えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ
51歳のラッパーのお父さんと27歳の写真家のお母さん、その間に2歳と0歳の子ども2人と猫3匹の日記をお母さんが綴った、そのような1年間の日記を読んだ。毎日の出費家計簿付きで、お父さんの月給は16万5千円で家賃11万円だそうだ。その本とは植本一子さんが著した「働けECD わたしの育児混沌記」。この本には貧困を越えての家族の愛の物語がいっぱいつまっています。そして、ページの間にさしはさまった一子さんのお父さんや子どもたち、猫ちゃんをとらえた写真があまりに美しくて素敵です。それから、脱原発のデモで知ったのだけどこのECDとかRankin' Taxiとかのベテランがとんがったまんま流されずにインデペンデントに音楽をつづけているのを知って、とってもうれしいです。
しかし、育児って大変そうだな。
植本一子さんのブログ
http://hatarakecd.exblog.jp/
大杉栄の「日本脱出記」という本を読む。大正時代や戦前の昭和がリバイバルしているのだろうか。数年前に小林多喜二の「蟹工船」ブームがあったっけ。大杉栄は大正時代の無政府主義者でこの本を書いた一年後、憲兵隊によって裁判もなく殺されてしまう。没年38歳の前年、ベルリンでの無政府主義者の大会に出席すべく、日本からヨーロッパに密航するのを記したのがこの本。この本を読むと当時の世界の様子が生々しく伝わってきます。ロシア革命が進行中で、フランス革命の起こった伝統的には自由の地、大杉の滞在したパリでも、無政府主義者や共産主義者への弾圧は吹き荒れていたのだなー。しかしながら、この本には政治的であったり、思想的であったりすることはほとんど出てこない。自由な旅行記なのです。そういえば、チェ・ゲバラがチェ・ゲバラになる前にアーネスト・ゲバラであったころに書いた「モーター・サイクル・ダイアリー」を思い起こさせる。「モーター・サイクル・ダイアリー」は無名のころのゲバラの本だけど、大杉栄はこのころ、天下の無政府主義者として全国に知られていて、官憲の監視下にあった。大杉栄とともに殺された伊藤野枝の生涯を描いた瀬戸内晴美(のちに寂聴)の「美は乱調にあり」という小説も良かったとうっすら記憶している。また読んでみようかなー。あと、大杉栄を殺した当時の陸軍大尉、甘粕正彦はこの後、満州に渡り、満州国建設で一役を担い、満州映画協会の理事に納まり、第二次世界大戦の終戦時に自殺。満州映画協会では李香蘭(山口淑子さん)らを主役に国策映画を作る。この「日本脱出記」は、激動の不幸な日本の現代史に突入する前夜だったのだろうか。さて、「日本脱出記」には次のような一節がある。
「そして、パパは? とだれかに聞かれても黙って返事をしないか、あるいはなにかほかのことを言ってごまかしておいて、ときどき夜になるとママとだけそっと何気なしのパパのうわさをしているそうだ。ぼくはこの魔子に電報を打とうと思った。そしてテーブルに向かって、いろいろ簡単な文句を考えては書きつけてみた。が、どうしても安あがりになりそうな電文ができない。そしてそのいろいろ書きつけたものの中から、次のような変なものができあがった。
魔子よ、魔子
パパは今
世界に名高い
パリの牢やラ・サンテに
だが、魔子よ、心配するな
西洋料理のご馳走たべて
チヨコレイトなめて
葉巻スパスパ ソファの上に。
そしてこの
牢やのおかげで
喜べ、魔子よ
パパはすぐ帰る。
おみやげどっさり、うんとこしょ
お菓子におべべにキスにキス
踊って待てよ
待てよ、魔子、魔子」
大杉栄さん、あなたのころは、無政府主義やら、共産主義やらが世界を動かす最新の思想の武器だったのでしょう。けれど、今、そんなものは無くなってしまったのかもしれません。あなたの自由を求める心とやさしさに感じます。
ロバート・ジョンスンという人のブルースが好きになったなら、日暮泰文さんの書いた「ロバート・ジョンソンを読む アメリカ南部が生んだブルース超人」という本を読むがいい。この本の著者、日暮泰文さんは故中村とうよう氏とともに、最も初期、1,970年ごろブルースという音楽を紹介した張本人なのらしい。そして、この本の内容では、ロバート・ジョンスンに墓場でギターを教えたアイク・ジマーマンという人がいたと、伝える。何とも。ビザール(奇っ怪)な魅力ある話だなぁ。この本に書かれているのはロバートを巡るアメリカ南部紀行であり、夢想の入り混じった物語のようでもある。そして、この本を読み終わったあと、この本の内容はあえてすべて忘れて、ロバート・ジョンスンのブルースを聴きたくなるのです。そして、また、ロバートのブルースを聴き終わったあと、この本に手を伸ばしたくなる。
ぼくの言葉としては、ロバートの歌は、聴くたびにずれていき、言葉から解き放たれ、はみ出し、両義的に引き裂かれ、だから、美しい。
本好きのぼくですが、村上春樹の小説はほとんど読んだことがなかった。東日本の地震を数字に表われない何かも知りたく、そういう災害の何かを思ったり、感じたりしたくなって、ふと物語を読みたくなり、阪神大震災の後に「震災のあとで」と題され書かれた短篇集を読んでみた。とてもおもしろくて、共感するところがたくさんあった。この連作集は「神の子どもたちはみな踊る」と名前を変えて、単行本として発刊され、文庫本ともなった。そのタイトルはジャズ好きの春樹さんいかにもというものだけど、その一篇はなんとも言えない苦くて甘い読後感を残す。春樹さん著の「ポートレイト・イン・ジャズ」も大好きな一冊だったことを思い出す。
そうだ、イスラエルやカタルーニャでの受賞の時の村上春樹のスピーチにぼくはまっとうなシンパシーすらおぼえていたのだった。放射能漏れつづける福島の原子発電所に「かえるくん、東京を救う」に登場する「かえるくん」が今、悪と戦っているのではないかという奇妙かも知れない思い描きすらぼくは心にしたのです。
茂木健一郎さん編集の「わたしの3・11 あの日から始まる日」という本を読み終わった。各界の有名人が書き下ろした震災の起こった3月11日についての文章が集められた本。雨宮処凛さんの文章にはぼくとつながる感じ方みたいなのがあって共感を覚えたもした。今でも「3・11」と言われ始めた2011年3月11日の震災は続いているような気がするし、実際そうなんだとぼくは言いたい。ふと、ぼくの死んだ後に生まれたり生きて行ったりする人たち、子供たちのことを思って、今を生きていかなきゃいけないような気がしてきました。そんな意味があるのかも知れず、この本に納められた高橋源一郎さんの「レッツゴー、いいことあるさ」は小さな傑作かもしれません。おやずみZZZzzz.....
音楽について書いた本を読むのが好きである。雑誌とかも好きなのだが、このところ読み応えのある雑誌がなくなってしまった。
昔、ティーン・エイジャーのころミュージック・マガジンの前身であるニュー・ミュージック・マガジンのフィル・オクスに関する記事など、貪るように読んで刺激を受けた。フィル・オクスとは、アメリカに希望があるとするならば、エルヴィスがチェ・ゲバラになれるかどうかにかかっているんだ、というような歌を歌っていて、エルヴィスが死んだ、その年に自殺したフォーク・シンガーで、もう一人の日のあたらないボブ・ディランをも呼ばれた人であった。
ロックについて書かれたグリル・マーカスの名著「ミステリー・トレイン―ロック音楽にみるアメリカ像」は反逆や放浪こそがアメリカ的であるとしてスライ・アンド・ファミリーストーンやザ・バンド、ロバート・ジョンソンを取り上げ、ロック・ミュージックにこそそれが表れていると刺激的に書かれていたのだけど、その本はわがバンド、チェーズの最も初期のギタリスト、イノウエくんの病気見舞いに、昔、あげてしまった。もう一回読んでみたいなぁ。
雑誌に関して言えば、今はもう何もおもしろいものは無いと思っていたのだけど、近所の中古CD・レーコド屋さん、ディスク・ユニオンでおもしろそうな雑誌があって、買ってしまって、読んでみて、とてもおもしろかったのが、「音盤時代」という雑誌の創刊準備号。音楽好きの喜びは音楽を自由に語ることにもあるというような内容を追求した雑誌であった。ぼくがファンである物書き、湯浅学さんの「抵抗の音楽史~レコード倫理とな何か」に登場するミュージシャンはボブ・ディラン、ザ・バンド、フランク・ザッパ、じゃがたの江戸アケミ。妹沢奈美さんの「ロックとワーキングクラスとの蜜月の、断絶と復縁」では労働者階級に再び戻りつつある反抗のロックン・ロールが語られて興味深い。ローリング・ストーンズやクラッシュのジョー・ストラマーは違うのだけど、ビートルズもセックス・ピストルズもポール・ウェラーもポーグスも大英帝国の階級社会の中でワーキング・クラスなのであるのだよ。
久々におもしろい雑誌だったのでこんな文章を書いてしまったのです。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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