えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ
登場する主人公は、レスター・ヤング、セロニアス・モンク、バド・パウエル、ベン・ウェブスター、チャールズ・ミンガス、チェト・ベイカー、アート・ペパー。ジャズと呼ばれる音楽の演奏者の人生のシーンを切り取って英国の作家、ジェフ・ダイヤーは短編集「バット・ビューティフル」を編んだのです。その本の翻訳者は日本の世界的作家、村上春樹。時間が錯綜し、悪夢が良き夢となるのを描いているかのようなこの小説は詩的で素敵でした。ジェフの自由な文体の文章はジャズの自由をミュージシャンの人生の力をかりて追い求める。レスター・ヤングを主人公にした「楽器が宙を飛びたいと望むなら」から一節を引用します。
-もう死んでしまっている。あっちからここまで光がやって来るのにとんでもなく時間がかかるから、光が届いた頃には、星なんてみんななくなっている。燃え尽きている。お前が見てるのはもう存在していないものなんだよ、レスター。現実にそこにあるものは、お前にはまだ見られないのさ。
内田樹さんの最新の著である「呪いの時代」を読んだ。前著「日本辺境論」もおもしろかったけれど、この「呪いの時代」はその前著を更に発展させて、震災と原発事故を踏まえ、交換経済から贈与経済を説き、他者への、そして、自分への呪いから解き放たれようというポジティブなメッセージに共感した。例えば、この著にはユダヤ神学者のエマニュエル・レヴィナスについて言及しているのだけど、それを引用させてもらいます。
「神が人間を創造したのだとすれば、人間は神の威徳と全能にふさわしい存在でなければならない。「神の威徳と全能にふさわしい存在」とはどのようなものでしょうか。これについてはエマニュエル・レヴィナスがきっぱりとこう書いています。「神の支援抜きで、地上に公正で平和な社会を構築しうるもの」、それが神が創造するだけの甲斐のある人間、神でなければ創造できない人間です」
なんというポジティブな言葉なのだろう。このレヴィナスの言葉は、ナチスの虐殺によって精神的にも壊滅状態にあった、第2次世界大戦後のヨーロッパのユダヤ人たちを強く勇気づけ、方向づけた、という。
ぼくはこの本を読んで、ローカルなものがいろんな世界で復権することによって、世界は一つになれるのではないかなどと何故か思いをめぐらした。それがもう一つのぼくたちのオルタナティブのグローバリゼーションなのかもしれない。
内田樹さんのホームページ「内田樹の研究室」
http://blog.tatsuru.com/
座禅ってどうするのかな、と思い、コンビニで偶然に見かけて読んだ曹洞宗のお坊さん、中野東禅さんの著した「心が大きくなる座禅のすすめ」を読みました。
実践的な座禅のいろんな仕方がたくさん書いてあったのだけど、禅のエッセンスを絵で表現した十牛図の解説も載せられていた。その十牛図の解説の中で八番目の牛の絵に「人牛倶亡」というのがあるのだけど、無があれば有もあって、空とはそれらを超える、というようなことが書かれているのだが、よくわからん。悟ろうとすれば、悟れず、わかろうとする心はわかることはない、と言われても、わからないので、とにかく座れということでしょうか。そこで、キッチンタイマーに10分をセットして座ってみると、雑念が次から次へとわいて、おもしろおかし。
和尚さん、雪がふっていますよ。おやすみなさいZZZzzz.....
「禅マインド ビギナーズ・マインド」という本を読んだ。これは北米に渡り、禅と仏教を広めた曹洞宗のお坊さんである鈴木俊隆さんの法話を本にしたもので、スティーブ・ジョブスも愛読したという。企業家のスティーブ・ジョブスが愛読したのなら、詩人のアレン・ギンズバークや小説家のジャック・ケラワックも愛読したのだろうか、と思い、いや、この本が出版されたのは1970年であるらしいから、ケラワックは既に没していたのに気づいた。ジム・モリソン以外のドアーズのメンバーが通った禅の道場とはこの鈴木さんのお寺、桑港寺だったのかしれない、と想像をたくましくする。そして、この本の出版後、1971年に鈴木俊隆さんも亡くなられた。
この「禅マインド ビギナーズ・マインド」には、禅では世界をどのように見て、どうとらえるのか、その精髄がやさしい言葉で語られていて、まず初めに読むようないい意味で教科書的な一冊となっている。何度でも読みたくなってくる。ところで、鈴木俊隆さんとはどのような人だったのだろう。この本の訳者、松永太郎さんのあとがきから引用させてもらいます。
「「海の向こうで、戦争しているのに、私たちは、ここでなにをしているのですか?」
老師は、聞き取れなかったので、弟子のジョン・スタイナーがもう一度繰り返しました。彼は、カリフォルニア大学バークレー校で反戦運動に参加していました。その日、マーケット・ストリートでは反戦のデモが予定されていました。
「海の向こうで戦争しているのに、なぜ、ここでみな集まっているのですか?」老師は微笑み、ジョンも微笑みました。
突然、猫がねずみを襲うよりもすばやく、老師は、上座から飛び降りて、ジョンの後ろに回り、警策(眠気をさまし、怠りを励ます木[主に樫]の棒)を伸ばして、大声で「合掌!」といいました。それから何度もジョンを打ち、叫びました。「愚か者。愚か者。時間を無駄にしておる」彼は何度もジョンを打ったので、ジョンは前のめりに倒れてしまいました。「夢を見ているのだ! 夢を見ているのだ! なんの夢を見ているのだ!?」
師が声を荒げたことを一度も聞いたことのなかった聴衆は、驚愕のあまり口もきけませんでした。師は、息切れして、ほとんど聞き取れない声でいいました。「怒っているわけではない。ただ・・・・・・」息をついでから「自分の靴の紐も結べないのに、なにをしようというのだ」
あとになって師は、ジョンに乱暴だったことを詫びたあと、「戦争中の日本の体験を思い出してな」といいました。ジョンは師の目に苦痛の色を見ました。袈裟の長い裾が、細い腕にかかっていて、ジョンは師の老齢、かぼそさ、その慈悲と苦悩に打たれたのです。」
禅とは何なのだろう。仏教とな何なのだろう。悟りとは何なのだろう。和尚、とにかく座ってみろということでしょうか。
日本の現代文学には津島佑子がいるではないか、と思う。ぼくが今、読み終えた小説「葦舟、飛んだ」は津島佑子さんが2009年から2010年まで毎日新聞に連載していた小説で重たいテーマを平易になさまざまな文体の言葉で紡ぎ、和声(ハーモニー)で歌いあげた傑作でした。テーマは九章目の「八 森へ行きましょう」の中に出てくるこんな言葉で言い表されていて、一箇所だけを引用させていただきます。
戦後、ウデヘ人が狩りに出てもさっぱり獲物が撮れなくなった。そんなことははじめてだった。
「戦争でたくさんの人が血を流したから、悪い神が憑いたらしいとの不安がひろがった。それでシャーマンに依頼して、天の神に祈りを捧げることにした。
・・・・・・地上に生きる人間のかぎりない愚かしさをお許しください。
そして、戦争で死んだ無数の気の毒な人たちの魂をお救いください。私たちはもう決して悪い神に近づきません。
ですから、私たち人間を哀れみ、どうか動物の賜物をお恵みください。
物語の内容はこれからの読者のためにやはり伏せておきます。そういえば、津島さんって太宰治の娘さんなのでした。親子二代、大小説家。そして、津島さんの小説にはいつも祈りのようなものがあって、読み終わったあとに静かな平和すら感じてしまう。
ラップやヒップホップが好きでよく聴いていたことがある。どんなのを聴いていたのかというと、Dr. Dre、Snoops Doggie Dog、Naughty By Nature、A Tribe Called Quest、Geto Boys、Boogie Down Productionなどなど。それらの音楽が本格的にメインストリームに昇りきったころに、ぼくはラップやヒップホップに興味を無くしたような気もしていたのだけど、裏通りで本物のヒップホップをする人たちはまだいるだろう。ラップにサンプリングループがほとんど使われなくなったころ、ぼくは聞かなくなってしまった。Dr. DreもNaughty By NatureもA Tribe Called QuestもGeto Boysも、ぼくは六本木や渋谷や水道橋でそのギグを生で見ているのだった。ぼくはそのころラップやヒップホップを今を生きるブルーズのような音楽だと感じて、聴いていた。
などと、思いだし書いてしまったのだけど、今だに歌い続けている日本のベテラン・ヒップホッパー、ECDの「何にもしないで生きていらんねぇ」を読んだのです。おもしろくて、一気に読めてしまった。マイナーな日本のロックのレコードへの感想やら、本の感想、万引きを繰り返す少年を主人公にした小説、アルコール中毒のこと、ヒップホップ観やラップ観や日記のようなものが、並べられて本にされた文集なのだった。この本を読んで、古友だちに本当にに久しぶりに出会ったようなうれしさすら感じたのだった。熱くて、頭がいかれていて、けでど、めっぽう本気で、正気でもある、そんな友だち。おやすみZZZzzz.....
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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