えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ
アナ・アランチスさんの著した『死にゆくあなたへ 緩和ケア医が教える生き方・死に方・看取り方』を旅先の宿で一気読みしてしまった。アナ・アランチスさんはブラジルで医師をしておられ、終末期の医療での緩和ケア医をしておられるとのこと。緩和ケア医とはどのようなものかというと著者自らこの本の「はじめに」の章に端的に書かれておられる。
「私は死にゆく人のケアをしています」
読み終われば、死というものがなんだか、普通のことのように思われてくる。確かに普通のことなんだ。それは誰にでも必ずいつか訪れることでもある。死を語ることはある意味、難しい。なぜかというと、生きている人は経験したことのないことだから。
この本はハウトゥー本の体裁をとっているけれど、ぼくは死について、死を看取る事の指南よりも更にその物語を読みたいと思った。安岡章太郎の小説『海辺の光景』はどんな物語だたっただろうか? 再読したい。
「死へ進む過程: 4つの元素の分解」での章では、東洋では自然は土・水・火・空気の4つの元素から成り立ち、人の死においてもそれぞれの崩壊においての現象が見られるとしていて、興味深かった。これはアナ・アランチスさんのもちろん、経験したことではなく、架空の物語であると思うけれど、原典は何なのだろうか? 『チベット死者の書』? それとも何かの仏典?
秘密が解き明かされる時は、いつか必ず来るのだから、静かに待っていればいいような気がしてきました。
西里扶甬子さんの著した『フクシマ・アンソロジー ジャーナリストの写真歌集』を読みました。この前「もやい.next」展を見に行った時に売られていた本です。著者の西里扶甬子さんもその場におられ、サインをしましょうか、と声をかけられたのですが、断ってしまっていた。サインよりもぼくは握手をして欲しかったのだけれども、このコロナウィルス禍の中、憚られ、頼めませんでした。
西里扶甬子さんは福島の原発事故んの時にドイツの公共放送のクルーとして、取材を始められ、フリーのジャーナリストとなった今も継続して福島の事故地域を見つめつづけておられる。短歌と写真の合わさったこの『フクシマ・アンソロジー』には、写真と並ばれることにもより、言葉の力、詩の力というものを、ぼくはとても感じました。本の背表紙にこんな短歌があげられてる。
病えてその身の一部削除され復興疎外の加害者とされ
人のもたらした災害は今もつづいている。忘れたらならん。放射能という害毒をまき散らした電力会社はそれを「無主物」とかぬかしておったことを本を読みながら思い出し、むかむか腹が立ってどうしようもない。この本に立ちあらわれる被害者のかたがたや著者の西里扶甬子さんのやさしさにぼくの心は少し救われるようなのだが、だから、やはり忘れたらならん。
ムーギー・キムさんの著した『京都生まれの和風韓国人が40年間、徹底比較したから書けた! そっか、日本と韓国って、そういう国だったのか。』という長い著名の本を読みました。なんと、出版社は「週刊東洋経済」を出している東洋経済新報社でビジネス・パーソン向けの体裁はとっているが、その豊富な情報量とどちらにも偏らない(日本がわるいところもあれば、韓国がわるいところもあって、韓国がよいところもあれば、日本がよいところもある)内容が面白くて、一気に読んでしまっていました。
おしまいの方は歴史の話になるのですが、歴史に疎いぼくにとって、知らないことが本当にたくさんあり、勉強になりました。History(歴史)の"His Story"ではなく、これからは"Our Story"という考えに共感します。歴史というのは直線ではなく、縦糸と横糸が交差し、ときにはよじれたりもする関係史ではないかしら?
なんか、韓国に旅したくなります。その前にハングルを読めるようになって、少しは言葉も話せるようにならなきゃな、と思う。
著者のムーギー・キムさんは東洋経済新報社から『最強の働き方』という本を出しているそうだが、嫌韓本流行りの昨今「私も嫌韓本書いたら、たっぷり売れるかもですね」と軽口を編集者に叩いたら、編集者は「弊社ではそのような本は、売れても絶対に出しません」と真顔で言われたそうだ。石橋湛山の気骨を受け継ぐ出版の良心ここにありの素晴らしい会社ではないか! 蛇足ながら、最近、ぼくは「週刊東洋経済」の定期購読を始めました。
白井聡さんの著した『長期腐敗体制』を読む。この本に白井聡さんが書かれていることは、なったくその通りだ、と思い、絶望的な暗澹たる思いを改めて自分の中に確かめるようだよ。「まずは隗より始めよ」というような言葉が思い浮かぶけれど、どうしたらいいのだろう? この本には取り上げられていないけれど、その「隗より始めよ」としての政府の無能さに抗するように日本国中に広まっている子供食堂のことなどが思い浮かぶな。もちろん、日本の共同体は死に絶えてはいないはず。
♪♪♪
いったい何がおれたちをこんなに
一人ひとりをバラバラにしたんだ?♪♪♪
フールズの今は亡き伊藤耕のおらび声のような歌「無力のかけら」を思い出した。その歌はこのようにもつづく。
♪♪♪
だけど諦めるな
けっして匙を投げるな♪♪♪
♪♪♪
おまえが何かを始めたなら
せめて話をおれに聞かせておくれ♪♪♪
伊藤耕、いい歌、歌っていたな。
さて、『長期腐敗体制』に戻り、今ここから始めたい人は、今ここを知るために読んでおくべき本かとも思った。
♪♪♪
いったい何がおれたちをこんなに
一人ひとりをバラバラにしたんだ?♪♪♪
フールズの今は亡き伊藤耕のおらび声のような歌「無力のかけら」を思い出した。その歌はこのようにもつづく。
♪♪♪
だけど諦めるな
けっして匙を投げるな♪♪♪
♪♪♪
おまえが何かを始めたなら
せめて話をおれに聞かせておくれ♪♪♪
伊藤耕、いい歌、歌っていたな。
さて、『長期腐敗体制』に戻り、今ここから始めたい人は、今ここを知るために読んでおくべき本かとも思った。
『ドナルド・キーンの東京下町日記』を読みました。ドナルド・キーンさんがその二〇一二年十月六日から二〇一九年三月六三十一日まで中日新聞や東京新聞に連載した最晩年の日記集です。
ドナルド・キーンさんは数々の日本文学を英訳し、世界に紹介した人で、川端康成や大江健三郎のノーベル文学賞受賞も、キーンさんがいなければ、かなわなかったかもしれません。さて、キーンさんの英訳に大江健三郎さんの作品がないのはどうしてなのでしょうか? ぼくには分かりません。それから、新潮文庫のいろんな近代や現代の日本の小説の巻末の解説を書いておられるのもキーンさんです。
ドナルド・キーンさん、最後は日本に帰化もして、本当に日本が好きだったのですね。そんなキーンさんは筋金入りの平和主義者で近頃の日本に少なからぬ危惧を抱いていたことが『ドナルド・キーンの東京下町日記』を読んで分かります。ぼくも読みながらキーンさんにとても共感していました。空の向こうに旅立ったキーンさんの好きだった日本が、その日本でそのままありますように、ぼくは願い、祈ります。
舘野鴻さんの著した『ソロ沼のものがたり』を読みました。どこかの山の奥深くの森に住む小さな生きものたちを主人公にした生と死の物語でした。みんな、生きて死んでいきます。当たり前のことのようですが、それが素晴らしい。この物語を読んだこれからは、ぼくは、歩いていると、足元に小さな生きものの気配を感じてしまいそうです。
なんだか、深沢七郎の小説を思い出してしまう。この『ソロ沼のものがたり』を深沢さんの『楢山節考』のようにぼくは何度も読み返すでしょう。それから、仏教の法華経の教えには、生きとし生けるものはすべて仏になることが出来ると説き、この世のすべてのもの、私たち人間も動物も草木もすべてに尊い命があり、差別なんて無い、無駄なんて無い、みんな一緒だということだそうです。『ソロ沼のものがたり』はそのような物語でもあるみたいなのです。
文芸雑誌「新潮」の2022年7月号を買って、読んでしまった。坂本龍一さんのインタビューから構成した連載「坂本龍一 ぼくはあと何回、満月を見るだろう」を読みたかったからなのです。
この「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」というのは、もしかして坂本さんは夏目漱石が好きなのかな、と思いました。夏目漱石が英語教師をしていたころ、教え子が「I love you.」を「我、君を愛す」と直訳したところ、日本人はそんなことは言いません、月が綺麗ですね、とでも訳しておきなさい、と指摘した、という話が残っております。この坂本さんは「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」にも夏目漱石の話が出てきますし、「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」も何かの訳なのでしょうか?
率直に、自らが罹患した病気のこと、音楽観、芸術観、人生観、世界観について、坂本さんは語っておられました。この人ほど、変わってしまった人、変節を経た人をぼくは知らないように思う。そして、その変節が美しい方への変節で、こんな老いた人にぼくはなりたい、と思わせてしまいます。数年前、NHKの「細野晴臣イエローマジックショー」に出演した時には、昔の若いころの自分に会ったら、絶対にぶんなぐってやりますよ、などと笑いながら坂本さんは細野晴臣さんや高橋幸宏さんらとおしゃべりをしていました。坂本さんの若いころの佳曲「千のナイフ」の冒頭には、ボコーダーでの毛沢東の詩の朗読が収められていますが、今、この毛沢東の詩を坂本さんはどう読むのだろうか?
読みながら、これを「新潮」に発表したのは、坂本さんのお父さんが三島由紀夫を担当した新潮社の伝説的な編集者だったからなのかな、などとふと思う。
「愛に救われた」という章での新型コロナウィルス禍で面会禁止となり、坂本さんのパートナー(事実婚?)とのスマホのライトを使ったやりとりが、あまりにナイーブで心温まります。「死後の世界」の章で映画「コンタクト」を引き合いに語られる世界観は、それはそれは素晴らしいもので、ぼくは何度もその章を読み返してしまっていました。
来月号も予約したよ。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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