えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ

ピーター・ファレリー監督の「グリーンブック」を見ました。1962年の秋からクリスマスの冬にかけて、アメリカ南部を性格のまったく違う二人の男が車に乗って、旅をするうちに強い友情が芽生え、育つというような物語です。性格も違うけれど、一人は黒人で一人は白人、一人は上層階級で三歳のころからピアノを弾き、なんとレイナード・バーンスタインに「神業」と呼ばれたのピアニスト、一人は中下層階級の高級サパークラブ「コカパバーナ」に用心棒に雇われたやさぐれやくざ。そんな凸凹な二人のロード・ムービー。なんとも想像どおりのラストの物語の展開が気持ちよく、心がほっこりあたたまりました。黒人の側から生ぬるい白人視点の映画だとの批判の意見もあるらしいのですが、人種差別をいつの間にか越えてしまったかのような二人のとてもいい映画だと思いました。
この映画を見て、黒人・白人の混成リズム・アンド・ブルース・バンド、Booker T & The MG'sのスティーブ・クロッパーのインタビューでの言葉を思い出す。
「メンフィス・レコード・スタジオで録音していて、人種差別なんてなかったし、考えもしなかったけれど、ひとたびスタジオの外に出れば、それはあったんだよ。南部のツアーの時、白人しか泊めてくれないホテルしか見つからなくて、黒人のメンバーは白人のおまえたちだけで泊まれと言ってくれたけれど、それはできなくて、みんなでトラックやバスで夜を明かしたものさ」
Duke Ellington's "New World A-Comin'". Carnegie Hall 1955 (Don Shirley, piano)
Traveling While Negro Green Book
映画『グリーンブック』公式サイト


渋谷のイメージフォーラムで強烈な映画を見ました。イ・ジュンイク監督の「金子文子と朴烈」です。「朴烈」と書いて「パクヨル」と読みます。強烈な映画というよりチェ・ヒソさんの演じる金子文子が強烈です。こんな日本女性がいたのか! けれど、何かとても魅力的。近代と現代のはざまでこんな史実があり、こんな人たちがいたとは知りませんでした。
見ながら今は亡き大島渚監督を思う。これは大島渚が撮るべき題材のような気もしてきたのですが、イ・ジュンイク監督のスピルバーグ監督のように正当な演出にエンドロールのとある場面で目頭が熱くなって、落涙してしまう。
時の内務大臣、水野錬太郎を演じるキム・インウさん、ヒールを演じて恐るべき怪演です。在日コリアン3世だそう。この役者さんがいなければ、これほどの緊迫感は出なかったでしょう。
愛は国境を越えるというけれど、金子文子は愛をもって自らの意志で国境や民族を越えて、超えていったのだ。小説家の西村賢太さんの「金子文子と朴烈」への賛を紹介してこの項をしめくくります。
「それぞれの思想とそれぞれの立場により、どのような観かたをしても勝手であるに違いない。ここに描かれた“個”における自由と、他者への愛の崇高さを胸に刻みつけてさえおけば――」
映画『金子文子と朴烈(パクヨル)』公式サイト


仕事帰りにテアトル新宿に寄り、中江裕司監督のドキュメンタリー映画「盆唄」を見ました。ふる里についての映画だと思いました。東日本大震災の被災地、原発事故による帰還困難地域通貨の福島県双葉町の話なのです。静かにじわりと感動しました。
盆踊りって逝ってしまった人たちと一緒に踊る、逝ってしまった人たちのための踊りであるとともに、これから来るものたち、まだ見ぬ子どもたちに思いをはせる、そんな踊りなのですね。「盆唄」を見て、昔、今、これから、ぼくはそんなことも思っているのです。
夏がまたやってきて、祭囃子が聞こえると、ぼくはいつも泣いてしまう。
映画『盆唄』オフィシャルサイト


「飛べ、車いす」という歌を作って歌っているぼくは、この映画は見ておくべきではなかろうかと思い、前田哲監督の「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」を見ました。主演の大泉洋くんがすばらしい演技を見せてくれます。こんな難病患者が近くにいたら嫌だろうなと思いながら、映画を見ているうちに、なんとも愛おしいような友情を大泉洋くん演じる主人公の鹿野靖明さんに感じ始めてしまいます。ラストの後日談には涙があふれ出てしまった。
実話なのだそう。もう亡くなられておられるのだが、鹿野靖明さんの生き方には賛も否もあるだろう。渡辺 一史さんの著した原作の本「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」も読んでみようかな。
映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』公式サイト


ジム・ジャームイッシュ監督の「ダウン・バイ・ロー」が深夜のテレビで放映されていて、初めにちょっと見始めたら、おもしろくて、ついラストまで見てしまった。これをぼくが見たのは、確かに大学生のころの今はなき吉祥寺のバウスシアターかどこかで、音楽好き、洋楽好き、サブカルチャー好きの友だちは、みんな、見ていたように思う。
ジム・ジャームイッシュとヴィム・ヴェンダースとアキ・カウリスマキは、ずっとぼくの大好きな映画監督なのです。学生のころ初めて「ダウン・バイ・ロー」を見たのに比べ、今見た方が趣深く、とてもおもしろく感じられたりして、新鮮。へんなもの、アングラっぽいもの好きな学生さんのぼくは、いかにもわかったふりをしていただけなのかもしれないと、見終わったあと、自嘲してしまった。この前、レンタルDVDで見た戦前の日本映画、山中貞雄監督の「人情紙風船」を思い出したりして、ジム・ジャームイッシュ、ヴィム・ヴェンダース、アキ・カウリスマキの三方は、絶対に松竹系の日本映画に学んでいるな。三人のぼくが思う代表作は、ジム・ジャームイッシュが「ミステリー・トレイン」、ヴィム・ヴェンダースが「パリ、テキサス」、アキ・カウリスマキが「コントラクト・キラー」、齢を重ねた今、再び見てみたい映画です。


ブライアン・シンガー監督の「ボヘミアン・ラプソディ」を見た。
ロックバンド、クイーンのボーカリスト、フレディー・マーキュリーの生涯を追った映画です。フレディー・マーキュリーって、何重ものマイノリティーであったのを知った。そんな彼が1970年代と1980年代に、世界の共通言語だったようでもあるかもしれないロック・ミュージックを選んで、表現をしたことは、必然で導かれたものだったようにも思えた。
クイーンのアルバム「オペラ座の夜」は、ぼくが中学生の時、少ない小遣いを貯めてやっと買って、毎日毎日、中学から帰って来て、聴いたレコードなのです。青春ともまだ呼べないそのころに、ぼくがぼくである限りぼくにはどうしても逃れられない死ぬまで続くかのような孤独ということ発見したようで、そこで出会ったのがロック・ミュージックだったように思う。何度も何度も聴いた。
名曲「ボヘミアン・ラプソディ」をクイーンのメンバーはあんなレコーディングは二度としたくないとインタビューで答えていたのを思い出す。それぐらい、オペラパートのボーカルの重ね録りは熾烈を極める大変さだったそうで、それは映画「ボヘミアン・ラプソディ」に出てくる。
ラストの方のあるシーンでは少しだけ目頭が熱くなる。
バンド経験者にはなるほどと思うシーンがたくさんあって、昔は「ユニット」といわず、「バンド」といい、「リハーサル」とは呼ばず、「練習」といっていたと思う。「バンドは家族だ」というセリフが何度も出てきて、ぼくは昔を思い出して少しぎくりとして、何かがぼくの胸に刺ささるかのようなのだ。
ラストで「ライブ・エイド」のライブシーンになだれ込む。このアフリカの飢餓を救うためのチャリティー・コンサートでミュージシャンはギャラなしで演奏したそう。ボブ・ゲルドフのそっくりさんも出てくる。そして、これまたぼくに近しい世代なら誰もが知っている名曲「伝説のチャンピオン」。昔、ノーベル賞作家の大江健三郎さんが「チャンピオン」のもともとの意味は「誰かのために戦う人」だと言っていたことを思い出したのだった。
「ボヘミアン・ラプソディ」は最高の音楽映画で、劇場で見て、大音量で聴くことをお勧めします。
映画『ボヘミアン・ラプソディ』公式サイト 大ヒット上映中!


昼間ずっと寝ていて、夜、眠れなく、オンデマンド配信で、ピーター・ハイアムズ監督の「2010年」を見ました。スタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」の続編です。
「2001年宇宙の旅」の謎が解き明かされたのかは、解き明かされたかのような、解き明かされていないかのような。モノリスの正体はよく分かりません。
米ソの冷戦を背景にした映画でもあります。未だに対立する核兵器による米ソ対立で、この映画が古くならない世界の現実が悲しい。
ピーター・ハイアムズ監督に「2010年」の映画化を、きみ自身の映画を撮れと、快諾したスタンリー・キューブリックも、この映画のできに満足したのではないでしょうか。ぼくは感動しました。
そして、昔、よく見た夢を思い出したのです。夜なのに明るく、近所の公園で子供たちが遊んでいる夢、不思議な夢でした。これ以上は完全にネタバレですね。口を慎みます。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。


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