えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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佐野眞一さんの著した「宮本常一の写真に読む失われた昭和」を読了した。読むと同時に民俗学者、宮本常一の残した101点ものちりばめられた写真をつくづく見てしまう。かの現代日本の写真芸術を代表する森山大道氏も宮本の写真にはかんわない、とこの本の解説で述べている。「苦海浄土」の作者でもある石牟礼道子さんが宮本常一について書いた文がこの本の中で引用されているのだが、それをぼくも書き写す。

「この潮の満ち干きする渚の、おどろくほどの緻密な観察と鮮明な記憶、まのあたりに見ているような平明な描写力。読んでいてふいに胸えぐられる感じになるのは、今はこの列島の海岸線すべてから、氏の書き残されたような渚が消え去ったことに思いいたるからである」

それは日本中を旅したこの民俗学者の残した写真についてもいえる。10,000点以上の写真を残し、それはかげがえいのない日本人の記憶として彼の故郷の地にある山口県の周防大島文化交流センターに展示されているそうだ。いつか見に行きたいものだ。

この本「宮本常一の写真に読む失われた昭和」なのだが、宮本民俗学のかっこうの入り口となるようなものかもしれない。高度成長期に過疎の道をたどる日本の村のために自助自尊をといた宮本常一さんは学者や作家の気質を超えて、もしかして宮澤賢治のような人だったのかもしれない、と思った。失われたのは昭和ではなく日本なのかもしれない。右からは極左と呼ばれ、左から極右と呼ばれていたそうだが、本当だろうか。かっこいなー。怒りすらもともなって宮本常一は自身の死の三年前に述べたそうだ。

「失われるものがすべて不要であり、時代おくれのものであったのだろうか。進歩に対する迷信が、退歩しつつあるものをも進歩と誤解し、時にはそれが人間だけでなく生きとし生けるものを絶滅にさえ向かわしめつつあるのではないかと思うことがある」

そして、ぼくはカメラを持って旅に出たくなりました。


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えいちゃん
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音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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