えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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松濤美術館に「1930-1985 没後30年 ロベール・クートラス展」を見に行く。

名声や富を自ら絶ち、生涯、パリのとあるアパートの中でカルトと呼ばれるフランスの小さなカードに絵を描き続けたそのカードがぼくには聖画、アイコンのように見えたのだった。

ふと、友川カズキさんの水彩画を思い出し、友川さん著した本にあった「ひとりじゃなきゃなんいもできない」という言葉を思い出した。その言葉はロベール・クートラスにも、いかにもふさわしかろうと思われた。ぼくはパリの街で拾ってきた紙屑を小さなカードの大きさに切り取って描いた絵を美しいと思い、そのカードにはなにやら聖なる守護の力すら宿しているようにも感じられた。

美術館に売られていた「ロベール・クートラス 作品集 ぼくの夜」にクートラス自身がアトリエ兼アパートでくつろいでいる写真があって、その写真の柔和な笑顔がアメリカのロック・バンド、ドアーズのシンガーであり詩人でもっあったジム・モリソンの死の直前によく似ていると思った。パリで1971年にモリソンは没しているのだけど、どこかでクートラスに会いはしなかっただろうか。二人は詩も音楽も絵も金じゃない、と意気投合しなかっただろうか、というのはぼくのおかしな想像にすぎないのだけれども。

ぼくは時々、守護の力を信じてこれらのカードの絵を思い浮かべるのかもしれません。

http://www.realtokyo.co.jp/events/view/41365
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世田谷美術館に「難波田史男の世界 イメージの冒険」展を見に行きました。

絵を描き始めたそのほんの初期のころから、難波田史男はすでに難波田そのものであったからか、わずか32歳の時、1974年に夭折してしまう、彼のそのたくさんの絵が楽しい。そして、妙に懐かしいような暖かい既視感がぼくの胸にのぼってもきたのです。

今回の展覧会では展示されなかった「終着駅は宇宙ステーション」という作品もある難波田史男の絵は初期にむしろ大きなサイズの大作が多くて、むしろ彼自身の人生の最終章では子どもが普通にもつサイズの小さな作品が膨大な数で展示されていた。難波田史男は、線は自殺で色彩は愛だというようなことを言っていたそうなのだけれど、ぼくは、その線と色が少しづつ、少しづつあわさっていき、小さな絵描きの好きな海の青のしずくとなり、若い奔放な絵描きがこの世界から消えてしまう、そんな物語も想像してしまった。

人もまばらな日曜の午後の美術館にどこからかアナウンスの声が幻として響きわたる。

「次の駅は木星、次の駅は木星となります。終着駅は宇宙ステーション、終着駅は宇宙ステーション、終着駅は宇宙ステーション・・・」

http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html
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横浜のそごう美術館に「トーベ・ヤンソン展 ~ムーミンと生きる~」を見に行った。今年はトーベ・ヤンソンの生誕100年なのだそうだ。ムーミンの生みの親はフィンランドの偉大なる画家でもあったのだ。

すごく混んでいた。永遠のムーミン人気です。

ムーミンが第二次戦時下に生まれたのを知った。震えるような線で小さく小さくノートに書きとめられたのだと思う。それが戦争の終わりとともに開花した。フィンランドの驚くべき現代史を少し考えてしまう。その初期のムーミンの原画はほんとうに小さいものだった。その小ささも、何か秘密を打ち明けられるようでかわいいなぁ。

この展覧会は今日まで開催されているそうです。

https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/14/tove/
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乃木坂にあるの新国立美術館に「チューリッヒ美術館展」を見に行きました。

近代の印象派前期から現代まで、有名な芸術絵画をこれでもか、これでもかと見れます。さすが、スイス銀行を擁する永世中立国であった金持ちの国、スイスなどと言うと不謹慎ですな。多分、ナチスの悪魔の手を逃れて、スイスで生き延びた芸術家や芸術作品もたくさんあったのではなかろうか。

この展覧会、その作品数の多さと質、ほとんどが美術の教科書に載っているような人の作品であることから、これから美術館巡りなどをしてみたいなどと思っている人の手始めにお勧めです。

前にも書いたことがあるのですが、本物と本になった絵って、大きさは言わずもがな、色とか実感とか全然、違うんです。絵の前に立って見ていると、その絵を描いた今は亡き人と交感してしまうような一瞬すらあるような気がしてしまいます。そして、そんな一瞬が今回もぼくとあのシャガールとの間に訪れたようなのでした。

http://zurich2014-15.jp
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戦争をしつづけるアジアの果ての国の帝都に怪しげな版画を彫りつづけた風変わりな男がいた。そんな男の展覧会「鬼才の画人 谷中安規展 1930年代の夢と現実」を見に、町田市立国際版画美術館に行きました。

島国の向こうのアジアの大陸の混乱が増すにつれ、その特異な版画家の奇想は純度を深めたかのようなのだった。そして、かの国がもうひとつの西の果ての大きな大きな鷲に国に敗戦をした、そのおよそ一年後、焼け跡に自ら作った掘立小屋で餓死した姿で彼は見つかる。展覧会に掲げられていた谷中安規の年表を見つつ、そういう死に方があったのかと軽い衝撃の眩暈のようなものすら感じた。何かに憑りつかれたかのような、時代が生んだ版画家は、時代にも殉じ、芸術にも殉じ、その秘められた狂気のようなものにも殉じたのだと思った。

ひるがえって、瀬戸内寂聴さんや半藤一利さん、宮崎駿さんら、実際の戦争を体験している人たちの言う、今が戦前のようだ、というのは本当だろうか。

http://taninaka.hanga-museum.jp
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「生誕200年ミレー展 愛しきものたちへもまなざし」を見に行く。ぼくの大好きな「晩鐘」は国立新美術館での「オルセー美術館」に譲るとして、ミレーの初期の習作から肖像画を経て、バルビゾンに移る住んでからの農家を描いた生活を描いたもっともミレーらしい絵、そして、晩年の生まれ故郷、ノルマンディーへの望郷の募る風景画まで、ミレーという画家は愛しきものたちを描き続けた画家であったらしいことを感じ、そういことが絵画ばかりではなく、芸術の根底だよな、と思う。農村の風景、人々、ともに描かれた鶏、犬、猫、羊、それらの小さな人とともに生きる動物たちも愛おしい。生きるということは、動物や草花、人々、みんなととも生きることしかありえない、そんなことも感じさせてくれる展覧会でした。そう、そういうのが愛なんだなって思いました。

http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/millet.html
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ある一枚の絵を見たいがために新国立美術館の「オルセー美術館展」に行きました。19世紀絵画の最も大きな潮流である印象派、マネの絵を中心のその成り立ちと初期の作品を展示していた。印象派に強く影響を与えた、バルビゾン派の絵画とは、印象派が芽を出すその直前にたくさんの当時の画家たちがフランスのバルビゾン村を訪れ、自然を、田園を、生活を、人々を描いた、それらを指す。その中の一枚、ジャン=フランソワ・ミレーの描いた「晩鐘」は、ぼくが一度は、本物、実物を見てみたいと思っていた絵。その絵の前で、長い間、たたずんていたのです。すると、誰かのひそひそ声が聞こえもしました。ずいぶん暗い絵だね、と話している。ぼくは、暗いなのだけど、その絵から、バルビゾンの村を清い空気でつつみこむかのような、夕暮れの鐘の音を聞いているみたいなのだった。その清浄さにあらがえない時間とか自然とかを感じつつ、この絵を見る喜びに満たされていたようなのだ。ついに見た「晩鐘」なのです。

さて、もう一つの閑話。印象派というよりその前夜のバルビゾン派の絵画ではじめて屋外の見た風景がたくさん描かれ始める。そこには19世紀初頭に発明されたチューブ入り絵の具の発明というのがありました。これによって、多くの画家は、はじめて絵の具を戸外に持ち出し始めたのです。そこで発見されたのが、目も前にある日をあびた風景の美しさだったのです。技術革新によって発見された世界観ともいえるわけで、それが新しい時代の果実だったのです。ひるがえって、今という時代は、世界はミレーたちが見つけた新しい美のようなそれを見つける前夜のような気もするのですが。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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