えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ
保阪正康さんの著した『天皇五代と戦争 -平成の天皇皇后は皇居で何を語ったか-』を読了した。この前に読んだ保坂さんの『平成の天皇皇后両陛下大いに語る』に続く待望の書である。
昭和天皇について、もっとも頁数を割きつつ、その戦争責任についても筆を緩めることもなく書かれ、明治、大正、昭和、平成、令和と五代に渡り、「五代の天皇が「戦争」に出合うのに、これほどの恐怖感を持っていることを私たちは理解すべきたと思う」と保坂さんは書いている。そして、平和の祈り、その詳細は本書を読んでみてください。故・半藤一利さんらが率いた「歴史探偵団」の活動や精神を受け継ぐ保阪正康さんの面目躍如たる本書なのです。
この前、保坂さんは某テレビ番組に出演し、五代の天皇が思ってきた戦争嫌悪と築いてきた平和への祈念を反故するものとして、近く国会で決議されてしまった皇室典範改変について憤懣の怒りを表していた。その怒りをぼくも共有する。伝統ということでいえば、本書にもある常に平成天皇と真摯に寄り添い続けてこられた美智子様の言葉を引用したく、これをもって『天皇五代と戦争』の感想を締めくくらせていただきます。
「伝統がそれぞれの時代に息づいて存在し続けるよう、各時代の天皇が願われ、御心をくだいていらしたのではないでしょうか。きっと、どの時代にも新しい風があり、また、どの時代の新しい風も、それに先立つ時代なしには生まれ得なかったのではないかと感じています。」
朝日新聞出版 最新刊行物:書籍:天皇五代と戦争
トーマス・ケイル監督の『モアナと伝説の海』を見ました。こういう夢物語みたいな冒険とかファンタジー、ミュージカルのディズニーの映画は好きなのです。
ろころで、モータウンレコードのベリー・ゴーディは映画制作がしたくて、会社をデトロイトからロサンゼルスに移したのだけれど、今のディズニーの映画みたいなのを作りたかったのではないか、とぼくは推測してしまいます。
『モアナと伝説の海』にもどり、大胆で大げさなVFXが迫力満点で面白い。主人公のモアナのお父さんに相撲取りの小錦や武蔵丸を思い出してしまいます。そして、王道のストーリーと大団円。
スタジオジブリの『もののけ姫』を連想してしまうのは、この『モアナと伝説の海』が先行する名作をどこか真似しているとかではなく、人の心を打つ神話、伝説、物語が心理学者のユングのいうところの世界中の人びとの心の奥で地下茎によってつながってのことだろうとも思います。ぼくの心も確かに何か打たれるものがあったのであります。
実写映画『モアナと伝説の海』公式サイト(大ヒット上映中!)
及川啓監督のいろいろと物議をかもしているという『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』を見ました。原作と脚本はイラストレーターのナガノさん。観客席のほぼ半分を埋めるのは、小学生や中学生、お父さん、お母さんに連れられた子どもたち。
前半はガロに掲載されていた漫画のようだとも思いました。少し眠くなったりします。なるほど、今のご時世、ガロが無くなった今、このような表現者はインターネットに発表の場を求めるのか、などと考えたぼくは浅い思慮、したり顔の間違いでした。
後半の、特にラストの展開が驚くべき凄さで、善悪を超えているかのよう。ぼくは武田泰淳の小説「ひかりごけ」を思い出したりしました。賛否両論をこの映画を見た人と議論したくなるような不思議な怪作であります。
『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』公式サイト
七月二十八日、上野鈴本演芸場、令和八年七月下席昼の部です。見た演目を記します。前座の春風亭一呂久くんの「寿限無」、二ツ目の柳家小はだくんの「転失気」、林家八楽師匠の紙切り、三遊亭歌武蔵師匠の漫談 、柳家小はん師匠の「持参金」、古今亭菊之丞師匠の「親子酒」、古今亭文菊師匠の「のめる」、立花家あまねさんの三味線弾きの唄いの民謡 、柳家はん治師匠の「粗忽長屋」でお仲入りとなりました。松旭斎美智さんと松旭斎美登さんのお二人のマジック、隅田川馬石師匠の「狸の恩返し」、柳家権太楼師匠の「代書屋」、ストレート松浦さんのジャグリング、主任は柳家三三師匠の「素人鰻」でした。
特に印象に残った演目です。三遊亭歌武蔵師匠の漫談 はくすぶっていた何かに大爆笑で火をつけるかのようでした。立花家あまねさんの民謡の「淡海節」のシブさに感激。柳家はん治師匠の「粗忽長屋」も爆笑ものでよかった。出ました、柳家権太楼師匠のいつもの「代書屋」で大爆笑。柳家三三師匠の「素人鰻」の熱演が素晴らしかったのです。
暗いこの世のつらさ忘れ、寄席は心のオアシスです。