えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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「震災以降 終わらない3・11-3年目の報告」を読了する。総勢24人の人からの震災のその後のレポート。一つのレポートが2段組み4頁となっており、総頁数の奥付の含めて200頁で、もりだくさんでありながら、一つ一つ内容はよく真摯に掘り下げられていて、深い。

その中で、福島県郡山市に在住している安積咲さんの文「物語化された「福島」への抵抗」が、表現するもののはしくれのようなぼくのような人間にとっては、ぶすりと胸に刺さるような内容であった。物語化されたとは何だろうか、とぼくは考えこんでしまう。

ここでいう物語ということから、思い浮かべられるのは、例えば、大江健三郎氏の「反核」の物語でもあるだろうし、その裏側か、向こう側かには、三島由紀夫の「日本神国」の物語もあるような気がする。アメリカの民主主義の物語、ソビエトの共産主義の物語、イスラムの聖戦の物語、世界に物語はあふれていて、人を鼓舞させもし、多くは傷つけてきた。そのような物語に抵抗し、地に足をつけて、「福島」ではなしに、地元を復興させたい、と安積咲さんは、書いておられるようなのだ。

そうか、けれども、東北というと、敗れたものの物語でもある奥羽越列藩同盟の歴史のようなもう一つの物語も懐に抱いてもいるのではなかろうか。だから、ぼくは、安積咲さんの論に深く頷きつつも、物語こそは、力なきぼくたちについに残された、物語を育む想像力とともにある、武器なのではなかろうか、とも思ってしまう。そして、その物語とは、歌とも置き換えても良い。確かに、何々主義というような大きな物語、大きな歌には、つねに裏切られてきた、ということも確かにそうなのだけれども、ぼくはこんなふうに思いいたる。今、現在のホメーロスたちは散り散りながら、むしろ、小さな歌を歌っているのではなかろうか。この本に登場するいろんな東北の人たちのように。

ぼくはその昔、何度も東北を列車の旅をしたことがあったけれど、再び、そんな旅に出たくもなった。それは、この本に書かれていることに、小さな歌と小さな物語、もしくは、希望のような何かが芽吹きつつあるよう感じたから。

地に足をつけ、ありのままを見て、想像力を働かせ、夢見るように、小さな歌を歌う。おやすみ...ZZZzzz.....






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夏目漱石の「坑夫」を読了。漱石による地獄巡り小説。舞台は鉱毒事件の足尾鉱山。鉱毒による谷中村強制廃村1906年の2年後の発表。自死を望む主人公の冷徹な心理小説で漱石が言いたかったことは如何に。歴史はどこでも、いつでも繰り返しているのでしょうか。









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細野晴臣さんの著した「HOSONO百景 いつか夢に見た音の旅」をおもしろくて一気読みしました。今だにこの偉大なポップニュージックの大家の3枚のトロピカル・アルバム「トロピカル・ダンディー」、「泰安洋行」、「はらいそ」はぼくの座右の名盤であるのだけど、その細野さんの昨今のインタビューからの聞き書き集というような内容の本であった。

こいういう本は困っちゃいますね。というのも、紹介されているいろんなCDを片っ端から聴きたくなってしまって、散財の元になってしまうじゃないですか、と笑いながら、ぼくは細野さんに抗議とかしたい。

この本の中に最近の細野さんの写真もあるのだけど、恐慌期のアメリカを意識しているらしいよれよれの厚手のスーツとハンチング帽で東京の下町を徘徊する姿は洋風の永井荷風のようでもあり、遊び人の渋い趣がありますな。こんな好好爺、一歩手前にぼくもなりたいものだよ。









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東アジアのいろんなところに隣人への憎悪や軽蔑を煽る人たちが一杯いるような世界になってしまって、一人ぼっちになったとしても、そんな人たちにくみしたくないと思い、悪魔祓いのような気持ちで「東学農民戦争と日本」という本を読み始めた。けれど、自らの加害の歴史というのは、読んでいて、とても苦しいです。読了まであと少し。

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連野城太郎さんの著した「GOTTA!忌野清志郎」を読んだ。この本は1988年に出された今は絶版になっている本で、この本が出された時は、ぼくの近くにいた少なからぬRCサクセションのファンの女の子たちに驚きとショック、センセーションのようなものを与えていた。そんな女の子たちにこの本の内容を居酒屋とか喫茶店で聞かせられていて、その内容をほぼ知っているのに、ぼくは今までなぜか本自体は未読であったのだ。

おもしろくて一気読み。忌野清志郎が山口冨士夫やジョン・レノンのようにロックン・ロール・エイジのみなしごであったことは、よくわかる。この本に引用された湯川れい子さんの言葉をぼくも引用して、今夜は続きとしての1989年からの「GOTTA!忌野清志郎」をぼくの心に書いてみることにします。

「清志郎さま、貴方はヒョーヒョーと奴凧みたいに風を受けながら、何者もおもねることもなく、河を渡り、海を渡り、フリー・ウェイを走って、いつまでも貴方のまま誠実に、優しく、照れながら、率直に、見えない風と戦って生きていらっしゃる。繊細で大胆で、言い訳をしない詞が好きです。誰にも似ていない声が好きです。老成せずに一生きらめき続けるだろう、若い精神が好きです。狂えるほどに均衡の取れたその精神のバランスと公平さが好きです」






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湯浅学さんの著した「ボブ・ディラン ロックの精霊」を読了した。ぼくは湯浅学さんの大ファンでして、その彼がなんと岩波新書の赤本に、ボブ・ディランの音楽人生について書き起こした入門篇のような一冊なのでした。ウッディー・ガスリーに憧れた異端のフォーク・シンガーとして出発し、今では毎年、ノーベル賞を噂される偉大な芸術家の全貌がその人生に即して平易に書かれていて、ボブ・ディランについて何か読みたいと思ったならば、まず初めにお薦めできるような新書です。さて、ボブ・ディランの音楽とは何なのだろうと考え、この本からボブ・ディラン自身の言葉を引用しよう。

「わたしが歌うフォークソングには、気楽なところはない。
わたし自身にとっても、歌は軽い娯楽ではなく、もっと重要なものだった。歌とは、異なる現実の認識へ―異なる国、自由で公平な国へ―導いてくれる道標だった」

あくまでもぼくの極私的に好きなボブ・ディランの3枚のアルバムを紹介し、祝、来日。

The Freewheelin'

Live 1966

Dylan & the Dead









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最近、本をよく読むなぁ。昨日、読了したのはいとうせいこうさんの「想像ラジオ」につづく最新刊「存在しない小説」。

世界各地の存在しない作家の存在しない六編の小説を訳し、いとうせいこうさんが編集し、一篇一篇に解説がついているという本なのだが、それらのすべてはいとうせいこうさんが著している、というややこしい成り立ちの本であった。柄谷行人かリービ英雄か誰か、この本の一つの読み解きをやさしくしてくれまいか?

世界各地を舞台にしているからか、昔見たジム・ジャームッシュ監督の短編映画集「ナイト・オン・ザ・プラネット」という映画を思い出した。六編の全ての文体を使い分けつつ、「存在しない小説」というテーマを押し出してくるいとうせいこうは天才的なところがあるな。

ぼくの一番の好きなのは「あたし」と題された、クアラルンプールでチャイナタウンにまぎれこんだ少女の一人称で書かれたヒューマニティあふれる一篇なのだけれど、その他の五篇にも現代の小説ならでは想像力が横溢していて、おもしろい。








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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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