えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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忘れ去られそうで、忘れることのできない作家、中上健次の小説に出会ったのは高校生のころであった。そんな中上健次に21世紀の今、インターネットの動く絵の世界、YouTUBEで再会した。

初めて中上健次の小説を読んだ時、ここに描かれたような処が本当に日本にあるのだろうかと思うほど、衝撃を受けたのだったけど、それは「岬」という短編集で、この「岬」という小説の南紀州にあるらしい舞台は「路地」と中上から名付けられ、その「路地」を舞台とした小説は「枯木灘」や「千年の愉楽」、「地の果て、至上の時」に書き連ねられていく。後でこの「路地」という場所が和歌山県の新宮市の被差別部落であるらしいことを知った。なぜ分からなかったかは、中上の「路地」を舞台にした小説には「差別」やら「解放」という言葉の一字も出てこないことによる。

中上健次はエッセイもたくさん残した人で、そのエッセイによってジャズのアルバート・アイラーやジョン・コルトレーンを知った。ボブ・マーレイについて書いていた。対談でビートルズをいいと言っていた。ぼくはニューヨークのイースト・ヴィレッジやリバプール、ジャマイカのキングストンにも中上の「路地」があるような気がする。

中上健次は1992年に逝ってしまったのだけど、中上健次の故郷の新宮市に旅をしたことがある。「路地」らしいところはどこにも無かった。中上が「路地」を舞台にした小説を書き連ねているころ、市の同和行政によって、「路地」は再開発され消失したと言う。

小説家の宮内勝典はニューヨークのイースト・ヴィレッジの麻薬密売人がたむろするところからスラム街の奥まで、中上と歩き入ったそうだ。微塵も臆せず歩く中上に不安になり、宮内氏は中上に大丈夫かと尋ねると、中上はこう呟いたと言う。

「おれはこういうところで生まれたんだからな」

このYouTUBEには韓国のソウルに「路地」を発見し、ご機嫌な中上健次がいる。


http://www.youtube.com/watch?v=ZtxAvSuuGGo

何か一冊と言われれば「紀州 木の国・根の国物語」をお奨めします。南紀を旅してのルポルタージュでありエッセイなのだが、中上健次の作品の中では読みやすく、けれど、内容は濃い。古本屋とかで見かけたら読んでみてください。





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えいちゃん
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音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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