えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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原宿の太田記念美術館で『葛飾応為「吉原格子先之図」― 肉筆画の魅力』展を見ました。葛飾応為は葛飾北斎の実の娘にして北斎の弟子でもあり、その絵は十数枚しか残されておらず、その貴重な一枚を太田記念美術館が所有しているとのこと。「吉原格子先之図」を見ながら、その陰影と光の絵からなんだか谷崎潤一郎の日本の美を著した名随筆『陰翳礼讃』を思い出したりします。黒い羊羹についての有名な一節を引用します。

「人はあの冷たく滑らかなものを口中にふくむ時、あたかも室内の暗黒が舌の先で溶けるのを感じ、ほんとうはそう旨くない羊羹でも、味に異様な深みが添わるように思う。」

なるほどと思いつつ、それは西洋との接触によって、改めて発見されたことのようにも思えるのは何故だろう? 同時に展示されていた明治の版画師、小林清親の絵にとても惹かれてしまう。この小林清親も「光線画」と呼ばれ、明と暗が美しい。葛飾応為と小林清親の生きた時代は微妙に重なりもしていることに気づきもします。葛飾応為から小林清親、時代を経て川瀬巴水と光と影の系譜は続くということかもしれない。

などと思いながら、せっかく原宿まで来たのだから、明治神宮に向けて鎮守の森を散歩しました。七五三の子どもらもあでやかなそこをお詣りをし、文欽高島田のお嫁さんとお婿さんもおり、やはりそこは外国人の観光客ばかりでもあって、御神籤をひけばこんな言葉を授かったのです。

「  大御心(一〇)
  昭憲皇太后御歌
   耳
 人ごとによきもあしきも心して
 きけばわが身の為とこそなれ」

ゆめゆめうたがふことなかれ
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『大人の遠足BOOK 駅からウォーキング関東』の「二宮尊徳ゆかりの地と酒匂川」をたよりに散歩。




これは桜か、これは朝顔か、季節はずれの狂い咲きだろうか、という景色に出くわす。地球環境の温暖化は本当のことかもしれない。今、十一月。

小田原市尊徳記念館を見学した。二宮尊徳は偉人だと思う。なぜ、紙幣の肖像にならないのかと思っていたら、記念館には終戦後のGHQ下で短い期間に紙幣の肖像となっていたのを展示していた。二十年ぐらい前、記念館は訪れたことがあったのだけれども、その時と同じ人がところどころで解説してくれる。その人も確か、二十年前と同じ。ぼくもその解説してくれた人も二十年の齢を重ねた。見学者はぼく一人で、ぼくのような人間ではなく、この二宮尊徳という人を、若い人にもっと知って欲しいとも思う。

尊徳記念館の向かいにある「エプーゼ」という喫茶店でコーヒーを飲み、パウンドケーキを食べ、とてもおいしい。店内の雰囲気もいい。「エプーゼ」が近所にあれば週に一回は通ってしまいそうな、何か素敵なところだった。
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オートバックスの上溝店に用があり、その足で亀ヶ池八幡宮に来てみると、あー、そうか、七五三のお参りが始まっているのですね。世界中の子どもたちの平和と安寧を願わずにはおれません。宮沢賢治の言ってっていた「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」を思います。力弱き我らのために、祈りもします。そして、御神籤をひくと、なぜか「大吉」。春よ、早く来てくれ。

「第三十七番 御神籤
 
 春くれば
 花ぞさくなる
 木の葉みな
 ちりてあとなき
 山のこずえに」

ゆめゆめうたがふことなかれ
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『大人の遠足BOOK駅からウォーキング関東』をたよりに町田の芹が谷公園や恩田川を散歩しました。すっかり秋日和です。

途中で寄った町田市立国際版画美術館での『揚州周延 明治を描きつくした浮世絵師』について書かねばなるまい。小津安二郎の映画の中の赤いケトルみたいな赤が、はっと目を引くような奇麗さです。川瀬巴水、伊東深水らの他の明治以降の絵師以前の柄谷行人さん曰く(個我と外界が切り離され、風景は移ろいゆき過ぎ去っていく、そのような)「風景を発見する」前の絵師だという気がしました。揚州周延にとって明治は江戸の近くのそこにあったようなのです。

散歩をしながらの俳句が浮かびました。お恥ずかしながら披露いたします。

 空に溶け少しが残る鰯雲

 柿の実の歩道に落ちし痕ありき

 秋の午後バトミントンの羽根の飛ぶ
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『大人の遠足BOOK 駅からウォーキング 関東』という本をたよりに多摩の南、町田との境にある小山田緑地というところを散歩しました。別に発句のために散歩しているのではないのですが、そこでできた一句。

 蜘蛛の巣を掃いつ秋の竹の藪



さらに散歩していると、もう一句、浮かびました。

 秋桜は小さな棚田の畦に咲く



俳句というのは五七五のたった十七文字の短さで有季という縛りもあって、だからこそ、今、読んだ句は昔に誰かが読んでいる句ではないかとも思わせます。すると、ありきたりな句が、数え切らない過去の誰かと接続し、親和し、輝きはじめ、言葉は無名となり、無名だからこその普遍を得るようにも思われるのです。不思議だな。
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この不穏な世界状況に神経がやられそうになっている自分を感じ、ふと京都の真言宗の寺、東寺では毎年、一月八日から「後七日御修法」という国家の安泰や世界平和祈願、祈祷が行われているのを思い出しました。昔、東京国立博物館での東寺に関する展覧会で非公開の祈祷所を再現した展示を見たことがあります。

そこで真言宗の寺院、高尾山薬王院有喜寺のある高尾山に金比羅台ルートというあまり人に知られていない登山道から登りました。登りの金比羅台ルートと下りの三号路はとても静かで、その路を「六根清浄」、「無病息災」、「世界平和」と心の中で唱えて歩きました。祈りなんて無意味だという人もいますが、もしかして祈りからすべては始まるのかもしれません。映画「キリエのうた」のキリエも祈っていたし…。神様、この世界に愛と安寧と平和をお与えください。

頂上や寺の境内には楽しそうな遠足の子どもたちがいっぱい。下りでは高尾山のケーブルカーに初めて乗ってみました。薬王院で御神籤をひけば「大吉」。

「第八十九大吉

 一片無瑕玉
 從今好琢磨
 得遭高人識
 方逢喜氣多

 いっぺんきづなきたま
 いまよりたくまするによし
 こうじんにしるにあうことをえて
 まさにききのおゝきにあわん」

ゆめゆめうたがふことなかれ
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竹橋の東京国立近代美術館で『棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ』を見ました。



棟方志功は若い時、「日本のゴッホになる」と志を立てたそうだけれど、この『棟方志功展』を見て、ぼくは、棟方志功はあたかも日本のピカソのようでもあると思う。板画(棟方は自らの版画を板画と読んだ)や倭画(やまとえ、棟方は自らの肉筆画を倭画と呼んだ)の変転し、進化させようとする棟方の芸術をこの展覧会で見て、そう思った。

その芸術は若いころ出会った二人の人物に生涯、深く影響されてもいたと思う。その二人とは、民藝運動の創始者である柳宗悦と、国家神道に批判的でもあった日本浪漫派の祖ともいうべき国文学者の保田與重郎。さらに戦後、ぼくは、小津安二郎がその映画『麦秋』の中で登場人物に言わせた言葉「大和はまほろば」は、万葉集の時代にまで回帰しようとした日本主義の保田與重郎のそれであるかのようではあるまいかと想像していまう。

棟方志功は、その芸術の日本的なそのようなことに、自らの意志でキリスト教の十二使徒やベートーベンの「歓喜の歌」、ホイットマンの詞も混淆させてしまう。俗と聖、内と外を行き来し、まさに生きようとする。

たくさんの外国人も『棟方志功展』に来ていたのだが、どのような感想を持ったのだろうか?


それから午後、新宿末廣亭に行って寄席見物。



主任の入船亭扇辰師匠の人情噺「甲府い」の落ち、もしくは下げに目頭が熱くなりました。落語はいいねぇ。

いい一日となりました。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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