えいちゃん(さかい きよたか)

えいちゃんのぶろぐ

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成瀬巳喜男監督の『女の座』を渋谷の映画館で見ました。1962年の白黒映画。1962年は、NHKラジオの戦争行方不明者の捜索を呼びかける番組「尋ね人の時間」が打ち切りになり、小津安二郎の最後の監督作品『秋刀魚の味』が封切りになり、初めての首都高速道路が開通した。

『女の座』は女系大家族のホーム・ドラマ。その家長である父を笠智衆が演じ、母を杉村春子が演じている。女系家族の娘たちを演ずるのは、高峰秀子、三益愛子、草笛光子、淡路恵子、司葉子、星由里子。高峰秀子や草笛光子がうまい。髪結いの亭主のような役で加東大介が出てくるのだけど、ぼくは、敗戦国の元臣民兵士の悲哀を感じてしまう。ストーリーはとりたててなく、会話劇によって表されるのも庶民の悲哀で、ユーモアの笑いをさしはさみつつ、しかも、その中に見え隠れするものはエゴイズムの残酷さなのだ。どこか、小津安二郎監督の『東京物語』のようでもある。ラストは序破急の破が起こり急となり、涙を誘う。どこか毒を含みつつも、日本のいい映画なのだった。

帰りにムルギーによりカレーライスを食べました。おいしかった。
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ギンツ・ジルバロディス監督の『Flow』を見ました。ラトビア発のアニメーション映画。大洪水の後の人類のいなくなった世界を黒い猫が小さな廃船に乗ったりして、漂い、彷徨います。その旅をする仲間は、犬、テナガザル、鷺、カピパラ。猫をあわせてのこの五者は何かの隠喩だろうか? 主人公の黒い猫がかわいい。犬、テナガザル、鷺、カピパラもかわいい。黒い猫は擬人化された猫ではなくて、しかも人のような知恵がありそうだが、人の言葉はしゃべらない。ストーリーはあまりない。ときおり眠くなりつつ、ぼくは眠りませんでした。絵が息をのむような美しさです。そういえば、昔あったコンピューター・ゲームの『MYST』みたいな雰囲気もありますな。猫好きの人にお薦めの映画です。

映画『Flow』公式サイト
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大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」が面白いぞ。ぼくは12回の「俄(にわか)なる『明月余情』」に感動し、涙しました。吉原の「俄」祭りに紛れて、井之脇海さん演ずる小田新之助と小野花梨さん演ずるうつせみの二人が大門に向かい、人混みに紛れて少しづつ小さくなり、大門をくぐるシーンに目頭は熱くなる。祭りの日には、神さまが下りて来たりて奇跡を起こす。ゆめゆめうたがふことなかれ。

美しい『明月余情』の序文をもってこの項をしめくくります。

名月の余情を賭けて 紅葉葉の 先駆けとせんと ある風流の客人の 仰せを秋の花とす
我と人と譲りなく イと我のとの隔てなく 俄の文字が調いはべり
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成瀬巳喜男監督の『流れる』を渋谷の映画館で見ました。1956年の日本映画。成瀬巳喜男は黒澤明、溝口健二、小津安二郎と並ぶ、海外でも評価の高い名監督で作風はどこか小津安二郎と似ていつつも、何かが決定的に違う。

深川かどこかの衰退する芸妓の芸者置屋を舞台にした家庭劇は、からっとしていて、それほど暗くもないのだが、それゆえにどこかもの寂しさがただよう。とりたててストーリーはない会話劇。

女優陣がオールスター・キャストで、山田五十鈴、高峰秀子、田中絹代、杉村春子、岡田茉莉子の面々。『流れる』を見ながら、芸妓の世界に反撥する高峰秀子の演技に、ぼくは後のウーマンリブ、フェミニズムに通ずる何がしかを感じるのだった。高峰秀子は当時の若い女性たちに絶大な人気であったのだろう。

ぼくには、小津の映画は死がべったりと貼りつき、それはいつしか夢の中であるように思え、成瀬の映画は常に生の側で、どこまでも夢へと飛び立たないと思えるのだった。
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塚本連平監督の『35年目のラブレター』を見ました。文字の読み書きのできなかったお父さんが、夜間学校に通い、文字の読み書きを習い、覚え、妻にラブレターを書くというお話。

主人公を演ずる笑福亭鶴瓶さんもよかったし、妻を演ずる原田知世さんがよすぎます。夫と妻の若かりしころを演じた、重岡大毅さんと上白石萌音さんもなかなかのものでした。NHKの大河ドラマ『べらぼう』で平賀源内の安田顕さんが夜間学校の先生を演じています。

映画を見ながら、日本語って漢字とかひらがな、カタカナまであって、漢字には訓読みとか音読みとかあって、ややこしいな、と思う。けれど、それが日本の言葉だとも思う。何度もの変転はあるだろうけれども、これを失うことは、日本人のもっとも大切な何かを失うことだろう。

ラストのエンドロールとなり、その後、劇場が明るくなり、ふと後ろを見ると、若い女子が、号泣しておりました。ぼくにもこみ上げるものあり。実話を元にした善意あふれる優しいいい映画。日本映画の昔からあるような、奈良の普通の町並みを舞台にしたストレートでまっとうな家族劇が嬉しかった。

『35年目のラブレター』映画公式サイト
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NHKの大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」が面白いです。落語が好きで江戸時代を知りたくて、吉原が舞台だなんて大河ドラマとしては無理じゃないのなどと思いつつ、見始めたら、はまってしまった。主役の蔦屋重三郎、演ずる横浜流星くんがかっこいいが、花魁の瀬川(花の井)、演ずる小芝風花さんが更に素晴らしい。彼女が主演をしていたNHKのドラマ「「あきない世傳(せいでん) 金と銀」もぼくはよく見ていたけれど、そのパート2も「あきない世傳(せいでん)金と銀2」として四月から放送されるという。「べらぼう」に戻れば、瀬川はまだ退場しません。瀬川を身請けした鳥山検校の人生に、これから驚くべき展開が待っております。

ぼくの好きな絵師の英一蝶とか俳諧師の宝井其角とか、これから出てくるのかな? さて、宝井其角の句を一句。

 闇の夜は吉原ばかり月夜哉

この句は切れ目をどこに入れるかで解釈がまったく反対になるという。

 闇の夜は 吉原ばかり月夜哉

 闇の夜は吉原ばかり 月夜哉

この前の「べらぼう」の「玉菊燈籠恋の地獄」では涙腺から水のしずくを絞りとらられた人がたくさんいるのではないかしら。
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ジェームズ・マンゴールド監督の『名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN』を見ました。ボブ・ディラン、若き日の彷徨、みたいな映画でした。

ボブ・ディランを演ずるティモシー・シャラメがボブ・ディランに喋り方どころか歌い方もそっくりで、違和感がなくてすごいです。ディランって、いつも上目遣いに人を見て、どこか内向的で、何か謎めいた人間ですな。こんな若者がいたら惹きつけられるけれど、怖い。多分、"A COMPLETE UNKNOWN"を日本語にすると「正体不明」。

アルバムでいうと『Highway 61 Revisited』までの初期のディランの音楽、名曲がいっぱいで、140分があっという間でした。ラストの30分は本当にかっこいい。ブーイングの嵐の中、怒りをコンサートでぶちまける、あの時のボブ・ディランの音楽は、ロックという音楽が生まれる、その瞬間でもあったのだ。

名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN
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プロフィール
HN:
えいちゃん
性別:
男性
職業:
S.E.
趣味:
音楽
自己紹介:
音楽を演奏したり聴いたりするのが好きです。
歌ってしまいます。そしてギターも少々。
Sam CookeやOtis Reddingなど古いR&Bが好きです。
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