えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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青森を旅した時に読み始めた太宰治の『津軽』を読了しました。これは太宰の故郷への愛に溢れた名作です。物語というものには、ほぼすべて、「起承転結」と「序破急」の二つの構造があるといはれていますが、この『津軽』の「序」で、限りなく長く太宰の故郷である津軽への愛が語られ、それに続く「破」と「急」の流れが小説として最高に美しい。太宰治の小説はその語彙とエクリチュールの豊かさによって、やはりとても面白くて、ぼくを惹き付けます。この小説が発表された1944年、昭和十九年、敗戦一年前、谷崎潤一郎は『細雪』を執筆し始め、三島由紀夫はデビュー作の『花ざかりの森』をものにしています。『津軽』を含めて、それぞれの当時の軍部への抵抗のようでもあるのです。
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ガッサーン・カナファーニーの著した小説『ハイファに戻って/太陽の男たち』を読む。この小説を始めて読んだのは高校生のころで、昨今のガザでのこともあり再読した。ガッサーン・カナファーニーはパレスチナ人であり、1972年に36才で車に仕掛けられた爆弾により殺された。

この小説集の中に生涯の最後となる中編『ハイファに戻って』を読み、そのラストの展開にヒューマニティと同時に戦慄のようなものをおぼえ、東大全共闘に対話を求めバリケードに乗り込んで行った後期の三島由紀夫のようだとも思った。小説『ハイファに戻って』のラストで、「祖国というのはね、このようなすべてのことが起ってはいけないところことなのだよ」につづき、パレスチナ人の苦しみと同時に、きっぱりと美しく、「パレスチナよ、永遠なれ」の言葉がこだまするかのようなのだ。感動した。

ハイファに戻って/太陽の男たち :ガッサーン・カナファーニー
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辻桃子さんと安倍元気さんが著し、影山直美さんが画を描いた『やさしい俳句入門』を読みました。俳句は面白くて、深い。語らないところにこそ、そのよさもあることを納得します。あまりに短いその形式により、俳句を作った人から手を離れて、読み手にゆだねられてしまうところもいい。そして、その短い形式だからこその余情。この本は、よい句、名句もたくさん載せられていて、素晴らしい。この本『やさしい俳句入門』によれば、俳号というのは、すべての自分にまとわりつく肩書きを捨て、ただ俳人として句を読むということの決意として、人につけてもらうのではなく、自分から名のるものだそうです。知らなかった。ぼくも俳号をどうするか考え始めております。『やさしい俳句入門』は俳句の初心者に最適の本であります。影山直美さんの画かれた柴犬の画もかわいいです。

やさしい俳句入門 17音で世界が変わる! 心がおどる!

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小田幸子さんが監修し、スペースオフィスのお二人が執筆しマンガを描いた『マンガでわかる能・狂言』を読みました。読んでしまったころ、スペースオフィスのお二人、時松はるなさんとかめうみさんがこの本を国立能楽堂で売っていたのだと気付きました。とても解りやすく能と狂言について書かれており、しかも、いろいろな能・狂言のあらすじも書かれていて、マンガも美しく、楽しい。

能や狂言には、日本人が何を大切に思い、何を信じて生きてきたかも表されていると、何度か能楽の舞台を見て、ぼくは思います。ふと、この世界に誇れる芸術がこれからも末永く続いていくように、若い人にも、実際に各地の能楽堂に足をはこんで能楽を知ってほしいと、ぼくは願ってやみません。

マンガでわかる能・狂言
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ダニー・ネフセイタイさんの著した『イスラエル軍元兵士が語る非戦論』を読みました。イスラエルに出自を持つダニー・ネフセイタイさんの自伝的な内容とユダヤ人の苦難の歴史についてのことも含み、非戦論にたどりつくこの本はとても説得力があり、世界が進むべき平和への方向を指し示してもおります。武器によって武器に勝っても平和が訪れないのは、現在の世界で自明のことだとぼくはこの本を読んで改めて思います。そう、武器を捨てて、話し合うことしかないのだと思います。すべての紛争、戦争を停止させ、ダニー・ネフセイタイさんのいう「心を使って」、相手のことを想像し、痛みを慮り、武器を永遠に掘り起こせない地中深くに埋めてしまい、憎しみを手放しましょう。そうしなければ、人類は同じ悲惨の繰り返しです。だから、ぼくも、すべての人が平和に生きれるために、非戦を願い、非戦を祈っております。

イスラエル軍元兵士が語る非戦論/ダニー・ネフセタイ
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三牧聖子さんの著した『Z世代のアメリカ』を読む。

アメリカ合衆国という国は、ベトナム、イラク、アフガニスタンと戦争を行いつつ、ぼくは、何に善いものは世界にもたたらさず、むしろ腐敗と悪、老廃をもたらしている、と思う。しかも、イスラエルを支援しているアメリカはパレスチナのガザにたくさんの子どもたちに死もすらもたらしている。ウクライナで戦争をする米ソ冷戦の当事者ロシアも地に堕ち、アメリカも同様で、そのようなアメリカを相対化し、今までの見かたとは違う見かたで見ている人たちが、1990年代半ば以降に生まれたZ世代に多いとのことが『Z世代のアメリカ』に書かれていて、彼らこそ何か、倫理的に、政治的に、社会的に正しいことを指向しているらしい。

ガザの惨状を目の当たりにしている今、本書の「第五章 人道の普遍化を求めて ―アメリカのダブル・スタンダードを批判するZ世代」にぼくは明日の希望の一筋を見いだもする。その「第五章 人道の普遍化を求めて」の項に「日本、そして私たちにできること」があって、アフガニスタンに水路を作ったペシャワール会の先人、中村哲医師の話もあり、クリスチャンの中村医師が好んだ言葉が天台宗の開祖、最澄の「一隅を照らす」という言葉だったそうだ。ぼくも「一隅を照らす」ことが出来れたらいいのにと思いつつ、本を閉じました。
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矢口高雄さんの著し描いた漫画『釣りマンガ傑作集 岩魚の帰る日 釣りバカたち【山釣り編】』を読みました。ぼくは子どもの頃、少年マガジンで連載されていた「釣りキチ三平」が好きだったのです。長い時を経た今の渓流釣りへのぼくの熱中は、その時に種をまかれたものかもしれないなどと思いつつ、『岩魚の帰る日』を読みすすめました。矢口高雄さんの漫画には自然にたいする畏敬と人間への愛があります。こんな漫画を子どもの時に読んでもいたのかと驚きます。心洗われるような漫画なのです。
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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