えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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アレクサンダー・ペイン監督の「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」を見に海老名のTOHOシネマズに行った。見はじめて30分ぐらいは眠くなったけれど、この映画の二人の主人公である父と息子がスクリーンの中でモンタナからネブラスカまで旅を始めると、おもしろくなり、何のストーリーもなく、小さなエピソソードの積み重ねばかりで、一人のヒーローも出てこないのだけれど、あっという間の110分だった。この映画はアレクサンダー・ペイン監督が最も尊敬する小津安二郎監督に敬意を込めてのモノクロ・フィルムなんだそうだけれど、ドイツのヴィム・ヴェンダースに続く、小津映画の後継者がアメリカから出てきたことがうれしい。この映画を見ながら、こういう話はアメリカも日本もなくて、万国共通なんだなぁ、と思った。アメリカの片田舎をモノクロでとらえた映像が美しく、父と息子の苦くて、おかしみもあるユーモラスの旅を見終わった後に胸にじんわり暖かいものが残っていた。


http://nebraska-movie.jp/
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その昔、ぼくが最も好きなアスリートであるマイケル・ジョーダンは「ドライヴィング・ミス・ディジー」なんて好きじゃない、と言っていた。それはジョーダン自身がスピード・クレイジーのフェラーリ乗りで、のろのろと運転することが嫌いだという意味であると等しく、この白人に仕える善良な黒人というイメージに抵抗があったのではなかろうか、と憶測する。ジョーダンは「風と共に去りぬ」もはっきりと嫌いだと言っていたのだが、その中に描かれる善良な黒人奴隷に割り切れぬ思いがあったのだろう。そのようなジョーダンが一度、バスケットボールを引退し、そして、復帰し第二の全盛期の頃の1996年のアメリカでのアトランタ・オリンピックの年、その地の「風と共に去りぬ」の作者、マーガレット・ミッチェルの保存されていた生家が何者かの放火によって焼失してしまったことを思い出した。

「大統領の執事の涙」という映画がアメリカでヒットしたというのを聞いて、どうせ、白人に仕える善良な黒人を描いたろくでもない映画かもしれないと思っていたのだが、この映画の監督のリー・ダニエル自身が黒人であることに興味をおぼえ、見に行った。今ではアメリカの大統領が黒人であることを、思い出しつつ、一人のヒーローも出てこないこの映画を見た。圧巻でした。素晴らしい。父と息子の確執と和解の物語はもう一つの視点からのアメリカの現代史でもあるかのようなのだ。公民権運動時代のアメリカはあたかも内戦の一歩手前のような状況であったのを改めて知る。それから半世紀が経った。ソウル・ミュージックの創始者、シンガー、サム・クックから、アメリカ大統領、バラク・オバマまでの道であるかのようだ。「バード」でモダン・ジヤズの祖であるサックス奏者、チャーリー・パーカーを演じたフォレスト・ウィテカーが「世の中をよくするために、父さんは白人に仕えている」と息子に諭すホワイト・ハウスの執事を演じきっています。

さて、マイケル・ジョーダンもこの「執事」は認めるのではないかしら。

http://butler-tears.asmik-ace.co.jp/
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ケン・ローチ監督の「天使の分け前」をレンタルで見た。原題を"Angel's Share"を訳すと「天使の分け前」というより「天使の取り分」と言った方がぴったり来るような気がした。"Angel's Share"とは、ウィスキーを木の樽で熟成させる過程で毎年2%づつその量が減っていくのだそうだけど、その2%が天使の分だという意味らしい。この映画で描かれているのはイギリスのワーキング・クラスよりもさらに低いアンダー・クラスで生きる若い人たちで、これが、今のイギルスのリアルなのだろう。それは、イギリスというよりもブリティッシュのリアルと言った方がふさわしい。この映画で描かれた彼らが、あたかも天使であるかのように写りもし、たかが2%ぐらいの取り分ぐらいよこせよ、と歌っているかのようなのだ。その歌は、ブリティッシュのロックンロール・ミュージックの源流として、ジョン・レノン、ジョン・ライドン、リアム・ギャラガー、ノエル・ギャラガー、ジェイク・バグへと通底している歌らしいのだ。さて、映画にもどれば、けれん味のない展開についには爽やかさすら感じてしまいました。英国映画界の至宝のようなベテラン監督の快作です。

http://tenshi-wakemae.jp/
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スティーヴン・スピルバーグ監督の映画「リンカーン」をレンタルのブルーレイ・ディスクで見た。

19世紀のアメリカとその地の南北戦争、奴隷制廃止のために奔走するアメリカ第16代大統領エイブラハム・リンカーンが描かれていた。こんな風に何か歴史に残るような良きこと、善なることが成し遂げられることもあるのだな、と思った。こんなヒューマニティあふれるリンカーンとこんなアメリカは好きです。

室内劇に終始する映画なのだけど、ディテイルにこだわるスピルバーグ監督の演出の手腕とリンカーンを演じるダニエル・デイ=ルイスが素晴らしく迫真で、本当にリンカーンが動く映像の向こうにいて、19世紀のアメリカがそこにあるかのようだ。そして、歴史の勉強にもなります。

http://www.foxmovies.jp/lincoln-movie/
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ぼくの大好きなフォーク・シンガー、友部正人さんのホームページを見ていたら、友部さんが生涯、見た映画の中でも5本の指に入ると書いてあったマルガレーテ・フォン・トロッタ監督の「ハンナ・アーレント」を横浜黄金町の映画館「ジャック&ベティー」に見に行った。

何かとても考えさせられるような、そして、そこから勇気をもらうようないい映画だった。

ハンナ・アーレントという政治哲学者と彼女がザ・ニューヨーカー誌に寄稿した「イェルサレムのアイヒマン―悪の陳腐さについての報告」の引き起こした筆禍事件を主軸にして、第二次世界大戦のユダヤ人ホロコーストを生きのびた孤高のペンだけを武器にして戦う強い女性が、描かれている。

さて、その呵責なき論考で筆禍を引き起こした「イェルサレムのアイヒマン―悪の陳腐さについての報告」の中のアイヒマンとは誰か? 国家社会主義ドイツ労働者党、いわゆるナチスの親衛隊の幹部でありユダヤ人ホロコーストの最高責任者のアドルフ・アイヒマンが戦後の1960年に逃亡先のアルゼンチンでイスラエルの諜報機関、モサドに捕らえられる。この映画の中で、そこだけは実写のモノクロームでドキュメンタリーのまま、描かれるのだけど、そのイェルサレムでの裁判のシーンは気分が悪くなるほどのリアルなのだった。そのアイヒマンをアーレントは「悪の陳腐さ」と書いたのだけど、ぼくが連想したのは、20世紀末の日本でのオーム真理教の悪の陳腐さ、今世紀になってからの身近な日本の民主党や自由民主党、新聞、テレビ、電力会社、その他の会社組織、労働組合、ありとあらゆるところに巣をはる悪の陳腐さなのであった。翻っていえば、ぼくには、答えは見つからず、まだ探索中で、提出しなかった宿題が忘れたころに、追ってくるようなのだ。それは何なのだろう?

映画にもどり、このニュー・ジャーマン・シネマの気鋭女流監督の撮り上げた「ハンナ・アーレント」は、武器も持たずに戦う今の日本の女性たちにエールを送る、そんな映画のようでもあるようなのだ。そして、こんなにたくさん煙草を吸うシーンが出てくる映画は初めて見た。煙草を吸う姿がかっこいいハンナでもありまする。

http://www.cetera.co.jp/h_arendt/
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ピーター・ウェーバー監督の映画「終戦のエンペラー」をレンタルで見る。戦前の外交官、戦中の陸軍大将を演ずる西田敏行さん、かなりかっこいいです。主人公のアメリカ軍人士官、ボナー・フェラーズの架空の日本人の恋人を初音映莉子さんが演じていて、可憐なのだけど、この描かれ方はいかにもハリウッドっぽい東洋に対するエキゾチックな差別の視線を感じてしかたなかったわ。

さて、この映画のテーマなのだけど、日本人にとっても理屈ではすくい取れないかのような天皇の存在というのは、アメリカ人にとっては、なおさら謎めいているのだろう。

歴史にたらればはないのかもしれないけれど、ラストを見て、それが真実ならば、これは驚くべきことだとも思った。

http://www.emperor-movie.jp/
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横浜ニュー・テアトルでモーガン・ネヴィル監督の「バック・コーラスの歌姫(ディーバ)たち」を見る。メイン・ヴォーカルではなく、有名シンガーのバック・コーラスをつとめるプロ・シンガーに焦点を当てたドキュメンタリーなのであった。

ある意味、バック・コーラスこそがごまかしのきかないプロのシンガーとしてのあらゆる技量が求められるところではないか、とぼくは思ってきたのだが、その答えの多くはこの映画の中にあるような気がした。

メインではないこと、スターではないこと、お金のこととか、いろんなことがあるらしいのだけど、歌うことの楽しさは変わらない、というようなメッセージをぼくは受けっとってしまったようなのだ。英語の原題は"20 Feet From Stardam"らしく、訳せば「スターから6メートルはなれて」という微妙な題なのでありのだけど、エンドロールではペパーミントを口に含んだかのようななんとも晴れやかで爽やかな気持ちになったのは、どうしてだろう?

http://center20.com/
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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