えいちゃん(さかい きよたか)

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映画論で著名な四方田犬彦さんがアジアについて書いた雑多な文集である「アジア全方位」を読了する。

四方田さんについては、はるか昔のぼくが学生のころ、ささやかな思い出があって、ぼくの通っている大学で友だちが、駆け出しの学究であった四方田犬彦こと四方田剛己先生の英語の授業を受けていた。その友だちにどんな授業なのかとたずねると、例えば、授業の間中、英語とは関係ない「ローズマリーの赤ちゃん」を監督したロマン・ポランスキーの映画の話や、その監督にまつわるシャーロン・テイト事件などのエピソードの話が続き、最後にジミー・クリフの"So Many Rivers To Cross"の歌詞の翻訳をしてチャイムが鳴るというような内容だったそうだ。その後、もうその頃は、韓国や映画を論じ、著述する有名人であった四方田先生を囲むホームパーティーがあって、ぼくも誘われ出席した。新宿に新宿アートシアターがまだあって、怪しげな前衛映画がかかっていたあの時代のカウンター・カルチャーとも呼ばれるべきサブ・カルチャー好きの学生がたくさん集まっていた。その中のぼくもいて、ぼくは酔っぱらいながら、四方田先生に、大好きな中上健次の小説について話したような記憶もうっすらある。

近頃、本屋で偶然、四方田先生の近著を見つけ、あっ、この人の文はおもしろくて、共感もできる、と思い、買って読んでしまった。この本の中で四方田先生は千のアジアと言い、統合されないそのまとまりのなさ、多様であることを、褒めたたえてもいる。

この本の中のどの文も面白いのだけど、特に映画監督の大島渚、小説家の李光洙、立原正秋、そして、あの中上健次を引き出しにして、韓国と日本を論じた「他者としての日本、内面化された日本」は圧巻で深く鋭い。

四方田犬彦さんの他の近著もさらに読みたくなった。





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歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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