えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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東アジアのいろんなところに隣人への憎悪や軽蔑を煽る人たちが一杯いるような世界になってしまって、一人ぼっちになったとしても、そんな人たちにくみしたくないと思い、悪魔祓いのような気持ちで「東学農民戦争と日本」という本を読み始めた。けれど、自らの加害の歴史というのは、読んでいて、とても苦しいです。読了まであと少し。

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連野城太郎さんの著した「GOTTA!忌野清志郎」を読んだ。この本は1988年に出された今は絶版になっている本で、この本が出された時は、ぼくの近くにいた少なからぬRCサクセションのファンの女の子たちに驚きとショック、センセーションのようなものを与えていた。そんな女の子たちにこの本の内容を居酒屋とか喫茶店で聞かせられていて、その内容をほぼ知っているのに、ぼくは今までなぜか本自体は未読であったのだ。

おもしろくて一気読み。忌野清志郎が山口冨士夫やジョン・レノンのようにロックン・ロール・エイジのみなしごであったことは、よくわかる。この本に引用された湯川れい子さんの言葉をぼくも引用して、今夜は続きとしての1989年からの「GOTTA!忌野清志郎」をぼくの心に書いてみることにします。

「清志郎さま、貴方はヒョーヒョーと奴凧みたいに風を受けながら、何者もおもねることもなく、河を渡り、海を渡り、フリー・ウェイを走って、いつまでも貴方のまま誠実に、優しく、照れながら、率直に、見えない風と戦って生きていらっしゃる。繊細で大胆で、言い訳をしない詞が好きです。誰にも似ていない声が好きです。老成せずに一生きらめき続けるだろう、若い精神が好きです。狂えるほどに均衡の取れたその精神のバランスと公平さが好きです」






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湯浅学さんの著した「ボブ・ディラン ロックの精霊」を読了した。ぼくは湯浅学さんの大ファンでして、その彼がなんと岩波新書の赤本に、ボブ・ディランの音楽人生について書き起こした入門篇のような一冊なのでした。ウッディー・ガスリーに憧れた異端のフォーク・シンガーとして出発し、今では毎年、ノーベル賞を噂される偉大な芸術家の全貌がその人生に即して平易に書かれていて、ボブ・ディランについて何か読みたいと思ったならば、まず初めにお薦めできるような新書です。さて、ボブ・ディランの音楽とは何なのだろうと考え、この本からボブ・ディラン自身の言葉を引用しよう。

「わたしが歌うフォークソングには、気楽なところはない。
わたし自身にとっても、歌は軽い娯楽ではなく、もっと重要なものだった。歌とは、異なる現実の認識へ―異なる国、自由で公平な国へ―導いてくれる道標だった」

あくまでもぼくの極私的に好きなボブ・ディランの3枚のアルバムを紹介し、祝、来日。

The Freewheelin'

Live 1966

Dylan & the Dead









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最近、本をよく読むなぁ。昨日、読了したのはいとうせいこうさんの「想像ラジオ」につづく最新刊「存在しない小説」。

世界各地の存在しない作家の存在しない六編の小説を訳し、いとうせいこうさんが編集し、一篇一篇に解説がついているという本なのだが、それらのすべてはいとうせいこうさんが著している、というややこしい成り立ちの本であった。柄谷行人かリービ英雄か誰か、この本の一つの読み解きをやさしくしてくれまいか?

世界各地を舞台にしているからか、昔見たジム・ジャームッシュ監督の短編映画集「ナイト・オン・ザ・プラネット」という映画を思い出した。六編の全ての文体を使い分けつつ、「存在しない小説」というテーマを押し出してくるいとうせいこうは天才的なところがあるな。

ぼくの一番の好きなのは「あたし」と題された、クアラルンプールでチャイナタウンにまぎれこんだ少女の一人称で書かれたヒューマニティあふれる一篇なのだけれど、その他の五篇にも現代の小説ならでは想像力が横溢していて、おもしろい。








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いわゆる在日の今では重鎮の詩人、金時鐘さんの「猪飼野詩集」が岩波文庫で出ているのを本屋で見て、即、買ってしまい読んでいる。「金時鐘」と書いて「キムシジョン」と読むのだけれど、この詩人の詩にブルーズを感じてしまう。この詩集の中の「見えない町」から引用してみます。

「どうだ、来てみないか?
もちろん 標識ってなものはありゃしない
たぐってくるのが 条件だ。
名前など
いつだったか。
寄ってたかって 消しちまった。
それで(猪飼野)は 心のうちさ。
逐われて宿った 意趣ではなく
消されて居直った 呼び名でないんだ。
とりかえようが 塗りつぶそうが
猪飼野は
イカイノさ
鼻がきかにゃ 来りゃせんよ」

ロバート・ジョンソンが歌い、幾世代にも歌い継がれてきたブルーズ・ナンバー「スウィート・ホーム・シカゴ」みたいだな、と思う。

この詩に登場する猪飼野は何であるのかと問いてみる時、ぼくがこの詩人を知ったきっかけである作家、中上健次の言う「路地」ということを思い浮かべてしまう。中上健次の口癖で有名な言葉があって、酔っ払って機嫌のいいときの中上は、路地はどこにでもある、と繰り返し言っていたそうだ。多分、路地は、ロンドンのブライトンにあり、マンハッタンのブルックリンならぬクルックリンにあり、シカゴのウェストサイドにあって、そして、猪飼野もその路地なのだ。

この詩集は、大病からの病み上がりの金時鐘さんが朝鮮総連から裏切り者、畢竟、民族虚無主義者、半組織分子の烙印を押され、猪飼野の地を追われ、結婚したての奥さんとともに引っ越しにつぐ引っ越しの放浪生活のような状態の時に書かれたのだという。その時に絶望の向こう側の詩人の言葉からブルーズマンの歌うブルーズのようなヒューマニティが輝きはじめたのではないかしら。







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ダンプの運転手の生粋の労働者階級のイギリス人と結婚し、ロンドンの郊外、ブライトンの公営住宅に居をかまえ、保育士をしておられるブレイディみかこさんの著したエッセイ集「アナキズム・イン・ザ・UK 壊れた英国とパンク保育士奮闘記」を読む。

今、英国はすごいことになっていて、イギリスの一般新聞紙、ガーディアンではそれを"Broken Britain"と呼んでいるらしいのだが、とても興味深く、いっきに読了してしまった。ルポルタージュされているのは、ロンドンでの暴動のこと、最低賃金を下げるな、との要求でのゴミ回収スタッフのストによるゴミだらけになった街、保守党政権の労働者階級への締め付け、サッチャー元首相死去時の労働者階級の町でのどんちゃん騒ぎの祝宴、東洋系、アラブ系、アフリカ系への差別、下層階級のやんちゃを通りすぎてあまりに粗暴すぎる幼児たち、Working ClassとUnder Class、未婚の十代の母たち、もういろいろ。救いにない話の中に人間の善が瞬間に輝き、そんな時の筆致に、無表情なごみどもの集まりのような小田急線の電車の中で読んでいて、目頭が熱くなったことが何度もある。

ロンドンはなんだかんだでなんと自由なんだろう。ドイツ人のカール・マルクスはロンドンで執筆活動を続ける理由を尋ねられて、ここが世界で一番、自由にものが考えられて、自由に発表できる場所だからだ、と答えたという。今でもそうなのかもしれない。奇っ怪なオブラートに包まれたかのようなこの日本の空気の中にいて、そう思ってしまう。けれど、日本も少し変わってきたようだ。

ローリング・ストーンズやクラッシュは金持ち貴族の左翼趣味であったのだろうか? 本当の労働者階級、下層の飢えたガキどもの歌はビートルズやセックス・ピストルなのかもしれない。おれはどっちも好きだが、ブレイディみかこさんは断然ピストルズだと言う。その彼女の"God Save the Queen"の訳を引用して、ブリティッシュ・ロック・ファンと自由を求むすべての人にこの本を強力にプッシュします。

「神よ、女王陛下を守り給え。
なんつったって、観光客はマネーだからな。
俺らの君主様は
イメージとは違うんだけどよ。

神よ、歴史を守り給え。
あいつらのキチガイじみたパレードを。
おお神よ、どうかご慈悲を。
全ての犯罪は償われたのだ。

未来が無い時に、
罪なんてあるわきゃねえだろ。
俺たちは花々だ。ゴミ箱の中の。
俺たちは毒だ。あんたの人間機械の中の
俺たちが未来だ。
君たちが未来なんだ」

ブレイディみかこさんのブログ
http://blog.livedoor.jp/mikako0607jp/





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子どもたちのヒーロー「アンパンマン」で有名なやなせたかしさんの自伝「アンパンマンの遺書」を読了した。走馬灯のように昭和を細く長く生き、昨年、逝ってしまったやなせさんの序破急の人生を読んで、なんて長い序なのだろう、と思った。その細い序の糸はなんとも長く曲がりくねってもいたけれど、一度もこんがらがることはなっかったんだね。おしまいの方に書かれていた奥様とのエピソードにぼくの胸はきゅんとしました。






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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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