えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ

青森を旅した時に読み始めた太宰治の『津軽』を読了しました。これは太宰の故郷への愛に溢れた名作です。物語というものには、ほぼすべて、「起承転結」と「序破急」の二つの構造があるといはれていますが、この『津軽』の「序」で、限りなく長く太宰の故郷である津軽への愛が語られ、それに続く「破」と「急」の流れが小説として最高に美しい。太宰治の小説はその語彙とエクリチュールの豊かさによって、やはりとても面白くて、ぼくを惹き付けます。この小説が発表された1944年、昭和十九年、敗戦一年前、谷崎潤一郎は『細雪』を執筆し始め、三島由紀夫はデビュー作の『花ざかりの森』をものにしています。『津軽』を含めて、それぞれの当時の軍部への抵抗のようでもあるのです。

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