えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ

ケン・ローチ監督の最新映画「ジミー、野を駆ける伝説」を見ました。原題は"Jimmy's Hall"。ストレートに訳すると多分、「ジミーの公民館」。
この映画もそうなのだけど、最近のヨーロッパの映画はヒューマニティーに訴えるてらいのない傑作が多いと思う。この「ジミー、野を駆ける伝説」も素敵な映画でした。バリー・ウォードの演じるジミー・グラルトンはこの映画の監督であるケン・ローチ、その人であるかのようで、当世のヨーロッパの不穏な世界の中、直球勝負のメッセージに胸を打たれました。
話の筋のさわりを少しだけあかすと、アメリカからアイルランドのとある生まれ故郷に帰って来た主人公のジミー・グラルトンはアイルランドのとある村に、人々の学びと憩の場所として、貧しい村人たちと共同で集会所、ホール、公民館を作るのだが、ダンスに興じもするそこは、教会からは不道徳だとされ、上流階級の地主からは共産主義者だとののしられていく。さて、これがどうなるかは、興味のある人は、映画で見てください。もちろん、ジミー・グラルトンは実在の人物で、ケン・ローチは昔の事実から今の状況にメッセージしているかのよう。
それから、この映画を見ると、ヨーロッパでの宗教組織と政治、階級社会のことなどが、リアルとして感じられもします。昨今のフランスでの事件など、ぼくは、当惑しつつ、人を殺すな、と強く思います。
ケン・ローチ監督の日本で未公開の長編ドキュメンタリ"The Spirit of '45"も見てみたいのだけど。
http://www.jimmy-densetsu.jp


つたやから借りていたレンタルDVDを見た。李相日監督の「フラガール」です。
ぼくも無知なもんで、福島県のいわき市にあるスパ・リゾート・ハワイアンがその昔、常磐ハワイアン・センターという名前であったことは知っていたのだけど、そこが、時代の波、変化によって閉山しようとする常磐炭鉱であった、炭鉱の会社が働く人たちの働く場をなくしてはいけないと起死回生に起業したところであったことまでは、知らなかった。
時代の波に立ち向かうというと硬い表現で、この映画にはそぐわなくて、あくまでも少しだけ宙に浮いて軽やかにダンスしているかのよう。感動しました。
そう、蒼井優らの演じるフラガールズたちの笑顔がまぶしかったです。
しかし、もっと昔に見た映画「スウィングガールズ」とつづき、東北の女の子たちの中にあるらしいピュアな何か、それは素敵な映画になるなぁ。
スパ・リゾート・ハワイアンに行きたくなりました。誰か行こ。
http://www.hawaiians.co.jp/guide/hulagirl/


つたやから借りてあったDVDで小林正樹監督の「がんばっぺ フラガール」を見る。2011年3月11日の東日本大震災以降のスパ・リゾート・ハワイアンのフラ・ダンサーを追ったドキュメンタリーです。すばらしい映画でした。感動しました。
震災後、新しくできたホテル棟を「モノリスタワー」というらしい。キューブリックの映画「2001年 宇宙の旅」に出てくるあのモノリスで、ビルの外観がモノリスなのです。そのセンスもいいと思う。
スパ・リゾート・ハワイアンに行ってみたくなりました。誰か行こ。都内から無料の長距離送迎バスが出ているらしいです。
http://ganbappe.j-cqn.co.jp


渋谷にある小さな小さな映画館アップリンクに1966年の沖縄久高島の生活と宗教儀式を記録したドキュメンタリー映画「イザイホウ」を見に行く。小さな劇場といえども、驚いたことに満席の盛況でした。
この映画に取り上げられている12年に一度開かれていたこの「イザイホウ」という祭り、神事は1978年を最後に後継者不足ということもあり、開かれなくなってしまっている。モノクロの画面から濃密で物質的ではない別の豊かさな時が流れ、あたりを漂っていたようなのだ。なんとあれ、昨年で3回連続のイザイホウの中止だったもよう。
1966年の久高島はなんとも貧しいのだけど、女たちに何ものか、神聖な何かが憑依しているかのようなその儀式にぼくは眩暈のようなものも感じ、その後のおおよそ半世紀で失われたものも小さくはないと、ぼくは深くため息をついてしまう。
http://www.kaiensha.jp


つたやのレンタルDVDでリリオ・フェへイラとイルトン・ラセルダが監督をした「カルト―ラ サンビスタの物語」を見る。
このドキュメンタリー映画に取り上げられているカルト―ラという人は、ブラジルのサンバのもっとも偉大な巨匠の中の一人で、サンバという音楽を作り上げたと言っても過言ではない人。その破格の人間性にある思いやりと自由の精神でブラジル人の誰からも尊敬されていた。若いころから作詞作曲で少なからずのヒットを飛ばしでもいたのだけれど、波乱万丈の人生でもあって、こういう人にありがちなのだけど、金銭にはまったく恵まれず、しかも、二度目の奥さんとの間に何人もの養子を引き受け育てたというような逸話もある。本格的に自分の曲を自分の歌声でレコーディングしたのが六十歳を超えた時で、その1970年代から出したアルバムは名作として次から次へとブラジルでヒットし、それは一部の音楽好きにも伝えられていた。
その1970年代とはブラジルの音楽界にっとって、一世を風靡したボサ・ノヴァのミュージシャンが時のクーデターによる軍事政権を嫌い、亡命同然にフランスやアメリカ合衆国の去って行ったそんな時代でもあった。それでもブラジルに残されたミュージシャンには向かう所、聖なる場所ともいうべき所があった。そこはサンバの発祥した地、リオデジャネイロのモーホーと呼ばれる裏山、貧しい人たちの住む所、アメリカでいえばもともとはドイツのユダヤ人が強制的に住まわされたところを呼ぶゲットー、ジャマイカでいえばシャンティー・タウン、中上健次ならば路地と呼んだそこであった。そんなブラジルの音楽シーンの中であって、精神的支柱でも、カルト―ラはあった、と思う。
あぁ、カルト―ラの美しいメロディーとシンコペイトするサンバのリズムとセンチメントな詞は、最高で、まだ、ワールド・ミュージックなどという言葉のない時代でもあって、偉大なる音楽には偉大なる人がいたことは確かなこと。その人はの名は、CartolaことAngenor de Oliveira、その人なのです。
http://amzn.to/1vDFuCA


橋本のMOVIXに石井裕也監督の「バンクーバーの朝日」を見に行く。カナダに移民した日系人の野球チームの話だった。
スポ根も、ちかごろはやりの愛国も、ぼくにとっては苦手というか、ぴんと来ないというか、だから、だるくなるような映画かもしれない、などと想像していたのだけど、そんなことはありませんでした。
主演の妻夫木聡って不思議な役者だなと思う。存在感のない存在感というか、この透明な感じは他にはいないだろう。どこにもいないようなのだけど、ありとあらゆるところにいるという、そんな存在感だと思う。
ストーリーは淡々として、宮崎あおい演じる日本語教師との恋話とかあるのかな、思っていたら、そんなのはなかった。
父役の佐藤浩一は名優だと思う。プロフェッショナル中のプロフェッショナル。
それから、カナダの昔の田舎の街を再現したセットの美術がすばらしい。
高畑充希演じる妹の"I will keep on loving this country."がぼくの胸に入り込み、映画の物語は暗転する。あぁ、'Asahi'は夢のように消えていったカナダのマイナー・リーグの野球チームなのだけど、その夢の中にほんのしばらくぼくもいたらしいのです。
http://www.vancouver-asahi.jp


レンタルのDVDで借りていたアキ・カウリスマキ監督の「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」と「レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う」の2本を夜中に見る。2本ともとんがり頭のようなリーゼント・ヘアーのロック・バンドを主人公にした、かたやアメリカを旅する、かたやヨーロッパを旅するロード・ムービーなのであった。
これは崩壊した宇宙のような映画だな、と思った。「崩壊した宇宙」とはライ・クーダーが自分のアルバム「ジャズ」を失敗作だと認めて、そうインタビューで答えていたその「崩壊した宇宙」なのです。けれど、ぼくは「ジャズ」というアルバムは「パラダイス・アンド・ランチ」や「チキン・スキン・ミュージック」と同じぐらい大好きなのだけど。おっと、脱線してしまった。
この「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」も、「レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う」も崩壊した宇宙のようにとりとめもなく、ぼくも何度か気持ちよく眠たくなってしまったのだけど、もしかして、その崩壊した宇宙も美しい。とくに「レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う」はその不思議さがルイス・ブニュエルの映画のようで不可解なわけのわからない自由すらも感じさせる。
フィンランドの生んだこの映画狂が映画監督になってしまったアキ・カウリスマキにはえあれ。
もちろん、レニングラード・カウボーイズ、めちゃかっこいいです。


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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。


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