。

ぼくの心は昔の飛騨の山の森に入ってゆく。

http://enku2013.jp/
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パナソニック汐留ミュージアムへ「ジョルジュ・ルオー アイ・ラブ・サーカス」展を見に行ってきました。サーカスをテーマにしたジョルジュ・ルオー展です。

ルオーと聞いて思い浮かべるのは荒野をとぼとぼ歩くキリストとその弟子たちや聖骸のようなキリスト像であり、その黒く縁取られ厚く塗りこめられた暗い絵なのだけど、サーカスの絵も、何か、キリストとその弟子たちを同じように描いているようなのでした。そのような絵を描きつづけつづけたルオーだけど、最晩年に近いころの「貴族的なピエロ」という絵は、黒ではなく、青を貴重とし、何か明るく、女のピエロが悲哀や憂鬱ではなく、微笑さえたたえていて、その笑みがが復活したキリストの微笑でもあり、悟りを得た仏陀の微笑のようでもあり、何か、感じ入りました。深い美しさを感じました。

それから、パリの往年のサーカスに関する展示やビデオも上映していて、それも素敵でした。

サーカスに魅せられたジョルジュの詩の一節をご紹介して、今夜はおやすみZZZzzz.....

子供の頃のあのサーカス
貧苦にやつれた小さな顔の
場末の町の貧しい子には
サーカスの光こそは太陽であり、心の夢の故郷だ
それとももしかしたら、失われた楽園の象徴か
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損保ジャパン東郷青児美術館で「アントワープ王立美術館所蔵 ジェームズ・アンソール -写実と幻想の系譜-」と題された展覧会を見る。ジェームズ・アンソールはぼくの好きな奇っ怪なヨーロッパの絵描きなのだけど、今回の展覧会では、そのような奇っ怪な、例えば、骸骨や仮面や群衆を描いた絵はそれほど多くは見られず、むしろ、その前段階の写実的な絵の方が多く展示されていた。しかし、そんな写実的な画にも少しの怪しげな色使いはあるものだけど、ぼくの印象ではある日のある夜、アンソールはシュール・レアリズムの祖となるような絵を描きはじめたらしいのだ。

芸術家と狂気のようなことを思い浮かべてしまう。骸骨や仮面の舞踏会やそれらで街をうめつくす群衆が空からアンソールの頭に、心に下りてきたのだろうか? ぼくのもっとも見たかったのは「キリストのブリュッセル入場」なのだけど、この展覧会では展示されていなかったのは残念ではあった。昔、東京都庭園美術館で見たことがあったのだけど、もう一度見てみたい。ピクチャーはその絵です。おやすみZZZzzz.....

http://www.nhk-p.co.jp/tenran/20120414_130813.html
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府中市美術館へ「ポール・デルヴォ―/夢をめぐる旅」展を見に行ってきました。美術館についたころ自分が風邪気味でちょっと微熱もあるらしいことに気付きましたが、そんなダウナーな時に見るデルヴォーが、また良かったのです。

シュール・レアリズム以前のデルヴォーの印象派的な森の絵やドイツ表現主義的な女性像も良かったです。しかし、デルヴォーといえば、蒸気機関車と宮殿とほんのかすかに微笑むような女たちの絵でしょう。「トンネル」というそんな作品も見ることができました。蒸気機関車と女たちの取り合わせは、微熱の夢の中に漂うとても静かなエロスです。九十六歳まで生きたデルヴォー。筆を置いたのは最愛の妻、タムの死去の時の九十一歳の時1988年。デルヴォーに絵に登場する女たちからユングのいうアニマというようなことを思う。絶筆のシュール・レアリズムを遠くは離れた水彩画もすばらしいけれど、ここで描かれた一人の女。生涯、妻のことを描いたというより妻のために描いたのだろうか。その女たちは虚無のようにすべてを含んでいるのかもしれない、などと思いながら、ぼくはおやすみなさいと言い、夢の世界にまた戻ることにします。

http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/index.html
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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