えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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瀬戸内寂聴さんの著した『句集 ひとり』を読みました。句集と俳句についてのエッセーを組み合わせた本でした。本を読めば、死と孤独の匂いが立ち込め、圧倒されました。よくテレビなどで拝見される楽しいことを語る女のお坊さんの姿は、そこにはなく、その孤絶の厳しい美しさには、読みながらはっと息を呑む。一句だけ引用いたします。

御山のひとりに深き花の闇

これは寂聴さんが色紙にきまって書いていた俳句でもあるそう。「あとがき」に一遍上人の言葉が書かれていた。

生ぜしもひとりなり
死するもひとりなり
されば人とともに住すれども
ひとりなり
添いはつべき人
なきゆえなり







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高森顕徹さんが監修し、高森光晴さんと大見滋紀さんの著した『歎異抄ってなんだろう』を読了しました。あー、吉本隆明の書いた親鸞についての本とくらべ、何と、わかりやすいことかと思いつつ、わかりやすいから、こんなんでいいのだろうかと疑心のわくぼくは、何とも救いがたい人間であることか。この『歎異抄ってなんだろう』は親鸞の語ったことを書いた唯円の歎異抄からいくばくかは離れて、親鸞聖人の説く「信」と「救い」について書かれておりました。この本のおしまいの章に歎異抄の原文が載せられていて、読み返すに、ぼくは、その歎異抄の第九章が一番好きです。ぼくなりに意訳すると、こんな内容なのです。

唯円「アホ禿さま、あっしには阿弥陀さまがお救いくださるというけれど、なんか、うれしいとも何とも感じられなーのです。どういうことでしょうか?」
親鸞「そーか、じつは、わたしもそれ、同じなんじゃ。なーんもうれしくもないし、信じているかもうたがわしい。そんな愚かで、いつもくよくよ悩んだりするあたしも阿弥陀さまは救ってくださった。なのとも頼もしいと思えませぬか、唯円ちゃん」
唯円「そうですな、なんか頼もしく、楽しく、うれしくなってきちゃいました」
親鸞「みんな、往生、間違いなしじゃ」

これは、落語のやっさん、くまさんですな。おあとがよろしいようで。






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吉本隆明の著した『親鸞の言葉』を読了しました。吉本隆明の本は愚鈍なぼくには難しくてよく内容が入らないし、心にも響かないから、読むのはやめよう、などと思いつつ、仏教、そして、浄土真宗や親鸞には関心があって、読んでしまった。

よかったのは、吉本の現代語訳の「教行信証」でした。とてもわかりやすかったです。ただ「[中略]」となっているところが多い。完全にすべてが訳された吉本隆明のの現代語訳の「教行信証」を読んでみたいが、すでに吉本隆明は故人となり、かなわぬこととなってしまっている。ちなみに、浄土真宗の葬式の時に僧侶が唱えるのは経文ではなく、この「教行信証」なのです。

この本には「『最後の親鸞』からはじまりの宗教へ」と題された中沢新一さんとの対談が載せられているけれど、二人とも麻原彰晃こと松本智津夫のオーム真理教にやられ、もっていかれたしまった。ほかに、この対談の中で小林秀雄の最後の著である『本居宣長』を煽上げていて、なにが、「もののあわれ」かとぼくは思ってしまう。

昔、吉本隆明と花田清輝との論争で、花田清輝は、真円より楕円の方が豊かだと書いていたけれど、ぼくも真円より楕円が好きなのです。






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瀬戸内寂聴さんの著した『寂聴精撰 美しいお経』を読みました。

こういうのを読むと、本当に寂聴さんはお坊さんだったのだなぁ、と思います。批評や難しい解説とかが書かれていないから、寂聴が心をこめて選んだお経が、その美しさとともに、ぼくの心に違和感なくすーっと入ってきて素晴らしい。

僭越ながらも、ぼくは寂聴さんを、なぜか、同じ何か大切なことのためにの戦っている同志のようにも感じていました。

巨星は堕ちたのではない。瀬戸内寂聴さんという星は、夜空をどこまでも高く昇っていてって、輝き、この暗い世界で正しい方を指し示す羅針盤の針のようでもあり、今、世界を照らしてくれているかのようでもあるのです。






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李琴峰さんの著した真新しい芥川賞受賞作『彼岸花が咲く島』を読みました。日本は言霊の幸ふ国です。この本の帯にこんな言葉が謳われておりました。

「流れ着いた島では<ニホン語>と<女語>、二つの言語が話されていた―」

不思議な小説のおしまいのところで、びっくりするようなことが綴られていて、それが暗い雲の陰る東アジアの一筋の希望のようにも思えました。言霊の幸ふ国に新たな小さい美しい物語が付け加わったかのようなのです。本の装丁もとても美しい。

読み終えたら、ふと、中上健次が生きていたらこの小説をどう評していたのでしょう、と考えていました。中上健次ならば、輝ける才能の李琴峰はもっともっと先に行けると咤激励していたと思います。

今は、注目すべき新たな新進作家、李琴峰に芥川賞受賞、おめでとう、と祝いの言葉をのべ伝えたく思います。






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高森顕徹さんの著した『嘆異抄をひらく』を読みました。新聞の下段広告に大きく掲載されていて、いつか読みたいと思っていた本です。「嘆異抄」は親鸞の高弟である唯円が親鸞の没したあと、さまざまな親鸞のいったことの説、間違った異説に嘆き、親鸞のいったことはこんなことであった、と書き記した昔の本です。

昔、吉本隆明の『最後の親鸞』を読み、まったく何が書いておるのかわからなかったぼくですが、この『嘆異抄をひらく』を読み、すこしは解った気になれましたが、それでものみこめない、実感としてわかないすべての生きとし生けるものを救いたもうという「弥陀の本願」の顕現であるらしい「南無阿弥陀仏」の念仏であります。そりゃ、そうだ、ぼくのような人間は自分で自分を救うことなど、あたわず、仏の願いのあらわれでしか救えないのです。

ところで、「嘆異抄」の第三章、原文での「善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや」にふれるたびに考えてしまうことがあります。アドルフ・ヒットラーも往生を遂ぐのだろうか? やはり悪いことを行ってはなりませぬ。その一つの答えとして、『嘆異抄をひらく』に倣いつつ原文の第一章を引用し、この項を了とします。

「「弥陀の誓願不思議に助けられまいらせて往生をば遂ぐるなり」と信じて「念仏申さん」と思いたつ心のおこるとき、すなわち摂取不捨の利益にあずけしめたまうなり。

 弥陀の本願には老少善悪の人をえらばず、ただ信心を要とすと知るべし。

 そのゆえは、罪悪深重・煩悩熾盛の衆生を助けんがための願にてまします。

 しかれば本願を信ぜんには、他の善も要にあらず、念仏にまさるべき善なきがゆえに、悪をもおそるべからず、弥陀の本願をさまたぐるほどの悪なきがゆえに、と云々。」







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中川五郎さんの著した『ぼくが歌う場所 フォーク・ソングを追い求めて50年』を読了しました。

ディスクユニオンでビニールに包装されたこの本を見て買ってしまったのだけれど、その値段が3,080円で中川五郎さんのエッセイにしては随分高い本だなと思ってしまいました。家でビニール袋を開けてみて、本の中を見て、その値段に納得しました。『ぼくが歌う場所』は2段組み285ページの大著で、中川五郎さんの50以上に及ぶ歌手人生でのありとあらゆるよしなしごとが書かれており、読みごたえがあります。

若かりし日のダメ人間の五郎さんのことも赤裸々に述懐されております。これはダメだわ、五郎ちゃん、とぼくは読みながら、思わずつぶやいてしまう。ぼくもダメ人間でもあるのですが…。

五郎さんの50年間の歌手人生でぽっかりと1980年代の10年間の空白があって、その間のことについては、この本にはほとんど書かれておりません。五郎さんはその頃は本の著述や編集でまったく歌わなくなってしまったのだけれど、その10年間の大きな成果がチャールズ・ブコウスキーの翻訳とこの異端のアメリカの作家の日本での紹介です。その後、1990年代、少しづつシンガーとして復活して、今が一番、ミュージシャンとして充実していると、ぼくは思う。これから何度でも五郎さんのライブには足を運び、アルバムが出されたなら、聴きたいと思い、そして、その真摯な中川五郎さんの歌をしっかりと受け止め、ぼくは五郎さんに声援を送りつづけたいと思っております。






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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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