えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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内田樹さんの著した『街場の天皇論』を読む。『代表的日本人』の名著のある内村鑑三の書いたものに『余は如何にして基督信徒となりし乎』があるけれど、この『街場の天皇論』は内田さんの「余は如何にして天皇主義者となりし乎」なのであった。

読みながら、つらつらと今の天皇陛下が即位した儀式で、首相であった「天皇陛下万歳」と手をあげる安倍晋三を睥睨し、まったくの怒気のこもった目で見ていた、その目を思い出した。この本の中の「「日本的状況をみくびらない」ということ―あとがきにかえて」では、三島由紀夫について論じているのだけれど、読みながら、昔、テレビか何かで見た三島由紀夫の市ヶ谷の自衛隊駐屯地での演説をする光景を思い出す。三島は四方八方から自衛隊員の怒りに満ちた罵声をあびせられていた。即位の日に安倍を見据えていた天皇陛下の怒りの目は、三島に罵声をあびせていた自衛隊員の怒りの罵声と通底しているのではないか、という異論を内田さんに提出したいとも思い、本をとじた。

天皇という存在は日本人の意識にものぼらない、けれど、確かにそこにあるエートスなのかもしれない。







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横須賀美術館で『キャラクターデザインの先駆者 土方重巳の世界 ブーフーウーと仲間たち』展を見ました。

こんなかわいい展覧会は初めてです。しかも懐かしくもある。ゾウのサトちゃんにも再会。こどもの頃が心に甦りもします。

季節ごとに展示変えをしている谷内六郎館も楽しい。

夢の中のひとときのようでございました。
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水口憲哉さんの著した『淡水魚の放射能 川と湖の魚たちにいま何が起きているのか』を読む。

ぼくは、人類が原子の力を得てしまった時から、その稚拙で幼稚な倫理と道徳によって、滅亡の道を歩いているような気もしているのだけれど、魚という生きものの研究者である水口憲哉さんは、これから来るものたちのために警鈴を鳴らすかのように、このような本を書いているようにも思われるのです。この本を2012年9月1日に緊急出版したフライの雑誌社による推薦文を引用します。

「福島第一原発事故以前、日本では淡水魚の放射能汚染はまったく研究されていませんでした。第1部ではチェルノブイリ事故をはじめ、世界の知られざる淡水魚の放射能をくわしく掘り起こします。第2部では福島第一原発の大事故により、日本の川と湖の魚たち起きている放射能汚染の実態を見つめ、汚染の仕組みを考えます。そしてこれからの汚染の行方を予想します。私たちが選ぶべき暮らしの有り様がそこに見えてきます。」

そういえば地方統一選が近いな。『淡水魚の放射能』を読みながら、ぼくは、ぼくの思うところの希望を持って、投票ということによって石つぶてをぶつけたい、そんなことも考えていました。

選ぶべき未来は森と川と魚たちが教えてくれる。─『淡水魚の放射能 川と湖の魚たちにいま何が起きているのか』(水口憲哉=著) | フライの雑誌社

2023年の淡水魚の放射能汚染まとめ/放射能汚染を釣り人としてどう受け止めるか
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谷川俊太郎さんが選者となられた岩波文庫版の『茨木のり子詩集』を読む。

詩集を読む楽しみは、展覧会でお気に入りの何枚かの絵を見つけるように、いくつかのお気に入り詩を見つけることだとも思う。そのような、いつまでも美術館でその絵の前で佇んでいたいかのような、ぼくの好きな何度も読みたい詩の二編を紹介すれば、他にも何度も読みかえしたい詩がいっぱいあるけれども、『見えない配達夫』から茨木のり子の原点であるかのような「わたしが一番きれいだったとき」と『鎮魂歌』からの「りゅうりぇんれんの物語」。

詩を選び、この詩集を編んだ谷川俊太郎さんは詩集としては茨木のり子の最晩年の『歳月』がいいという。ぼくも同じようにも感じた。この『歳月』は茨木のり子さんの亡くなった後、出版された詩集なのだが、どの詩もさきに逝ってしまった夫への挽歌であり、なまめかしい恋文であるかのようでありながら、石清水の清浄さなのだ。美しい。







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茨木のり子さんが訳し、編集した『韓国現代詩選<新版>』を読む。1990年に日本の詩人によって選ばれ、訳され、日本で出版された隣の国の1980年代の現代詩のアンソロジーが装いも新たに去年、出版された本。

1990年、詩は韓国の人々の中で読まれ、韓国の本屋の詩のコーナーは日本のそれの六倍から七倍はあり、ひとびとはむさぼるように詩のコーナーにたかり、読んでいたとこの『韓国現代詩選』の訳者はいう。日本の現代詩はあるにはあるものの、それを読む人は多からず、今の韓国はどうだろうか? 1980年の光州事件の悲劇から軍事政権による独裁、その後の民衆・学生らによる抗議運動、1987年の独裁政権の終焉と再びの民主主義に確立。1980年代の韓国の詩の言葉は熱い。それがうらやましい。

この詩選で姜恩喬(かんうんぎょ)さんの詩をを読み、韓国の人たちが、日本でいえば桜の花のように、椿の花を愛しているのを知った。山の中のつばきは、それは、それは赤くて、眼から血を流すほどの悲しみを表すという。

さて、この本の「時代を越える翻訳の生命」の斎藤真理子さんの解説にある、訳者であり詩人である茨木のり子さんの詩の定義に、ぼくは深くうなずいてしまう。

「いつも思うのですが、言葉が離陸の瞬間を持っていないものは、詩とはいえません。じりじりと滑走路をすべっただけでおしまい、という詩ではない詩が、この世になんと多いのでしょう」

詩と詞の違いはあれど、ぼくの歌う詞はどうだろうかとふと思ってしまう。








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山崎泰廣さんの著した『真言密教阿字観瞑想入門』を読みました。この真言宗の大僧侶の著した本を読めば、阿字観と月相観の瞑想の哲学としての拝啓から、個人や社会に与えたもう深い意義と意味、実践までよく理解できるというもの。

実はぼくは阿字観のための小さな掛け軸と月輪観のための小さな掛け軸を二幅、買ってしまっておりますが、この前、お寺に阿字観を僧侶の指導のもと経験してから、このようなことはお寺ですべきものではないかというような気がして、家で行なわずにいる。しかし、いつか、小さな清浄な茶室、六角堂のようなところを見つけ、もしくはこさえて、この『真言密教阿字観瞑想入門』や僧侶の指導を思い出し思い出ししつつ、瞑想をしてみたいなどと妄想してもいるのです。

古い書物『菩提心論』にはこうあるという。

「我れ、自信を見るに形、月輪の如し。何か故にか月輪を以って喩とするならば、満月円妙の体は、則ち菩提心と相類せり」

そして、『阿字観用心口決』にはこうあるという。

「阿字は月輪の種子・月輪は阿字の光なり。月輪と阿字は全く一なり。胸中にこれを観ずれば、自身即ち阿字と成る。阿字は即ち自心なり」

ゆめゆめうたがふことなかれ






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旅先の宿で藤原新也さんの著した『日々の一滴』を読みました。なんか、旅先でテレビを見ることってなんくなりましたね。昔は、旅先で見たテレビ番組は、それぞれの地方のローカル色が何かしらあって面白くも感じこともあったのですが、今はどこも同じ。それと同時に、地方から人はいなくなり、町や村はくたびれていった。この『日々の一滴』はそんな時代の写真付きの日記といった佇まい。

今は戦争準備を進めているような最悪へ向かう時でもあるようにぼくには思えてしまい、この本は、記録と記憶として今を残すべく、藤原さんは上梓したのではあるまいか? この『日々の一滴』は現代にあらわれた永井荷風の『断腸亭日乗』のようでもあるのです。






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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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