えいちゃん(さかい きよたか)
えいちゃんのぶろぐ

渋谷にある小さな小さな映画館アップリンクに1966年の沖縄久高島の生活と宗教儀式を記録したドキュメンタリー映画「イザイホウ」を見に行く。小さな劇場といえども、驚いたことに満席の盛況でした。
この映画に取り上げられている12年に一度開かれていたこの「イザイホウ」という祭り、神事は1978年を最後に後継者不足ということもあり、開かれなくなってしまっている。モノクロの画面から濃密で物質的ではない別の豊かさな時が流れ、あたりを漂っていたようなのだ。なんとあれ、昨年で3回連続のイザイホウの中止だったもよう。
1966年の久高島はなんとも貧しいのだけど、女たちに何ものか、神聖な何かが憑依しているかのようなその儀式にぼくは眩暈のようなものも感じ、その後のおおよそ半世紀で失われたものも小さくはないと、ぼくは深くため息をついてしまう。
http://www.kaiensha.jp


つたやのレンタルDVDでリリオ・フェへイラとイルトン・ラセルダが監督をした「カルト―ラ サンビスタの物語」を見る。
このドキュメンタリー映画に取り上げられているカルト―ラという人は、ブラジルのサンバのもっとも偉大な巨匠の中の一人で、サンバという音楽を作り上げたと言っても過言ではない人。その破格の人間性にある思いやりと自由の精神でブラジル人の誰からも尊敬されていた。若いころから作詞作曲で少なからずのヒットを飛ばしでもいたのだけれど、波乱万丈の人生でもあって、こういう人にありがちなのだけど、金銭にはまったく恵まれず、しかも、二度目の奥さんとの間に何人もの養子を引き受け育てたというような逸話もある。本格的に自分の曲を自分の歌声でレコーディングしたのが六十歳を超えた時で、その1970年代から出したアルバムは名作として次から次へとブラジルでヒットし、それは一部の音楽好きにも伝えられていた。
その1970年代とはブラジルの音楽界にっとって、一世を風靡したボサ・ノヴァのミュージシャンが時のクーデターによる軍事政権を嫌い、亡命同然にフランスやアメリカ合衆国の去って行ったそんな時代でもあった。それでもブラジルに残されたミュージシャンには向かう所、聖なる場所ともいうべき所があった。そこはサンバの発祥した地、リオデジャネイロのモーホーと呼ばれる裏山、貧しい人たちの住む所、アメリカでいえばもともとはドイツのユダヤ人が強制的に住まわされたところを呼ぶゲットー、ジャマイカでいえばシャンティー・タウン、中上健次ならば路地と呼んだそこであった。そんなブラジルの音楽シーンの中であって、精神的支柱でも、カルト―ラはあった、と思う。
あぁ、カルト―ラの美しいメロディーとシンコペイトするサンバのリズムとセンチメントな詞は、最高で、まだ、ワールド・ミュージックなどという言葉のない時代でもあって、偉大なる音楽には偉大なる人がいたことは確かなこと。その人はの名は、CartolaことAngenor de Oliveira、その人なのです。
http://amzn.to/1vDFuCA


橋本のMOVIXに石井裕也監督の「バンクーバーの朝日」を見に行く。カナダに移民した日系人の野球チームの話だった。
スポ根も、ちかごろはやりの愛国も、ぼくにとっては苦手というか、ぴんと来ないというか、だから、だるくなるような映画かもしれない、などと想像していたのだけど、そんなことはありませんでした。
主演の妻夫木聡って不思議な役者だなと思う。存在感のない存在感というか、この透明な感じは他にはいないだろう。どこにもいないようなのだけど、ありとあらゆるところにいるという、そんな存在感だと思う。
ストーリーは淡々として、宮崎あおい演じる日本語教師との恋話とかあるのかな、思っていたら、そんなのはなかった。
父役の佐藤浩一は名優だと思う。プロフェッショナル中のプロフェッショナル。
それから、カナダの昔の田舎の街を再現したセットの美術がすばらしい。
高畑充希演じる妹の"I will keep on loving this country."がぼくの胸に入り込み、映画の物語は暗転する。あぁ、'Asahi'は夢のように消えていったカナダのマイナー・リーグの野球チームなのだけど、その夢の中にほんのしばらくぼくもいたらしいのです。
http://www.vancouver-asahi.jp


レンタルのDVDで借りていたアキ・カウリスマキ監督の「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」と「レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う」の2本を夜中に見る。2本ともとんがり頭のようなリーゼント・ヘアーのロック・バンドを主人公にした、かたやアメリカを旅する、かたやヨーロッパを旅するロード・ムービーなのであった。
これは崩壊した宇宙のような映画だな、と思った。「崩壊した宇宙」とはライ・クーダーが自分のアルバム「ジャズ」を失敗作だと認めて、そうインタビューで答えていたその「崩壊した宇宙」なのです。けれど、ぼくは「ジャズ」というアルバムは「パラダイス・アンド・ランチ」や「チキン・スキン・ミュージック」と同じぐらい大好きなのだけど。おっと、脱線してしまった。
この「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」も、「レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う」も崩壊した宇宙のようにとりとめもなく、ぼくも何度か気持ちよく眠たくなってしまったのだけど、もしかして、その崩壊した宇宙も美しい。とくに「レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う」はその不思議さがルイス・ブニュエルの映画のようで不可解なわけのわからない自由すらも感じさせる。
フィンランドの生んだこの映画狂が映画監督になってしまったアキ・カウリスマキにはえあれ。
もちろん、レニングラード・カウボーイズ、めちゃかっこいいです。


レンタルDVDでアキ・カウリスマキ監督の「浮き雲」を見る。なんか、良かったです。
アキ・カウリスマキ監督が、何かのインタビューで勝者、いわゆる勝ち組には興味はないというようなことを言っていたけれど、この映画の主人公のカップルは二人、時を同じくして失業してしまったという設定。その二人に次から次へと不幸がふりかかります。けれども、ラストは見事なハッピー・エンドで、やはり幸せなことが起こるのには、理由なんて必要ないのだなと思う。
この映画は1996年の映画でアキ・カウリスマキ監督の当地、フィンランドでは、誰もがものすごい不況で苦しんでいたころ。もともとはもっと非情な結末を考えていたらしいのだけれど、やっぱ、みんなに希望みたいなことを見せたいと思ったのだろうか。しかも、カウリスマキ映画の常連であった名優、マッティ・ペロンパーの早すぎる死が、そのまわりの社会状況とともに、痛みの追い打ちをかけ、それが、ラストの意外なほどの明るさとなったのかもしれない。
ヒーローは誰も出てこないんだけど、なんか、見終わった時、心が戻ってきて、胸がほんわかするような映画です。この幸せの余韻にひたっておやすみZZZzzz.....


レンタル・ビデオでアキ・カウリスマキ監督の「愛しのタチアナ」を見る。アキ・カウリスマって寡黙な語らない映画を作る監督だね。そこから空気のようなユーモアが映画フィルムのどこか漂っているようだ。退屈だけどそこが好き。「ロッカーは早死にする」のセリフにぐっときたりします。
ドイツのヴィム・ヴェンダース、アメリカのジム・ジャームイッシュ、そして、このフィンランドのアキ・カウリスマの三人で「眠くなりそうな映画を撮る御三人」と、ぼくは称号を進呈しようと思うのだけど、なぜかぼくは眠くなったりはしないのです。そしてこの御三人、みんな、小津安二郎らの古い日本映画が好きらしい。小津映画、偉大なり。
そういえば、フランス映画社が破産してしまった。これらのアート系の映画が日本に紹介されなくなってしまうのだろうか。ちょっとショックです。
http://eiga.com/movie/4703/


クリストファー・ノーラン監督の「インターステラ」を見ました。
これを見て思い出した映画が二つあります。一つはスタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」で、一つはフィル・アルデン・ロビンソン監督の「フィールド・オブ・ドリームス」。両方とも名画です。
思い出すに「2001年宇宙の旅」は退屈な驚きの奇跡の名画で、「フィールド・オブ・ドリームズ」は夢の中のアメリカそのものような、これも名画でした。とうもろこし畑とベースボールゲームということからの「フィールド・オブ・ドリームズ」への連想は安直でしょうか。この映画の物語の筋はもちろん申しますまい。ラストの方は「2001年宇宙の旅」のようなわけのわからなさで、わけもわからず、ぼくは泣いてしまった。その涙は49%がは悲し涙で、51%がはうれし涙で、うれし涙の勝ち。
SFというより、宇宙を舞台にした奇想天外な人間ドラマで、それらは、ぼくがこれからの社会を支える根のようなものになると、なぜか予感してもいるヒューマニティーあふれるもの。しかも、あのエピローグはこの映画の続編がありそうで、それも楽しみ。
そういえば、映画の前のたくさんある予告編でケン・ローチの新しい映画がこの春に公開されるそう。彼もヒューマニティーの映画作家だと思う。
ぼくの最近のキーワードは、使い古された、ありきたりかもしれない言葉「ヒューマニティー」なのです。
http://wwws.warnerbros.co.jp/interstellar/


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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。


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