えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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この前、東京都の杉並区の区長に当選のすえ、なられた岸本聡子さんの著した『水道、再び公営化! 欧州・水の戦いから日本が学ぶこと』を読みました。市井からいきなり何の政党の後ろ盾もなく立候補して、当選した、岸本聡子(岸本さとこ)さんって、どんな人なのだろうという興味もあったのです。岸本さんは長く、この本で書かれたことの舞台であるヨーロッパのシンクタンクNGO「トランスナショナル研究所」で研究員をやっておられた人で、この本のテーマはその研究テーマでもあるだろう、水道事業の民営化と再公営化。この本の中でもっとも重要な概念である<コモン>について、この本から引用します。

 先に<コモン>とは、何かを説明しよう。「民主的に共有され、管理されるべき社会的な富」のことだ。日本語には<共>と訳されたりするし、社会的共通資本(Social Common Capital)という用語とも重なる。「社会的共通資本」は経済学者・宇沢弘文氏が提唱した概念で、産業や生活にとって必要不可欠な社会的資本を示す。
 水道、鉄道、公園といった社会的インフラストラクチャー、報道、教育、病院などの制度、森林、大気、ひいては地球全体の環境が<コモン>だろう。言い換えれば、個人であれ、企業であれ、私的な所有に閉じ込めず、みんなで未来を考えながら、民主的に管理する必要があるものが<コモン>なのだ。

そうか、<コモン>とはこういうことなのか。ならば、ぼくは、<コモン>をないがしろにする政治家を指示しないし、投票しない。<コモン>を外国の巨大企業に売り払おうとする政治家などはもっての他だ。『水道、再び公営化!』ではそんな<コモン>中でもっと大切なものの一つである水道をめぐる、ヨーロッパで戦いが書かれている。スペインのバルセロナがもっとも民主主義が進んだ急先鋒の町で、再公営化の波は野火のようにヨーロッパの町、自治体に広がっていっているらしい。ぼくはこの『水道、再び公営化!』から希望ということも読みました。






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原研哉さんの著した『低空飛行―この国のかたちへ』を読みました。雅楽を聴きながらこの本を読み終え、これを書いています。

原研哉さんはデザイナーで日本デザインセンターの代表取締役社長でもあられる人。日本の残され脈々と息づく伝統についてこの本で述べられておられ、それが資源として日本の未来も照らす、というような内容に、ぼくの元気をもらいました。生花、旅館、石庭、温泉、自然、挙げていけば、いくらでもある日本の美しさにぼくも共感します。それは書き物の、書かれた大きな物語の歴史からは見えにくい何かでもある、とぼくは思う。ちいさきものにある美しさ。ほどよい遠さ、近さの景色にある美しさをよく見れば、ちいさな美しさはたくさん見えてくる。だから「低空飛行」なんだろうか? この『低空飛行』を読みながら、昔、たしか岡本太郎の書いた本で読んだ、日本の庭園に特徴的な借景とその美しさというようなことも思い出しました。カラーも含めたたくさんの写真付きの楽しい本でもあります。

ゆっくりと日本のいろんなところを旅したくもなりますね。





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『ティク・ナット・ハン詩集 私を本当の名前で呼んでください』を読んだ。ティク・ナット・ハンの説く「マインドフルネス」とは何だろうか、とずっと思っていた。この詩集の訳者である島田啓介さんが「訳者あとがき」で簡潔に「マインドフルネス」とは「今の瞬間を深く体験する心」と書かれておられ、ぼくは、この詩集を読んだあと、なおさらになるほどと合点した。ティク・ナット・ハンの詩は、心を閉ざすことではなく、心を開くことを、常に語りかけているように思われる。

連日、ウクライナでの戦争のニュースが目に、耳に入ってくる中、この詩集に出会えたことは、本当によかった。ウクライナと一概には比べれれないところもあるとは思うが、ティク・ナット・ハンの故郷であるベトナムが南と北との間で戦争をしていた時の苛烈に痛みに満ちた詩、南北の両政府の検閲によって発禁になった詩もここには収められてもいる。そうか、ティク・ナット・ハンの説く歩きながらの瞑想! この詩集を読みながら、ぼくも、何の呪文を唱えずとも、貧しくも未熟ながら、努めて、心を閉ざすのではなく、心を開く方にいきたいと思っていました。

私を本当の名前で呼んでください - 新泉社






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『『世界』臨時増刊 ウクライナ侵略戦争』を読む。いろんな人たちがウクライナでの戦争を論じている。一番、印象に残った文章は、若い人たち、学生たちに向けてのロシアで政治を研究しておられるエカテリーナ・シュリマンさんの「戦禍に社会科学は何ができるか」と題された講演の記録を訳したもの。出口のなかなか見えない論ばかりなのだが、このエカテリーナ・シュリマンの講演は希望の一筋だとも思えた。なんだか、吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』を思い出した。この『君たちはどう生きるか』は戦争に向かっていく社会の中で書かれた。日本はロシアを他山の石とし、二度と同じ過ちを繰り返してはいけない。とにかく、ぼくも、世界から戦争がなくなるように、虚しくならず、小さいかもしれない抗議の声をあげつづけよう。








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カーク・ディーターさんとチャーリー・マイヤーズさんが著し、坂東幸成さんの訳による『THE LITTLE RED BOOK OF FLY FISHING 鱒釣師のための250のヒント』を読了した。

クリスチャンにはバイブルがあるように、イスラム教徒にはコーランがあるように、ユダヤ教徒にタルムードがあるように、フライフィッシャーには『THE LITTLE RED BOOK OF FLY FISHING』があるのだ。しかも、バイブルと違って、読んでも眠くならない。昔、心理学者の河合隼雄さんは「法華経」のよいところは、読むと眠くなるところだと言っていたけれど、ぼくは眠れない夜、きまって聖書を読んでいると眠くなりました。

さて、ユダヤ教徒にとってタルムードがどういうものかは、ぼくはよく知らない。けれど、ぼくは、人生のこの先、『THE LITTLE RED BOOK OF FLY FISHING』を、クリスチャンが生涯、何度もバイブルを手に取るように、イスラム教徒が生涯、何度もコーランの詠唱を聴くように、日本の禅者が生涯、何度も般若心経を読経するように、読むことでしょう。

Sheridan Andersonの『Curtis Creek Manifesto』とこのKirk Deeter & Charlie Meyersの『THE LITTLE RED BOOK OF FLY FISHING』でフライフィッシャーは二冊の聖典を持つことができたのだ。





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田坂広志さんの著した『すべては導かれている 逆境を越え、人生を拓く五つの覚悟』を読了しました。ビジネスの世界からなんだか気持ちとして遠ざかっていっているぼくだけれども、田坂さんの書いた本はときどき読みたくなります。昔、とあるビジネスマン向けの講演会で田坂さんの話を聞いて以来、ぼくは田坂広志という人が信をおける人のような気がして、書店で本を見かけたら、買ってしまい、読むことがあるのです。

今さっき読み終えた『すべては導かれている』は、会社などの何らかの組織のリーダー向けに書かれた本で、何かの困難をかかえた人に向けられて書かれてもいるそれは、実例や体験談をまじえつつ、ついにユング心理学の「コンステレーション」や「シンクロニシティ」、版画家、棟方志功の「我が業は、我が為すにあらず」を通り、「トランスパーソナル心理学」、「量子真空」、「アカシック・フィールド仮説」、「ゼロポイント・フィールド仮説」、仏教の「阿頼耶識」にいたる。そして「人生は、不思議な力に導かれている」ということ。面白かったです。





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山田美緒さんの著した『火星でフライフィッシングをするつもり?』を読みました。山田美緒さんは女性のフライフィッシングをする人で、フライフィッシャーはすべての釣りをする人の0.1%ぐらいで、さらに女性となると、それをする人は絞られる。この本の帯こんな言葉のにあるように、女性にこそフライフィッシングに向いているかもしれないけれど、携帯用の蚊取り線香を炊き、クマよけの鈴を鳴らし、クマ退治のスプレー缶を携帯し、背丈よりも高く生い茂る藪の見えないような轍をたどり、かきわけ、人里離れた山奥の川に入渓するなんて、すごいです。本の帯のにあった言葉を紹介しますね。

「フライフィッシングは力を必要としないこと、繊細なフライを巻くこと、美しい自然と魚に触れ合えることなど、女性にこそ向いているような気がする」

なるほど、女性のフライフィッシャーも増えてくれないかなぁ。最近よくCSのテレビ「釣りビジョン」にチャンネルが回ってしまうのだけれども、フライフィッシングの番組はとても少ない。

さて、この『火星でフライフィッシングをするつもり?』はフライフィッシングをかじり始めた人間として、あるある話満載で、読んでいてとても楽しい。ぼくも山田さんみたく釣りをした後は、どうしても温泉に入りたくなってしまい、立ち寄り湯に寄ってしまいます。そんな日をぼくは「完璧な一日」と呼んでいる。

山田さんは川辺でキャンプをし、焚火のふもとで、赤く空に光る火星を見て、昔の人類のことを思う。人類は地球から火星に移住し、そこでも自然破壊をし、地球に戻って来る。また地球を離れ、火星に移住する準備をしている。『火星でフライフィッシングをするつもり?』からの引用です。

「人間は愚かだから、ずっと同じことを繰り返しているだけなのかもしれない。今日の火星は、人類が大昔に捨てた、使い古された星なのではないか。私は火星で釣りなんてしたくない」

地球には美しいものがたくさんある。明日、世界が滅びるとして、今日、ぼくはフライフィッシングをして、酔っ払って、ギターを弾いて、歌を歌いたいのです。

この本『火星でフライフィッシングをするつもり?』は、浅里まゆみさんのカバーや挿絵もとても素敵で、フライフィッシングをしない人も手に取っていただきたい本です。






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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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