えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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バリー・ジェンキンス監督の「ビール・ストリートの恋人たち」を見た。これで「グリーンブック」、「ブラック・クランズマン」と合わせて、近頃、公開された黒人への差別を扱った評判の映画を見たということになる。どれも面白かったのだけれども、これらの3本の映画の中でもっとも重苦しく、そして、もっとも美しかった。

ストーリーは、無実の罪で逮捕された黒人青年とその恋人、若い二人をめぐる中々進展しない静かなホーム・ドラマで、ローアングル、ローポジションや会話の時のカットバックなど、小津安二郎の松竹映画を思い出させる。悲劇を扱いながら、音楽的な美しく静かな名作。バックでかかるニーナ・シモンのジャズも素晴らしい。

さて、原作のジェームズ・ボルドウィンはぼくが高校生の頃の大好きな作家で、新潮文庫で出ていた「もう一つの国」は何度も読んだ。この「ビール・ストリートの恋人たち」の原題は"If Beale Street Could Talk"で小説では「ビ―ル・ストリートに口あらば」と訳され、それは「ビ―ル・ストリートが話をできたなら」というような意味なのだけど、この映画の舞台はニューヨークのマンハッタンで、舞台としてのビ―ル・ストリートは一度も登場しない。そこはジャズの生まれたニューオーリンズにある通りで、すべてのアメリカの黒人の故郷であったところ、と映画の題辞、エピグラフとして語られ、ムーディーな恋人の映画に更にずしりと重たいメッセージを発信してもいる。ジェームズ・ボルドウィンのたくさん小説群も再読してみたい。

スパイク・リーはもうまどうことなき巨匠で、このバリー・ジェンキンスは次の次の世代だろうか、すごい映画監督が登場したものだ。

そして、ヒロイン役を演じるキキ・レインの笑顔がまぶしいです。

映画『ビール・ストリートの恋人たち』公式サイト - ロングライド
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TOHOシネマズで「午前十時の映画祭」というのをやっていて、昔懐かしの映画が大きなスクリーンにかかるんです。たまに見に行きます。

今日はTOHOシネマズららぽーと横浜にスティーヴン・スピルバーグ監督の「E.T.」を見ました。何度か、テレビとかレンタル・ビデオで見ているのだけど、大きいスクリーンは格別で、とてもよかったです。特にあのETをカゴに乗せて自転車で空を飛ぶシーン、最高だわ。自転車って、神話と夢の世界からおりたってきたような最高の乗り物ですね。映画の面白さと感動のど真ん中をゆくような映画で、「E.T.」は何度、見てもすばらしい。

この「午前十時の映画祭」、来年の3月で終わってしまうそう。とても残念です。11月の「サウンド・オブ・ミュージック」は絶対、見に行くぞ。

「E.T.」上映作品詳細 - 午前十時の映画祭10 デジタルで甦る永遠の名作
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黒澤明監督の「八月の狂詩曲」をレンタルDVDで見る。

この映画は黒澤組の最後の映画で、ラストの「終」の字を見ながら、黒澤明の壮大な何十年もかけて綴られた夢の世界も終わったのかと思い、なんともいえない感じ。そして、この映画は大林宣彦監督のふるさと映画の原型でもあるような気もし、平和への願いは今もかなえられずに、祈りのように静かにつづく。

夏休みに子どもたちがおばぁちゃんの田舎に家に帰ると、不思議なことがあるのは、ぼくも経験したことでもあるのです。

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カビール・カーン監督の「バジュランギおじさんと、小さな迷子」を見ました。なんと、世界一の年間2,000本近く作られるインドの映画の中でも歴代3位の興行成績なのだそう。迷子の子どもを隣国、パキスタンに送り届けるヴィム・ヴェンダースのようなストーリーもインドの映画では歌あり、踊りありのもりだくさんで、あきなく楽しい。迷子のシャヒーダーを演じる子役のハルシャーリー・マルホートラがとてもいい。ラストの想像していたとおりのめでたしめでたしの物語もすばらしく、共感してしまう。ロード・ムービーでのパキスタンとインドにまたがるカシミールの美しさ。映画に込められたてらいもない真摯なメッセージ。そうさ、国境の壁も柵も鉄条網もなくなってしまえ。

バジュランギおじさんと、小さな迷子
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黒澤明監督の「どですかでん」を見る。暗く救いのない話を美しい映像で描いていた。物語とかストーリーもほとんどなく、黒澤組初のカラー映画は、フランスのヌーベルバーグというよりも、色彩のあるイタリアのネオレアリズモという趣。そして、ラストのシーンはほんのかすかな曙光のよう。1970年代にたくさん作られたインディーズ、ATGの映画は、この「どですかん」がルーツだろうかと思わせる。「どですかん」の残酷さの中の一筋のヒューマニズムに、ぼくは当惑し、この映画のように、空想の家を作ったり、空想の汽車を走らせ、いつか命の木は等しく枯れてゆく。

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レンタルDVDでフェデリコ・フェリーニ監督の「フェリーニのアマルコルド」を見る。

フェリーニが子どものころ、それはファシスト政権下の北イタリアの小さな田舎町の一年間を描いた自伝的な美しいコメディー映画なのだった。こんなフェリーニの映画を見ると、どんな時代でも、どんなところにいようとも、人生は祝祭なのだって思えてくる。それは素晴らしい人間賛歌の映画で、音楽はもちろんニノ・ロータ。

フェリーニはこう言っていたそう。

「私は映画だ」

もう一度、大きなスクリーンで見たいよ。

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おれらのスパイク・リーが戻ってきた。スパイク・リーの新しいジョイント(Joint)(スパイクは映画のことをジョイントと呼ぶのだけれど、ニューヨークのアフリカン・アメリカンのスラングなのかしら?)「ブラック・クランズマン」を見てきました。とてもおもしろかった。

ブラック・パワーを称揚する単純な映画でもなく、スパイク・リーらしいねじれたユーモアとアイロニーに惹きつけられてしまう。ついには白人至上主義のKKKと黒人の権利を主張する黒人の学生組織がシンメトリーな相似にも見えてしまうのだった。ラスト・シーンではこれは何の映像なんだと疑問に思っていると、それは1、2年前のアメリカ合衆国のバージニアだったのだ。ショックを感じてしまったのだが、このような光景は日本でも近ごろ、見てしまうものでもある。そして、スパイクのメッセージ。

"No Place for Hate"

かっこいい。人種差別、民族差別、性差別、反対。憎悪に行き場なし!

この真摯なメッセージの込められたラストシーンで、いわゆる名画ではなくなってしまっているのだけど、それこそがスパイクのジョイントなのだ。大好きです。

あっ、アフロヘア―の黒人女子闘志、パトリス・デュマス演じるローラ・ハリアー、凛としてとても美しくかわいかったです。

映画『ブラック・クランズマン』オフィシャルサイト
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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