えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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岡田斗司夫さんと内田樹さんの対談集「評価と贈与の経済学」がおもしろくて、近所のコメダ珈琲店で一気に読む。そうか、これからは「おせっかい」の時代なのか、みんな、おせっかいをしようぜ、とぼくはこの本から受け取った。そうすれば、世の中、うまくまっていくかもしれないよ。それから、この対談集にも話題としてのぼっている内田樹さんも好きだという小津安二郎監督の映画を見たくなりました。内田さんにならっていうと、小津組の映画はいいのです。








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NHK出版新書から出ている「知の逆転」という本を読みました。吉成真由美さんのアメリカを代表する6人の知性へのインタビュー集です。映画「レーナードの朝」の原作者であるオリバー・サックスの章が一番おもしろかったかな。それから、現代の文明に警鈴を鋭く鳴らすジャレド・ダイアモンドのこんな言葉にもほっとしました。

「人生というのは、星や岩や炭素原子と同じように、ただそこに存在するというだけのことであって、意味というものは持ちあわせていない」

みんな天に召され土に還っていく。それでよし。







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「3・11から考える「この国のかたち」東北学を再建する」という本を読んだ。東北地方をフィールドワークしてきた民俗学者の赤坂憲雄さんが東日本大震災以降に東北の被災地を歩き、書いた本です。

東北の底力とは何だろう、と思いをはせると、赤坂さんは東北の被災地では、一等初めに民俗芸能が次々に復興した、という。人々は瓦礫の中から、踊りや舞い、祭りの衣装を探し出し、避難所で、披露された。そして、北陸の宮澤賢治の童話でも有名な鹿踊り、その供養塔は享保九(一七ニ四)年の建立なのだが、その供養碑には「この世に生きとし生けるものの供養のために、躍りを奉納せよ」と刻まれている、という。鹿踊りが踊られいるかぎり、東北は不滅だし、新しい未来として立つだろう、とぼくは思う。その時、新しい日本が誕生するような気もするのです。

津波の時には人にかまわず勝手に逃げろという「津波てんでんこ」にならなかった東北の人たち。東北ではなく山口の詩人だけど、この本に引用されている金子みすゞの「大漁」という詩を静かにつぶやいてしまう。

朝焼小焼だ
大漁だ
大羽鰮(いわし)の
大漁だ。

浜は祭りの
ようだけど
海のなかでは
何萬(まん)の
鰮のとむらい
するだろう。







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報道・戦争写真を芸術に拮抗するまでに高めたある意味での発明者、発見者であるカメラ・マン、ロバート・キャパの著した第二次世界大戦の従軍記である「ちょっとピンぼけ」を読了した。

キャパの文章って、明るく、軽妙洒脱なところもあって、何か、アルゼンチン生まれのキューバ革命をなしとげ、ボリビアで銃殺された、そして、思い出す本として「モーター・サイクル・ダイアリー」という青春旅行記があるチェ・ゲバラだったり、大正時代の虐殺されたアナーキスト、大杉栄だったり、第ニ次世界大戦で帰らぬ人となった飛行機乗りにして「星の王子さま」の作者、サン・テグジュペリなどを思い出させる。どの人も少年の心を死してもまだ持ち続けるような大人で、死をも恐れない。

キャパもパラシュート部隊の一人としてカメラを持ちながら敵地に降下していったりしたんだよ。けれども、ロバート・キャパはこの本が上梓される2年前の1954年にベトナムで地雷を踏んで帰らぬ人となってしまう。憎むべき戦争によって生かされ、その戦争によって死んだ、もしくは殺されたロバート・キャパは、二十世紀のまぎれもないアイコン(聖像、偶像)の一人だとも思った。








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詩人、佐々木幹郎さんのエッセイ集「瓦礫の下から唄が聴こえる 山小屋便り」を読む。2011年3月11日を前後した数年の間に新聞や雑誌、文芸誌に載せられたエッセイを集めた本。震災の前の穏やかな山小屋の日々とその後の祈りにもどこか通じる決意の日々、詩人、言葉を生業とする佐々木幹郎さんはその言葉が試されていると言う。楽しい山小屋でのブランコ作りやツリー・ハウスを建てる話、シングル・モルト・ウィスキーの故郷、アイラ島の旅の話、津軽三味線の話、山小屋や旅の仲間たち、そして、それらの間に重たい話が折り重ねられる詩人の日常を覗きみた。おもしろかったです。そして、ぎりぎりの問いが、言葉の集まりとなって発せられ、はっと心が動かされた。

ぼくも幹郎さんの山小屋へ行ってみたいな。その時はとっておきの歌を歌うよ。生きている人のためにも、死んでしまった人のためにも、獣たち、鳥たち、伐られた木々や花のためにも。









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「原発、いのち、日本人」というインタビュー集を読む。各界のいろんな人がインタビューで原発のこと、いのちのこと、日本のことを語っています。

いろんなインタビューの中で、例えば、小説家の浅田次郎さんが日本ペンクラブの視察で見たチェルノブイリの灰色のマトリョーシカの話が重く恐ろしくもあった。浅田さんというと三島由紀夫を尊敬する元自衛隊員の小説家。そんな彼の戦時中の児童疎開の話に日本人の劣化が実感される。

その他の人のインタビューも読みつつ、利権とお金がすべてという考え方が日本を狂わしてしまったのかと思う。

最後に出てくる詩人の谷川俊太郎さんのインタビューもおもしろかった。谷川さんは「鉄腕アトム」の歌の作詞家で、アトムの動力は原子力なのです。谷川さんは年をとったアトムを思い浮かべインタビューでこう述懐する。

「今、アトムとかウランちゃんは逆に攻撃されているわけでしょう。昔はあんなに人気があったのに、あの当時は、原子力っていうものは平和利用、すばらしいという時代だったからね。
・・・
今、アトムに「原子力、今もう、ちょっと問題なんだよ」って言っても、あの方、「そうですか」って言って何かにこにこ笑ってそうな」

同席した女優の木内みどりさんはこんなことを言っている。

「私は今日教わりました。やっぱり群れないで、一人で、自分の耳で聞いて、自分の頭で考えて、自分が決めた方に向かって歩いていくことが大切なんですね」

詩人はこうしめくくる。

「一人ひとりがそれをやると、そうとう変わると思うんだけど、みんなやっぱりメディアに左右されちゃうんですね。僕なんか、ずっと一人で家にいたい。デモには行きません。歩くなら一人で歩きたいです」

高名な尊敬すべき詩人に僭越ながらも、デモの中にでも、一人で歩き始めている人もいっぱいいると思いますよ。

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このまえ見た映画「ライフ・オブ・パイ」の原作であるヤン・マーテル著「パイの物語」を読了した。メルヴィルの「白鯨」という小説を思い出した。「パイの物語」も「白鯨」も海洋の物語で百科全書的だと思ったのです。「白鯨」は鯨捕りについてのありとあらゆることが書いてあるとするならば、「パイの物語」は漂流ということについてのありとあらゆることが書かれているような気がした。しかも、一頭のリチャード・パーカーと名づけられたベンガル虎と漂流するのです。そして、謎を残す読後感に、記憶ということは、あったことも、本当はなかったことも、等しく人の人生にとっての真実なのかもしれない、と思い、目眩のようなものも、ぼくは感じたのです。いつか、パイはあのリチャード・パーカーに再びまみえる時が来るような小さな予感を残して本をとじた。








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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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