えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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三牧聖子さんの著した『Z世代のアメリカ』を読む。

アメリカ合衆国という国は、ベトナム、イラク、アフガニスタンと戦争を行いつつ、ぼくは、何に善いものは世界にもたたらさず、むしろ腐敗と悪、老廃をもたらしている、と思う。しかも、イスラエルを支援しているアメリカはパレスチナのガザにたくさんの子どもたちに死もすらもたらしている。ウクライナで戦争をする米ソ冷戦の当事者ロシアも地に堕ち、アメリカも同様で、そのようなアメリカを相対化し、今までの見かたとは違う見かたで見ている人たちが、1990年代半ば以降に生まれたZ世代に多いとのことが『Z世代のアメリカ』に書かれていて、彼らこそ何か、倫理的に、政治的に、社会的に正しいことを指向しているらしい。

ガザの惨状を目の当たりにしている今、本書の「第五章 人道の普遍化を求めて ―アメリカのダブル・スタンダードを批判するZ世代」にぼくは明日の希望の一筋を見いだもする。その「第五章 人道の普遍化を求めて」の項に「日本、そして私たちにできること」があって、アフガニスタンに水路を作ったペシャワール会の先人、中村哲医師の話もあり、クリスチャンの中村医師が好んだ言葉が天台宗の開祖、最澄の「一隅を照らす」という言葉だったそうだ。ぼくも「一隅を照らす」ことが出来れたらいいのにと思いつつ、本を閉じました。
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矢口高雄さんの著し描いた漫画『釣りマンガ傑作集 岩魚の帰る日 釣りバカたち【山釣り編】』を読みました。ぼくは子どもの頃、少年マガジンで連載されていた「釣りキチ三平」が好きだったのです。長い時を経た今の渓流釣りへのぼくの熱中は、その時に種をまかれたものかもしれないなどと思いつつ、『岩魚の帰る日』を読みすすめました。矢口高雄さんの漫画には自然にたいする畏敬と人間への愛があります。こんな漫画を子どもの時に読んでもいたのかと驚きます。心洗われるような漫画なのです。
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田中眞澄さんの著した『小津安二郎と戦争』を読了した。東京国際映画祭でたくさん小津安二郎の映画を見た時、有楽町の映画館の近くの三省堂書店で買ったものです。

この本の中に「小津安二郎陣中日誌」というのがあり、145頁から227頁までの長さ。表紙には「禁公開 例えば僕が戦死してもこの日記の内容を公表しまたは記載することは堅くお断り下さい。どうか僕をジャナリズムの敗残兵にしないでくれ」とある。その「小津安二郎陣中日誌」の153頁から179頁までが中国国民党もしくは中国共産党の抗日ビラ、日本人への宣撫ビラの写しなのだ。これは軍規への重大な違反かもしれず、その書き写した文の数はおびただしい数におよび、収集していたともいえる。そんようなものを収集していた小津安二郎は何を考え、何を思っていたのだろうか? もしかして、白兵戦や捕虜の殺害を目のあたりにした、そのような兵士としての戦争の中で、正気を保つためのことではなかったか?

この「小津安二郎陣中日誌」には撮るべき戦争を題材にしての映画のためのシナリオのメモのようのものがあるのだが、小津や戦争映画は終生、撮らなかった。いや、ぼくは撮らなかったのではなく、撮れなかったのだと思う。けれども、小津安二郎はその家族劇の中で多くの戦争に関する言及を残した。最後の映画『秋刀魚の味』では以下のようなセリフのやりとりがある。

「艦長、なんで日本は戦争に負けたのでしょうね」
「負けてよかったじゃないか」
「そうかもしれねえな。バカな野郎がいばらなくなっただけでもね」

その「泉」というバーでのシーンにたくさんの無念の戦死者の声が響いているような気がした。バー「泉」は「黄泉」なのかもしれない。

ぼくは、小津安二郎が、戦争を撮らずとも、もっとも戦争について映画の中で語った映画監督であると思う。







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今、イスラエル(ネタニヤフ極右政権)が行っている病院や難民キャンプを爆撃してたくさんの子どもたちを殺しているのは鬼畜の所業ではあるまいか? しかもライフラインを停止し、民族浄化のようなことをしている。それを面白がって喜んでいるイスラエル人もいるという。絶望。

高橋真樹さんの著した『ぼくの村は壁で囲まれた―パレスチナに生きる子どもたち』を読んでみる。読み進めるのがつらくなる。世界の人たちの見て見ぬふりがこんなことをまねいた。壁はなくなれ!

Stop genocide in Gaza!






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最近、寄席で落語や色物を見るのが楽しくて、小野寺恵美さんがイラストを描き、稲田和浩さんの著した『ゼロから分かる!図解落語入門』を一気読みしました。落語初心者には最適の一冊でありました。この本で「落語の泥棒は決して悪人ではない。生き方がヘタだから、泥棒をやっているのだ。」というが、確かに落語の登場人物にダメな人、変な人はたくさんいるけれど、悪い人はいないような気もします。アメリカのブルースの世界では落語で登場するような人は「Strange Cat People」などと申しますな。あー、寄席通いはやめられません。








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與那覇潤さんの著した『帝国の残影 兵士・小津安二郎の昭和史』が面白くて、一気読みしました。小津安二郎の生涯を追ったものではなく、小津が彼の生きた同時代、昭和をどう見て、その映画に表象されてしまっていて、その時代がどのようなものであったかを考察した本です。

読了して、初めて、ぼくを惹きつけてやまない映画監督、小津安二郎の墓碑に「無」とあるかの理由が少し分かった気がしました。この本を読んで、小津の死んだ後のテレビでのホームドラマと小津の映画には決定的に違う何かがあるような気がしていたのは確信となりました。三度の従軍経験がありながら、戦争を直接には撮らずして、戦争について映画の中で言及し、戦争を滔々と流れる底流として、戦争を描いた小津の映画。この本の「終章 呪わしき明治維新―『東京暮色』賛」の驚くべき結論となります。小津安二郎の映画に少しでも惹かれる人は本書を読んでみてください。









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内田樹さんの著した『街場の成熟論』を読みました。

この本を読みながら、ぼくは会社勤めをしていたころのあるシーンを思い出していた。そのシーンとは、とある会社の朝会の時、役員と肩を並べるある部長が、口角泡を飛ばしつつ、激しい口調で、白か黒かはっきり結論づけて、決着し、責任を取れなどと言っているらしかった。隣でそれを聞いてある年下のぼくの同僚は、ぼくに、サカイさん、白か黒かとか言われても、人間、大概、白か黒じゃなくて、グレーですよ、まったく白い人も、黒い人もいないですよ、どのぐらいグレーかが大事じゃないですかなどと耳元で囁いたのだ。ぼくはその同僚の彼を尊敬する心で見て、なるほど、あの激しい口調で発言している人よりも遥かに彼の方がはるかに大きな人、大人、成熟した人だと思い、敬意をいだいたのであった。その彼の囁きは、白か黒か、どうせ人間ははっきりしないのだからと、冷笑的になるのではなく、どの程度グレーなのかを見極めて、その時その時の熟考の末に留保付きの判断なり決断を下すしかないのではないかということも含意し、その成熟さにぼくは驚き、敬意をいだいたのであったと思う。

さて、本についてに戻り、ぼくは『街場の成熟論』を書いた内田さんと同様に、この本の書かれているように、これからの日本人にグレーのどこかにあるかをよく考え、決してニヒリズムに陥らず、真実をわきまえつつ、常識的であって欲しいと願ってもいるのです。そして、ぼくなどは小さい人間ですが、この社会の明日のために、この本が多くの人に読まれることも願っているのです。








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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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